【PUEBLO】プエブロか【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、ナローなスクエアワイヤー(断面が正方形のワイヤー)をベースに、フロントと厚みの所謂『3面スタンプ』が施されたアンティーク/ビンテージバングルです。
さらに『ファイルワーク』と呼ばれるヤスリで削る技法を駆使する事で、上下のエッジ部分にスタンプワークと呼応した刻みが施され、立体的な構造と美しいスタンプワークが強調されています。
1940年代前後に作られた作品と思われ、おそらくインゴットシルバー(銀塊)から成形されたと思われるバンド/地金は、正方形に近い断面のスクエアワイヤーに造形されています。
こちらの様なスクエアワイヤーをベースとした古い年代のブレスレットは、GARDEN OF THE GODS TRADING POSTに所属したサン・イルデフォンソプエブロの偉大な作家【Awa Tsireh】アワ・シーディ(1898-1955)や、ホピの巨匠【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)、同じくホピの【Lewis Lomay】ルイス・ロメイ(1913-1996)等が残しており、ナバホ族のシルバースミスよりもプエブロの作家による作品が想起される造形スタイルとなっています。
また、本作と非常に類似した作品を【ACOMA】アコマプエブロの巨匠3兄弟【Hunt Brothers】の中でも最も秀逸な作品を残している次男【Wayne Henry "Wolf-Robe" Hunt】ウェイン ヘンリー『ウルフ ローブ』ハント(c.1902-1977)が制作しており、本作も同作者によるブレスレットである可能性がありますが、使用されているスタンプツール(鏨・刻印)等からはその確証が得られていません。
この様なスクエアワイヤーをベースにファイルワークによって立体的な造形を生み出す造形スタイルは、現代では【Thomas Curtis Sr.】トーマス・カーティス(1945-2013)や、その娘である【Jennifer Curtis】ジェニファー・カーティス氏に受け継がれています。
その地金には力強いスタンプワークによってライトニングスネーク等の刻印が刻まれ、上下の厚み部分にはベイナータイプ(弧を描くデザイン)のスタンプワークが刻印される事で、その厚みを強調しながら複雑な表情を作っています。
さらに、エッジにはそれらのスタンプワークに呼応してファイルワークよる刻みが施されています。
その手の込んだディテールにより構築的な造形の作品に仕上げられており、幅と同程度の厚みを持った地金の特徴が最大限に生かされているようです。
【Hunt Brothers】ハントブラザーズは、長兄の【Clyde Hunt/Chief Sunny Skies】、次男で本作の作者ある【Wayne Henry "Wolf-Robe" Hunt】ウェイン ヘンリー ”ウルフ ローブ” ハント、そして【Wilbert Hunt】ウィルバート・ハントの3兄弟で、それぞれに有名なシルバースミス、そしてエンターテイナーとして活躍しました。
1920年以前に「ビッグ・スネーク酋長」として知られる【Edward Hunt】エドワード・ハント率いる一家はアコマからアルバカーキに移住しました。
また、ハント一家は1927年から1928年にかけてスミソニアン博物館の支援による教育プログラムの一環としてヨーロッパを旅行した記録が残っています。
【Wayne Henry "Wolf-Robe" Hunt】ウェイン ヘンリー ”ウルフ ローブ” ハントは、アコマ プエブロの巨匠として知られ、インディアン自身で店を経営した初めての作家である兄のClyde Hunt(c.1900-1972)を師として、とても若い時期からシルバースミスとしてのキャリアをスタートしたようです。
1930年代にはアルバカーキに在住し、多くのショーを受賞しながらハイスクールにも通っていた記録が残っています。
その後、オクラホマ州タルサに近いカトゥーサにて【CATOOSA Indian Trading Post】を経営しました。
そして、BELL TRADING POSTでシルバースミスとして働きながらそのデザインにも携わった弟の【Wilbert Hunt】(c.1906-2007)と合わせた3兄弟は、『Hunt Brothers』と呼ばれました。
彼ら兄弟の中でもホールマーク(作家のサイン)を使用し、多くの秀作を残したのがWolf-Robeであり、ナバホの偉大な作家【Fred Peshlakai】フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)等と同時期に『作家』としてインディアンジュエリーを制作した最初期の人物の一人です。
また当時、共に仕事をしたアコマの作家の子孫には当店でも長く懇意にして頂いた【Greg Lewis】グレッグ・ルイス、その息子である【Dyaami E Lewis】ディアミ・ルイスがおり、その技術やスタイルは現代にも受け継がれています。
ツーリストスタイルの作品も多く残していますが、もちろん全てハンドメイドで制作され、オーセンティックでトラディショナルな技術をベースとしながらも独自性を模索し、さり気なくも一見して同作者の作品である事をを感じさせるデザイン/造形もWolf-Robeの特徴です。
【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。
最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。
それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。
アンティークインディアンジュエリー特有の質感と奥行きとを持ち、伝統的な製法やディテールで構成された造形は、エスニシティーな雰囲気も持っていますが、突出した造形センスを感じさせるエッジーでシックな印象もあります。
また、現代においても新鮮でシンプルなデザインは、多くのスタイルにフィットさせることが出来る高い汎用性を示しながら、手の込んだシルバーワークが生み出す繊細ながら武骨な雰囲気と、ビンテージネイティブアメリカンジュエリー独特の魅力を宿しています。
その厚みと立体感によりしっかりとした存在感を示しますが、シルバーのみで構成されたソリッドな印象は派手な印象は与えません。
また厚みがあり控えめな幅は他のブレスレットとの重ね付けにも向いていますが、単独でも特別な存在感を持っています。
着用者を高揚させる重みと迫力を備えながら多くのコーディネイトによく馴染み、長年にわたってご愛用頂けるビンテージジュエリーとなっています。
ブレスレットとしてだけでなく立体造形作品として美しく作り上げられた、大変貴重な作品の一つ。伝統工芸品としての歴史をも感じさせ、アートピース・ウェアラブルアートとしても高く評価されるブレスレットとなっています。
◆着用サンプル画像はこちら◆
コンディションも大変良好です。
多少の摩耗や細かなキズ、ハンドメイド作品特有の制作上のムラ等は見られますがが、ダメージのないとても良い状態を保っています。