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JBO008801

Antique Navajo Chiseled & Stamped Silver Wide Cuff c.1940~

Antique Navajo Chiseled & Stamped Silver Wide Cuff c.1940~
198,000 円(税込)
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Antique Navajo Chiseled & Stamped Silver Wide Cuff  c.1940~
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【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、おそらくインゴットシルバー(銀塊)から成形された重厚な作品で、高い技術力を感じさせるチェイシングやスタンプワークで構成されたアンティーク/ビンテージワイドバングルです。

ホールマーク(作者や工房等のサイン)は刻印されていませんが、内側に刻まれた『STERLING』の書体/スタンプの特徴等からは、1923年にニューメキシコ州アルバカーキで創業され、多くのナバホやプエブロの職人が所属した有名工房【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズインディアントレーディングポストや同社の傘下企業である【SILVER PRODUCTS MFG.】シルバープロダクツ マニュファクチャリングで作られた個体ではないかと推測されます。

当時のMaisel's Indian Trading Post/Burnell'sのカタログ上で類似したブレスレットが掲載されており・・・
Genuine coin silver, Indian made bracelet. 1 3/4 in. wide.
Rope design running through end to end.
Heavy and wide. Can be made smaller in width.
Lady's or men's size. Price each...$20.00
と記載されています。

本作の幅は、1 9/16インチですが幅を小さく制作する事が可能であった事も説明されています。
※カタログと異なり本作はSTERLING SILVER(925シルバー)製となります。


また本作の造形スタイルや製法・ディテールからは『U.S.NAVAJO』の刻印で知られる【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)の認証を受けたトレーディングポストや、同組織と同じく【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が代表を務めた【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)=通称『ナバホギルド』で制作された作品をデザインソースとした作品と推定されます。

【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれる、20世紀前半頃にアメリカ中西部の観光客向けジュエリーを多く製造したMaisel's Indian Trading Postですが、本作は全ての工程がハンドメイドで仕上げられており、ナバホギルドで作られた作品と遜色のないクオリティを誇ります。

さらにマイセルズで作られた作品であれば、当時類似したバングルがある程度作られた可能性が高いように思われますが、類似作品を発見するのは非常に困難であり、その現存数が極端に少ない事が推定可能です。



1940年代~1950年代頃に作られたものと思われ、ワイドで重厚なバンドは70gを超える重量を誇ります。

そのようなバンドをベースに『Chasing/チェイシング』と呼ばれる鏨を使いシルバーに立体的な角度を付ける(彫刻の様なイメージ)技術、さらに『ファイルワーク』というヤスリで削る原始的な技法を駆使することで、彫りの深い立体的な凹凸のボーダーラインが形成されています。

それらによって作られたライン状の凹凸は、まるでハーフラウンドワイヤーのように美しい曲面に造形されており、作者の卓越した技術力を垣間見ることが出来ます。

またその完成されたバンデッドラインにより、バンド自体も8本のハーフラウンドワイヤーを重ねた造形のように見えますが、実際には一つの銀塊から原始的な技術を駆使して形作られています。

さらに、それらのライン上には細かくも力強いスタンプワークが刻まれ、連続したバイアスラインを立体的に刻んでいます。複雑な紋様ではありませんが、奥行きがあり非常に力強いナバホらしさとシンプルで洗練された印象を生み出しています。

フロント中央付近のスタンプに一部少し潰れた部分が見られますが、それはダメージではなく内側に刻まれた『STERLING』を刻印する際に潰れたものと思われます。

シンプルでミニマムなデザイン/造形を作り上げる緻密なシルバーワークは、現在においても洗練された印象を与えます。


またこれらのディテールは、【NAVAJO GUILD】ナバホギルドらしい伝統的な製法やデザインを重視し制作されたピースと共通した美意識によって生み出されており、武骨でプリミティブな技術によって作り上げられていますが、シンプルでクリーンなデザインにより、当時モダンスタイルと呼ばれた美しさを持っています。

現代では、ナバホのトップアーティストである【McKee Platero】マッキー・プラテロ氏等が、こちらの作品のようなAmbrose Roanhorseやナバホギルドが生み出した「古典作品(技術)をベースにモダンで完成されたジュエリー」と云う理念の影響を強く受けていると思われます。
特に初期のMcKee Platero氏の作品では、こちらと同じようなシンプルで簡潔なスタンプワークとファイルワークのみで構成されたピースが散見されます。

それらを基本として、さらに自身の思想や価値観を反映させ、高い次元へと作品を昇華させたマッキー・プラテロ氏は、日本の伝統継承で云う『守・破・離』を体現し、伝統工芸品であるナバホジュエリーをアートピースに押し上げています。



【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズ インディアントレーディングポストは、1923年にMaurice Maiselにより創業された店で、当時の観光産業隆盛によるインディアン工芸品(土産物)ビジネスとして開業され、フレッド・ハービーホテルの向いに店舗を構えていました。
その後、1939年にはアルバカーキダウンタウンに移転し、2019年まで同じロケーションで【Skip Maisel's Indian Jewelry】として営業していたヒストリックなカンパニーです。

ピーク時には150人以上のインディアンの職人を雇い入れ、その作業を外から見える形で運営していました。
そのスタイルは近年まで受け継がれ、【Will Vandever】等、腕の良いベテラン作家がジュエリーを制作していました。

さらに、ジュエリー以外のインディアンアートや工芸品、お土産物も多く遺しており、近年までビジネスを継続していた数少ないトレーディングポスト兼工房です。

またツーリストジュエリーでありながら、上質なターコイズがセットされたピースを見つけることが出来るのもマイセルズの特徴となっています。戦前からターコイズの流通にも携わっていた、幅広いビジネス展開に起因した特性といえます。


【SILVER PRODUCTS MFG.】シルバープロダクツマニュファクチャリング社は、前述の通り【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズ インディアントレーディングポスト傘下の企業で、ツーリストジュエリーの量産部門を担う工房としてカンザスシティーに存在していました。

【IH = Indian Handmade/Handcraft】【SILVER PRODUCTS】【Silver Arrow】の3つのホールマーク(ショップや作者のサイン)を用いていたとされ、ツーリストジュエリーらしい量産タイプのピースから独創的でオリジナリティーのある造形までバラエティー豊かなデザイン展開が特徴です。
1940年代中頃には前述の【Silver Arrow】ブランドに統一され、それに伴って地金のシルバーはコインシルバー900から、スターリングシルバー925に統一されたようです。



【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)は、インディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等のために現地トレーディングポストやトレーダーによって1937年に組織されました。
『U.S.NAVAJO』『U.S. ZUNI』『U.S. HOPI』のスタンプを使うことで、アメリカ政府の公認を表した公的な意味合いを重視した組織です。

国としての歴史が浅く、カルチャーやアートに乏しいと考えたアメリカ政府が、インディアンアート/クラフトをアメリカの誇る独自のアート・工芸として世界的に認知させることもIACB発足の目的だったようです。

さらに、1930年代以降に隆盛した【BELL TRADING POST】や【Maisel's Indian Trading Post】、【Arrow Novelty】等の"Manufacturers"とされる量産化を推し進めたメーカーによるマスプロ品と、その製法や工程において正当なインディアンジュエリーであること等を差別化する事も必要とされていました。
上記のような現在『フレッド・ハービースタイル』と呼ばれるメーカーでは、ジュエリー等の製作に分業化や機械化を進め、結果的にインディアンジュエリー作家の独立や生計を圧迫しました。
そのため、古くからインディアン達と密接に付き合い、インディアンアート/クラフトを扱うトレーディングポストやトレーダー、さらにはインディアンアーティスト自身たちによって、量産化を図るメーカーに対する対抗策が講じられました。

Indian Arts & Crafts Boardもその中の一つで、サンタフェの人類学研究所キュレーターである【Kenneth Chapman】ケネス・チャップマンと、フォートウィンゲート及びサンタフェインディアンスクールで彫金クラスを受け持つナバホの巨匠【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)の二人によって、その素材から製法・仕上げに至るまで『U.S.NAVAJO』の刻印を許可する厳しいガイドラインが設定されました。

その認証システムは、伝統的な作品を扱うトレーダーにとって非常に重要であり高い需要があったようですが、その審査を担当した彫金の教員経験を持つシルバースミスは僅か数人であり、アメリカ中西部の広い範囲に分布したトレーディングポストを回って審査・認証していくという供給が全く追い付かず、その為にシステム自体が短命に終わってしまったようです。



【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG)※以下ナバホギルドはインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等、【The United Indian Trader’s Association】(UITA)とも近しい目的の為に、ナバホのシルバースミス達の手によって組織されました。

中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、大巨匠であるナバホのシルバースミスAmbrose Roanhorseが代表を務め、後進の育成や伝統的な技術の伝承、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。
明確にはなっていませんが、U.S.NAVAJO/Indian Arts & Crafts Boardが1937年~1940年代の初め頃までしか見られないのも、第二次世界大戦の激化による影響だけではなく、どちらの組織においても重要な役割を担っていたAmbrose Roanhorseが、Navajo Guild/The Navajo Arts & Crafts Guildに注力したためではないかと考えられます。

ナバホギルドによる作品のスタイルは特徴的で、Ambrose Roanhorseの意図が強く働いた影響のためか、インゴットから作られたベースに、クリーンで構築的なスタンプワークをメインとしたデザインと、昔ながらのキャストワークによるピースが多く、どちらも回顧主義的なオールドスタイルでありながら、洗練された美しい作品が多く制作されました。

また、もう一つの特徴はその構成メンバーです。当時から有名で最高の技術を究めた作家が名を連ねています。
【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ、【Mark Chee】マーク・チー、【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン、【Allan Kee】アレン・キー、【Ivan Kee】アイバン・キー、【Jack Adakai】ジャック・アダカイ、【Billy Goodluck】ビリー・グッドラック等、さらに、Ambrose Roanhorseの教え子の一人であるホピ族の【Louis Lomay】ルイス・ロメイもナバホギルドのメンバーだったようです。



内側に施された『STERLING』の刻印については、銀含有率92.5%の地金であることを示す表記であり、1930年代初頭頃には登場していました。
ただし、ショップやトレーディングポストにおいて多用されるようになったのは戦後である1940年代後半以降のようです。
本作の様に1940年代以前に作られたジュエリーでも散見されますが、第二次世界大戦中の金属需要が影響したと推測され、1940年代末以降の作品で非常に多くみられるようになりました。

『925』の表記も同じ意味を持っていますが、925の刻印はインディアンジュエリーにおいては非常に新しく採用された刻印であり、そのほとんどが1990年代以降の作品に刻印されています。
主にイギリスの影響を受けた国において『STERLING』、それ以外の国において『925』の表記・刻印が多く使用されています。

Sterling Silver/スターリングシルバー=925シルバーは、熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いている為、現在においても食器や宝飾品等様々な物に利用されています。



本作も『STERLING』の刻印が使用された作品としては初期のピースとなっており、多くのパウンティング(ハンマーによる鍛造)によって、硬く滑らかなシルバーの肌と独特の上質感を有しています。

さらに、全てのディテールが原始的な技術で構成された素朴なアンティークジュエリーですが、手間を惜しまないとても丁寧で完成されたシルバーワークと、アンティーク作品と思えないデザインの洗練度により、アートピース・ウェアラブルアートとしても高く評価できる作品に昇華されています。

またその武骨でワイルドな表情と共に普遍的な造形美を持ち、どこかエレガントで洗練された印象も備えています。
さらに、ワイドな幅による際立った存在感を持つバングルながら、シルバーのみで構成されたソリッドな質感は派手な存在感を与えず、多くのスタイルにフィットさせることが可能です。

日常の装いをさり気なくも劇的にスタイルアップさせるブレスレットであり、着用者にビンテージジュエリーを身に付ける高揚感も与える力のあるブレスレットです。


武骨ながらクーリンで無駄のないデザインとその力強さは素晴らしい完成度生み出しており、歴史的な背景を含め非常にコレクタブルでトレジャーハントプライスなピースとなっています。

◆男性着用サンプル画像はこちら◆

◆女性着用サンプル画像はこちら◆



コンディションも大変良好です。
経年によるシルバーのクスミや細かなキズ、ハンドメイド特有の制作上のムラが見られますが、使用感を感じさせないとても良い状態となっています。

また前述の通り、フロント中央付近のスタンプの少し潰れた部分は、内側の『STERLING』を刻印する際のものと思われ、ダメージではありません。
【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、おそらくインゴットシルバー(銀塊)から成形された重厚な作品で、高い技術力を感じさせるチェイシングやスタンプワークで構成されたアンティーク/ビンテージワイドバングルです。

ホールマーク(作者や工房等のサイン)は刻印されていませんが、内側に刻まれた『STERLING』の書体/スタンプの特徴等からは、1923年にニューメキシコ州アルバカーキで創業され、多くのナバホやプエブロの職人が所属した有名工房【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズインディアントレーディングポストや同社の傘下企業である【SILVER PRODUCTS MFG.】シルバープロダクツ マニュファクチャリングで作られた個体ではないかと推測されます。

当時のMaisel's Indian Trading Post/Burnell'sのカタログ上で類似したブレスレットが掲載されており・・・
Genuine coin silver, Indian made bracelet. 1 3/4 in. wide.
Rope design running through end to end.
Heavy and wide. Can be made smaller in width.
Lady's or men's size. Price each...$20.00
と記載されています。

本作の幅は、1 9/16インチですが幅を小さく制作する事が可能であった事も説明されています。
※カタログと異なり本作はSTERLING SILVER(925シルバー)製となります。


また本作の造形スタイルや製法・ディテールからは『U.S.NAVAJO』の刻印で知られる【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)の認証を受けたトレーディングポストや、同組織と同じく【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が代表を務めた【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)=通称『ナバホギルド』で制作された作品をデザインソースとした作品と推定されます。

【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれる、20世紀前半頃にアメリカ中西部の観光客向けジュエリーを多く製造したMaisel's Indian Trading Postですが、本作は全ての工程がハンドメイドで仕上げられており、ナバホギルドで作られた作品と遜色のないクオリティを誇ります。

さらにマイセルズで作られた作品であれば、当時類似したバングルがある程度作られた可能性が高いように思われますが、類似作品を発見するのは非常に困難であり、その現存数が極端に少ない事が推定可能です。



1940年代~1950年代頃に作られたものと思われ、ワイドで重厚なバンドは70gを超える重量を誇ります。

そのようなバンドをベースに『Chasing/チェイシング』と呼ばれる鏨を使いシルバーに立体的な角度を付ける(彫刻の様なイメージ)技術、さらに『ファイルワーク』というヤスリで削る原始的な技法を駆使することで、彫りの深い立体的な凹凸のボーダーラインが形成されています。

それらによって作られたライン状の凹凸は、まるでハーフラウンドワイヤーのように美しい曲面に造形されており、作者の卓越した技術力を垣間見ることが出来ます。

またその完成されたバンデッドラインにより、バンド自体も8本のハーフラウンドワイヤーを重ねた造形のように見えますが、実際には一つの銀塊から原始的な技術を駆使して形作られています。

さらに、それらのライン上には細かくも力強いスタンプワークが刻まれ、連続したバイアスラインを立体的に刻んでいます。複雑な紋様ではありませんが、奥行きがあり非常に力強いナバホらしさとシンプルで洗練された印象を生み出しています。

フロント中央付近のスタンプに一部少し潰れた部分が見られますが、それはダメージではなく内側に刻まれた『STERLING』を刻印する際に潰れたものと思われます。

シンプルでミニマムなデザイン/造形を作り上げる緻密なシルバーワークは、現在においても洗練された印象を与えます。


またこれらのディテールは、【NAVAJO GUILD】ナバホギルドらしい伝統的な製法やデザインを重視し制作されたピースと共通した美意識によって生み出されており、武骨でプリミティブな技術によって作り上げられていますが、シンプルでクリーンなデザインにより、当時モダンスタイルと呼ばれた美しさを持っています。

現代では、ナバホのトップアーティストである【McKee Platero】マッキー・プラテロ氏等が、こちらの作品のようなAmbrose Roanhorseやナバホギルドが生み出した「古典作品(技術)をベースにモダンで完成されたジュエリー」と云う理念の影響を強く受けていると思われます。
特に初期のMcKee Platero氏の作品では、こちらと同じようなシンプルで簡潔なスタンプワークとファイルワークのみで構成されたピースが散見されます。

それらを基本として、さらに自身の思想や価値観を反映させ、高い次元へと作品を昇華させたマッキー・プラテロ氏は、日本の伝統継承で云う『守・破・離』を体現し、伝統工芸品であるナバホジュエリーをアートピースに押し上げています。



【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズ インディアントレーディングポストは、1923年にMaurice Maiselにより創業された店で、当時の観光産業隆盛によるインディアン工芸品(土産物)ビジネスとして開業され、フレッド・ハービーホテルの向いに店舗を構えていました。
その後、1939年にはアルバカーキダウンタウンに移転し、2019年まで同じロケーションで【Skip Maisel's Indian Jewelry】として営業していたヒストリックなカンパニーです。

ピーク時には150人以上のインディアンの職人を雇い入れ、その作業を外から見える形で運営していました。
そのスタイルは近年まで受け継がれ、【Will Vandever】等、腕の良いベテラン作家がジュエリーを制作していました。

さらに、ジュエリー以外のインディアンアートや工芸品、お土産物も多く遺しており、近年までビジネスを継続していた数少ないトレーディングポスト兼工房です。

またツーリストジュエリーでありながら、上質なターコイズがセットされたピースを見つけることが出来るのもマイセルズの特徴となっています。戦前からターコイズの流通にも携わっていた、幅広いビジネス展開に起因した特性といえます。


【SILVER PRODUCTS MFG.】シルバープロダクツマニュファクチャリング社は、前述の通り【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズ インディアントレーディングポスト傘下の企業で、ツーリストジュエリーの量産部門を担う工房としてカンザスシティーに存在していました。

【IH = Indian Handmade/Handcraft】【SILVER PRODUCTS】【Silver Arrow】の3つのホールマーク(ショップや作者のサイン)を用いていたとされ、ツーリストジュエリーらしい量産タイプのピースから独創的でオリジナリティーのある造形までバラエティー豊かなデザイン展開が特徴です。
1940年代中頃には前述の【Silver Arrow】ブランドに統一され、それに伴って地金のシルバーはコインシルバー900から、スターリングシルバー925に統一されたようです。



【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)は、インディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等のために現地トレーディングポストやトレーダーによって1937年に組織されました。
『U.S.NAVAJO』『U.S. ZUNI』『U.S. HOPI』のスタンプを使うことで、アメリカ政府の公認を表した公的な意味合いを重視した組織です。

国としての歴史が浅く、カルチャーやアートに乏しいと考えたアメリカ政府が、インディアンアート/クラフトをアメリカの誇る独自のアート・工芸として世界的に認知させることもIACB発足の目的だったようです。

さらに、1930年代以降に隆盛した【BELL TRADING POST】や【Maisel's Indian Trading Post】、【Arrow Novelty】等の"Manufacturers"とされる量産化を推し進めたメーカーによるマスプロ品と、その製法や工程において正当なインディアンジュエリーであること等を差別化する事も必要とされていました。
上記のような現在『フレッド・ハービースタイル』と呼ばれるメーカーでは、ジュエリー等の製作に分業化や機械化を進め、結果的にインディアンジュエリー作家の独立や生計を圧迫しました。
そのため、古くからインディアン達と密接に付き合い、インディアンアート/クラフトを扱うトレーディングポストやトレーダー、さらにはインディアンアーティスト自身たちによって、量産化を図るメーカーに対する対抗策が講じられました。

Indian Arts & Crafts Boardもその中の一つで、サンタフェの人類学研究所キュレーターである【Kenneth Chapman】ケネス・チャップマンと、フォートウィンゲート及びサンタフェインディアンスクールで彫金クラスを受け持つナバホの巨匠【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)の二人によって、その素材から製法・仕上げに至るまで『U.S.NAVAJO』の刻印を許可する厳しいガイドラインが設定されました。

その認証システムは、伝統的な作品を扱うトレーダーにとって非常に重要であり高い需要があったようですが、その審査を担当した彫金の教員経験を持つシルバースミスは僅か数人であり、アメリカ中西部の広い範囲に分布したトレーディングポストを回って審査・認証していくという供給が全く追い付かず、その為にシステム自体が短命に終わってしまったようです。



【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG)※以下ナバホギルドはインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等、【The United Indian Trader’s Association】(UITA)とも近しい目的の為に、ナバホのシルバースミス達の手によって組織されました。

中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、大巨匠であるナバホのシルバースミスAmbrose Roanhorseが代表を務め、後進の育成や伝統的な技術の伝承、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。
明確にはなっていませんが、U.S.NAVAJO/Indian Arts & Crafts Boardが1937年~1940年代の初め頃までしか見られないのも、第二次世界大戦の激化による影響だけではなく、どちらの組織においても重要な役割を担っていたAmbrose Roanhorseが、Navajo Guild/The Navajo Arts & Crafts Guildに注力したためではないかと考えられます。

ナバホギルドによる作品のスタイルは特徴的で、Ambrose Roanhorseの意図が強く働いた影響のためか、インゴットから作られたベースに、クリーンで構築的なスタンプワークをメインとしたデザインと、昔ながらのキャストワークによるピースが多く、どちらも回顧主義的なオールドスタイルでありながら、洗練された美しい作品が多く制作されました。

また、もう一つの特徴はその構成メンバーです。当時から有名で最高の技術を究めた作家が名を連ねています。
【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ、【Mark Chee】マーク・チー、【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン、【Allan Kee】アレン・キー、【Ivan Kee】アイバン・キー、【Jack Adakai】ジャック・アダカイ、【Billy Goodluck】ビリー・グッドラック等、さらに、Ambrose Roanhorseの教え子の一人であるホピ族の【Louis Lomay】ルイス・ロメイもナバホギルドのメンバーだったようです。



内側に施された『STERLING』の刻印については、銀含有率92.5%の地金であることを示す表記であり、1930年代初頭頃には登場していました。
ただし、ショップやトレーディングポストにおいて多用されるようになったのは戦後である1940年代後半以降のようです。
本作の様に1940年代以前に作られたジュエリーでも散見されますが、第二次世界大戦中の金属需要が影響したと推測され、1940年代末以降の作品で非常に多くみられるようになりました。

『925』の表記も同じ意味を持っていますが、925の刻印はインディアンジュエリーにおいては非常に新しく採用された刻印であり、そのほとんどが1990年代以降の作品に刻印されています。
主にイギリスの影響を受けた国において『STERLING』、それ以外の国において『925』の表記・刻印が多く使用されています。

Sterling Silver/スターリングシルバー=925シルバーは、熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いている為、現在においても食器や宝飾品等様々な物に利用されています。



本作も『STERLING』の刻印が使用された作品としては初期のピースとなっており、多くのパウンティング(ハンマーによる鍛造)によって、硬く滑らかなシルバーの肌と独特の上質感を有しています。

さらに、全てのディテールが原始的な技術で構成された素朴なアンティークジュエリーですが、手間を惜しまないとても丁寧で完成されたシルバーワークと、アンティーク作品と思えないデザインの洗練度により、アートピース・ウェアラブルアートとしても高く評価できる作品に昇華されています。

またその武骨でワイルドな表情と共に普遍的な造形美を持ち、どこかエレガントで洗練された印象も備えています。
さらに、ワイドな幅による際立った存在感を持つバングルながら、シルバーのみで構成されたソリッドな質感は派手な存在感を与えず、多くのスタイルにフィットさせることが可能です。

日常の装いをさり気なくも劇的にスタイルアップさせるブレスレットであり、着用者にビンテージジュエリーを身に付ける高揚感も与える力のあるブレスレットです。


武骨ながらクーリンで無駄のないデザインとその力強さは素晴らしい完成度生み出しており、歴史的な背景を含め非常にコレクタブルでトレジャーハントプライスなピースとなっています。

◆男性着用サンプル画像はこちら◆

◆女性着用サンプル画像はこちら◆



コンディションも大変良好です。
経年によるシルバーのクスミや細かなキズ、ハンドメイド特有の制作上のムラが見られますが、使用感を感じさせないとても良い状態となっています。

また前述の通り、フロント中央付近のスタンプの少し潰れた部分は、内側の『STERLING』を刻印する際のものと思われ、ダメージではありません。
Size

メンズサイズ M - ML 程度
レディースサイズ L - XL 程度

内径最大幅 約58.1㎜    正面幅(高さ) 約39.4㎜
内周 約138㎜    開口部 約28㎜
Inside Measurement 5 7/16inch   opening 1 1/16inch 

※バングルはサイズ調整可能です。
また、本作はワイドな幅となっておりますので通常よりもゆとりのあるフィット感にてご検討下さい。

S~MLサイズの男性、Lサイズ以上の女性であれば多くの方にフィットすると思われます。
ただし、サイズ調整の際は無理な力を加えますと破損の原因となることがありますのでご注意ください。

サイズ(手首寸法)をお伝えいただければ、当店で調整後のお渡しが可能です。お気軽にお申し付けくださいませ。

Material

Sterling Silver (probably Ingot Silver)    約71.4g