【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、8角形にカットされたアリゾナ産【Petrified Wood】ペトリファイドウッド(珪化木)により、神秘的で妖艶な印象を与えるアンティーク/ビンテージバングルです。
強い透明感を持つグレーと炎や夕焼けの様なオレンジのコントラストが美しく、異星の景色や抽象画の様にも感じられるペトリファイドウッドが大変魅力的な作品となっています。
ホールマーク(作者や工房のサイン)やスタンプワーク等、制作背景を特定する判断材料が乏しく正確に特定はできませんが、マテリアルや製法、造形スタイルから1930年代末頃~1950年代頃に作られた作品と思われます。
インゴットシルバーから成形された単独のスクエアワイヤーを撚る/捻じることで作り上げた『ツイステッドワイヤー』を上下に重ね、中央にはツイストしていない同じスクエアワイヤーを配することで3連に構成したバンドがベースとなっています。
またそのバンドは、サイドからフロントに向かって広く構成する事で『スプリットバンド』と呼ばれるナバホの伝統的なスタイルに近い造形を作り上げており、肌の透ける大きいスリットと石がマウントされたセンターに向けて自然な流れを生み出す造形も特徴的です。
中央には、怪しげなグレーグラデーションと鮮やかなオレンジの2トーンに、強いブラックが入るペトリファイドウッドがマウントされ、アンティークジュエリーながらモダンな印象と意外性を持ったバングルに仕上げられています。
またその石とバンドの間、そしてバンドを構成している3本のワイヤーをまとめるターミナル(両端)部分には、小さなシェルコンチョのアップリケが施されており、シンプルでクリーンなシルバーワークにインディアンジュエリーらしいエスニシティな印象と複雑で奥行きのある表情が与えられているようです。
【Petrified Wood】ペトリファイドウッドは、日本語では『珪化木』と言う<木>が化石化したものです。 これらの化石はインディアン居留地であるアリゾナ北部~ニューメキシコ西部の砂漠地帯から多く産出され、古くからジュエリーに用いられています。
おおよそ2億5000万年前の木々が地中に埋もれ、地下水のケイ素成分が浸透し樹木の組織が残ったまま化石化したものです。
木が持っていた組織の違いによって多くのバリエーションが存在しますが、中でもマルチカラーで構成されたものはレインボーカラーと呼ばれ、質の高い石とされています。
またこれらの石は、その表情が異星の景色のように見えることから、【Agate】アゲート等を含め、総称として『ピクチャーストーン』『シニックストーン』と呼ばれることもあります。
インディアンジュエリーの歴史においては、コーラルやスパイニーオイスター、ラピスラズリなどと共にターコイズに次いで用いられることの多い石であり、特に第二次世界大戦中にはターコイズを採掘する鉱夫の人出が不足したため、ターコイズに代わって多く用いられました。
本作にセットされたペトリファイドウッドもインディアン居留地に近い場所で産出したものと推定可能で、アリゾナ産らしい強い透明感と鮮明なオレンジが美しい石です。
また、こちらの様にグレーを基調とした石は珍しく、絵画の力強い筆達/筆触を思わせるようなオレンジとブラックが独特な景色を生み出しており、自然が生み出していながら抽象画の様なグラフィカルな表情が大変魅力的です。
※掲載画像では背景の色・明るさによって違った色味になっておりますが、実物の色は画像に比べ少し落ち着いた色調の石となっています。白い背景の画像は実物に近い色味が再現されています。
ターコイズとは異なる独特な存在感と他に類を見ない新鮮な印象を生み出すペトリファイドウッドを用いた作品は、古くから使われる素材でありながらあまり紹介されておらず、ビンテージインディアンジュエリーの新しい側面とも感じられる為、当店では注力してご紹介しています。
【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。
最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。
それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
本作においてバンドの中央のスクエアワイヤーに見られる、長いキズの様なシルバーの重なった部分は、ハンマーワークによるインゴット成形作品の特徴です。
この様な特徴は、インゴットシルバーの『マーク』と呼ばれ、制作上のムラではありますが、コレクターに好まれる特徴の一つであり、逆に価値を高めるディテールとなっています。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。
ペトリファイドウッドは、日本において多く紹介されているインディアンジュエリーとは違ったシックなフィーリングを持っていますが、シルバーワークのディテールやデザインは、ナバホの伝統的な技術とオーセンティックな造形スタイルとなっており、その二面性も魅力的なブレスレットです。
また、有機物を起源とする石の表情やビンテージインディアンジュエリー特有の素朴な質感は渋く落ち着いた印象となっており、性別や季節を問わず多くのスタイルに馴染みの良いバングルであり、そのモダンな表情はモードな装いにもフィットします。
さらに「木の化石」という悠久の歴史を身に付けるような特別な高揚感を与えるビンテージジュエリーです。
繊細さと武骨さの両面を備えたシルバーワークと、経年によるアンティークピース独特の迫力や石の質等を含め、ハイエンドでコレクタブルなブレスレットの一つ。貴重なアンティークピースながらとてもトレジャーハントプライスな作品となっています。
◆着用サンプル画像はこちら◆
コンディションも良好です。
シルバーのクスミや細かなキズ、ハンドメイド特有の制作上のムラ等は見られますが、古い作品でありながら使用感の少ない状態となっています。
また、インゴット製法独特のシルバーの重なった部分が見られますが、これらは制作中にできるもので、ご着用にあたって破損につながる事はありません。