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JRO009128

Vintage Navajo Chiseled & Stamped Silver Ketoh Ring c.1940~

Vintage Navajo Chiseled & Stamped Silver Ketoh Ring c.1940~
75,900 円(税込)
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着用サンプル画像
https://www.instagram.com/p/DA3ekJJTKt-/
【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、手首を守る装備品である【Ketoh】ケトー/【BowGuard】ボーガードをモチーフとした『ケトーリング』とも呼ばれる伝統的な造形スタイルと、非常に洗練されたデザインが大変魅力的なアンティーク/ビンテージリングです。

ホールマーク(作者や工房等のサイン)の刻印がなく、作者や作られた工房などを特定することは出来ませんが、造形スタイルや使用されているスタンプツール(鏨・刻印)、細部のディテールからは『U.S.NAVAJO』の刻印で知られる【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)の認証を受けたトレーディングポストや【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)=通称『ナバホギルド』、またはアメリカ中西部の各地で運営されていたインディアンスクールの彫金クラスで制作された事が想起される作品です。


上記の可能性を含め、その制作された詳細な時期の特定の困難な作品ですが、1930年代末頃~1960年代前半頃までに作られた作品と思われます。

シャンクは、フロントが『スプリットシャンク』と呼ばれる伝統的な造形で3本に割り開かれており、幅の広いフェイスに向けて自然な流れを生み出しています。


その様なシャンクをベースに、指に沿うようにアールがつけられた迫力のある長方形のフェイス。そして、彫りの深い凹凸のボーダーが形作られています。

その様な立体的な凹凸は、『Chasing/チェイシング』と呼ばれる鏨を使いシルバーに立体的な角度を付ける(彫刻の様なイメージ)技術、さらに『ファイルワーク』というヤスリで削る原始的な技法を駆使することで、ラインが形成されています。

それらによって作られたライン状の凹凸は、まるでハーフラウンドワイヤーのように美しい曲面に造形されており、作者の卓越した技術力を垣間見ることが出来ます。

さらに、ライン上には素朴ながら力強いスタンプワークが刻まれ、複雑な紋様ではありませんが、力強いナバホらしさとシンプルで洗練された印象を生み出しています。


全て伝統的でプリミティブな技術・技法によって形作られた作品ですが、非常に高い完成度を誇り、手工芸品として極限まで高められたシルバーワークは、ビンテージ作品でありながらモダンでクリーンな印象を生み出しています。

それらの造形スタイルやスタンプワークのデザイン等もIACBやナバホギルドで作られたことを示すディテールとなっており、シンプルでミニマムな造形の中にインディアンジュエリー独特の味わいや武骨さも感じ取れます。



【Ketoh】ケトーや【BowGuard】ボーガードと呼ばれる装備品は、もともとは弓を引く時に手首を守るための防具/ブレスレットとして作られていたもので、現在でも儀式などで使われている伝統的なアイテムです。
それらの多くはレザーで作られたブレスレットをベースに、プレート状のシルバーを組み合わせて構成した幅の広い手首飾りです。

本作は、上記のケトー/ボーガードをモチーフにした造形のリングであり、フロント(フェイス)の幅が広く、盾を思わせるシェイプを持った非常に特徴的な造形となっています。

このような『ケトーリング』もインディアンジュエリー創成期に近い時期からみられ、ナバホの偉大な作家【Fred Peshlakai】フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)やホピの【Ralph Tawangyawma】ラルフ・タワンギャウマ(1894-1972)、同じくホピの【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)の作品でも散見される伝統的な造形の一つです。

現在においても【Thomas Curtis Sr.】トーマス・カーティス(1945-2013)や、【McKee Platero】マッキー・プラテロ(1969-)、当店でも紹介している若手作家の【Clendon Pete】クレンドン・ピート(1977-)等、多くのシルバースミスが受け継ぎ、現在でも制作されているナバホジュエリーらしい造形スタイルとなっています。



【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)は、インディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等のために現地トレーディングポストやトレーダーによって1937年に組織されました。
『U.S.NAVAJO』『U.S. ZUNI』『U.S. HOPI』のスタンプを使うことで、アメリカ政府の公認を表した公的な意味合いを重視した組織です。

国としての歴史が浅く、カルチャーやアートに乏しいと考えたアメリカ政府が、インディアンアート/クラフトをアメリカの誇る独自のアート・工芸として世界的に認知させることもIACB発足の目的だったようです。

さらに、1930年代以降に隆盛した【BELL TRADING POST】や【Maisel's Indian Trading Post】、【Arrow Novelty】等の"Manufacturers"とされる量産化を推し進めたメーカーによるマスプロ品と、その製法や工程において正当なインディアンジュエリーであること等を差別化する事も必要とされていました。
上記のような現在『フレッド・ハービースタイル』と呼ばれるメーカーでは、ジュエリー等の製作に分業化や機械化を進め、結果的にインディアンジュエリー作家の独立や生計を圧迫しました。
そのため、古くからインディアン達と密接に付き合い、インディアンアート/クラフトを扱うトレーディングポストやトレーダー、さらにはインディアンアーティスト自身たちによって、量産化を図るメーカーに対する対抗策が講じられました。

Indian Arts & Crafts Boardもその中の一つで、サンタフェの人類学研究所キュレーターである【Kenneth Chapman】ケネス・チャップマンと、フォートウィンゲート及びサンタフェインディアンスクールで彫金クラスを受け持つナバホの巨匠【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)の二人によって、その素材から製法・仕上げに至るまで『U.S.NAVAJO』の刻印を許可する厳しいガイドラインが設定されました。

前述の様に末尾のナンバーはそれぞれトレーディングポストや工房を表しています。
現在、判明しているナンバーは・・・
U.S.NAVAJO 1 = Gallup Mercantile
U.S.ZUNI 1 & U.S.NAVAJO 2 = C. G. Wallace Trading Post 等があります。

また、末尾の数字が二桁(20~60、70はナバホギルド)のものはアメリカ中西部に点在している政府が運営するインディアンスクールの彫金クラスで制作されたピースになります。

それらのホールマーク刻印は、ティファニー社に制作をオーダーしたとされており、通常はジュエリー制作の初期段階で刻むのがホールマークや素材表記の刻印ですが、ジュエリーの製法や素材に対する厳正な審査を受けた事を証明する為の刻印であるU.S.NAVAJO/U.S. ZUNI/U.S. HOPIの刻印は、作品完成後に刻印され、中央ではなくサイドやターミナルに近い場所に刻印されている事が多いのも特徴です。

その認証システムは、伝統的な作品を扱うトレーダーにとって非常に重要であり高い需要があったようですが、その審査を担当した彫金の教員経験を持つシルバースミスは僅か数人であり、アメリカ中西部の広い範囲に分布したトレーディングポストを回って審査・認証していくという供給が全く追い付かず、その為にシステム自体が短命に終わってしまったようです。



【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG)※以下ナバホギルドはインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等、【The United Indian Trader’s Association】(UITA)とも近しい目的の為に、ナバホのシルバースミス達の手によって組織されました。

中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、大巨匠であるナバホのシルバースミスAmbrose Roanhorseが代表を務め、後進の育成や伝統的な技術の伝承、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。
明確にはなっていませんが、U.S.NAVAJO/Indian Arts & Crafts Boardが1937年~1940年代の初め頃までしか見られないのも、第二次世界大戦の激化による影響だけではなく、どちらの組織においても重要な役割を担っていたAmbrose Roanhorseが、Navajo Guild/The Navajo Arts & Crafts Guildに注力したためではないかと考えられます。

ナバホギルドによる作品のスタイルは特徴的で、Ambrose Roanhorseの意図が強く働いた影響のためか、インゴットから作られたベースに、クリーンで構築的なスタンプワークをメインとしたデザインと、昔ながらのキャストワークによるピースが多く、どちらも回顧主義的なオールドスタイルでありながら、洗練された美しい作品が多く制作されました。

また、もう一つの特徴はその構成メンバーです。当時から有名で最高の技術を究めた作家が名を連ねています。
【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ、【Mark Chee】マーク・チー、【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン、【Allan Kee】アレン・キー、【Ivan Kee】アイバン・キー、【Jack Adakai】ジャック・アダカイ、【Billy Goodluck】ビリー・グッドラック等、さらに、Ambrose Roanhorseの教え子の一人であるホピ族の【Louis Lomay】ルイス・ロメイもナバホギルドのメンバーだったようです。

さらに特筆すべきは、これだけ有名作家が揃っていながら【NAVAJO GUILD】のジュエリーとして制作されるものは、個人のホールマーク(署名/サイン)が認められていませんでした。そのため、1941年の発足から1940年代の半ばごろまでは、まったくホールマークなどが記載されていないか、1943年以前には『U.S.NAVAJO 70』が用いられています。

その後、1943年に【Horned Moon/ホーンドムーン】と呼ばれる空を司る精霊をモチーフとしたシンボルがナバホギルドの象徴として商標登録されており、諸説ありますが1940年代後半頃からホールマークとして作品に刻印されるようになったようです。1950年代以降になってからは『NAVAJO』の文字や、銀含有率92.5%の地金であることを示す『STERLING』の刻印が追加されていきます。
また、1940年代後半以降でもホールマークの刻印が刻まれていない個体も多く発見されています。

ナバホギルドの代表を務めた【Ambrose Roanhorse】は後進の育成にも熱心な作家で、1930年代からサンタフェのインディアンスクールで彫金技術のクラスを受け持っており、多くの教え子を持っていました。
サードジェネレーションと呼ばれる第3世代の作家ですが、さらに古い年代の伝統を重んじた作品を多く残し、独特の造形美や完成された技術は次世代に絶大な影響を与えた人物です。

また、【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)ナバホギルドのピースは、アメリカ国内では非常に高い知名度を誇っていますが、それに比例せず現存数がとても少ないことも特徴です。 コレクターのもとには一定数があると思われますが市場に出る個体は少なく、現在発見するのが大変困難になっています。



【Indian School】インディアンスクールは、アメリカ中西部のインディアンリザベーションで古くから運営されるインディアン向けの学校で、基礎教育から職業訓練まで幅広い活動を行っています。

1930年代には、【Fred Peshlakai】 フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)や【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が彫金クラスで教員として技術を教えており、近代では【Perry Shorty】ペリー・ショーティーなども教員を務めています。



本作も独創的で強いオリジナリティを持ったリングであり、古い作品ながら非常に完成度の高い作品。トラディショナルな技術によって複雑で立体的な造形が形作られ、クラシックな雰囲気やイメージを備えながらも、唯一無二のデザイン/造形に仕上げられています。


また、ケトースタイルというボリューム感のある造形となっていますが、石のセットされないシルバーのみによる構成は仰々しい印象が無く、着用した時にそれほどの派手さを感じさません。
しかしながら、独自性を持ったデザイン/造形はアーティーな魅力を宿し、現代においても洗練された表情を作っています。

アンティークの質感とフェイスの柔らかな曲面/アールによって、手への馴染みも違和感のないリング。性別やスタイルを問わず多くのシーンにおいてナチュラルに溶け込むと思われます。


また、本作の様にシルバーのみで構成されたアンティークリングは非常に現存数が少なく、こちらの作品と類似したリングを発見するのは不可能に近いように思われます。
高い希少性と共に普遍的な造形美を有し、非常にコレクタブルな作品の一つとなっており、トレジャーハントプライスなピースです。

◆着用サンプル画像はこちら◆



コンディションも大変良好です。
シルバーのクスミやシャンクの小さなキズ、ハンドメイド作品特有の制作上のムラ等は見られますが、使用感を感じない大変良い状態を保っています。
【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、手首を守る装備品である【Ketoh】ケトー/【BowGuard】ボーガードをモチーフとした『ケトーリング』とも呼ばれる伝統的な造形スタイルと、非常に洗練されたデザインが大変魅力的なアンティーク/ビンテージリングです。

ホールマーク(作者や工房等のサイン)の刻印がなく、作者や作られた工房などを特定することは出来ませんが、造形スタイルや使用されているスタンプツール(鏨・刻印)、細部のディテールからは『U.S.NAVAJO』の刻印で知られる【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)の認証を受けたトレーディングポストや【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)=通称『ナバホギルド』、またはアメリカ中西部の各地で運営されていたインディアンスクールの彫金クラスで制作された事が想起される作品です。


上記の可能性を含め、その制作された詳細な時期の特定の困難な作品ですが、1930年代末頃~1960年代前半頃までに作られた作品と思われます。

シャンクは、フロントが『スプリットシャンク』と呼ばれる伝統的な造形で3本に割り開かれており、幅の広いフェイスに向けて自然な流れを生み出しています。


その様なシャンクをベースに、指に沿うようにアールがつけられた迫力のある長方形のフェイス。そして、彫りの深い凹凸のボーダーが形作られています。

その様な立体的な凹凸は、『Chasing/チェイシング』と呼ばれる鏨を使いシルバーに立体的な角度を付ける(彫刻の様なイメージ)技術、さらに『ファイルワーク』というヤスリで削る原始的な技法を駆使することで、ラインが形成されています。

それらによって作られたライン状の凹凸は、まるでハーフラウンドワイヤーのように美しい曲面に造形されており、作者の卓越した技術力を垣間見ることが出来ます。

さらに、ライン上には素朴ながら力強いスタンプワークが刻まれ、複雑な紋様ではありませんが、力強いナバホらしさとシンプルで洗練された印象を生み出しています。


全て伝統的でプリミティブな技術・技法によって形作られた作品ですが、非常に高い完成度を誇り、手工芸品として極限まで高められたシルバーワークは、ビンテージ作品でありながらモダンでクリーンな印象を生み出しています。

それらの造形スタイルやスタンプワークのデザイン等もIACBやナバホギルドで作られたことを示すディテールとなっており、シンプルでミニマムな造形の中にインディアンジュエリー独特の味わいや武骨さも感じ取れます。



【Ketoh】ケトーや【BowGuard】ボーガードと呼ばれる装備品は、もともとは弓を引く時に手首を守るための防具/ブレスレットとして作られていたもので、現在でも儀式などで使われている伝統的なアイテムです。
それらの多くはレザーで作られたブレスレットをベースに、プレート状のシルバーを組み合わせて構成した幅の広い手首飾りです。

本作は、上記のケトー/ボーガードをモチーフにした造形のリングであり、フロント(フェイス)の幅が広く、盾を思わせるシェイプを持った非常に特徴的な造形となっています。

このような『ケトーリング』もインディアンジュエリー創成期に近い時期からみられ、ナバホの偉大な作家【Fred Peshlakai】フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)やホピの【Ralph Tawangyawma】ラルフ・タワンギャウマ(1894-1972)、同じくホピの【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)の作品でも散見される伝統的な造形の一つです。

現在においても【Thomas Curtis Sr.】トーマス・カーティス(1945-2013)や、【McKee Platero】マッキー・プラテロ(1969-)、当店でも紹介している若手作家の【Clendon Pete】クレンドン・ピート(1977-)等、多くのシルバースミスが受け継ぎ、現在でも制作されているナバホジュエリーらしい造形スタイルとなっています。



【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)は、インディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等のために現地トレーディングポストやトレーダーによって1937年に組織されました。
『U.S.NAVAJO』『U.S. ZUNI』『U.S. HOPI』のスタンプを使うことで、アメリカ政府の公認を表した公的な意味合いを重視した組織です。

国としての歴史が浅く、カルチャーやアートに乏しいと考えたアメリカ政府が、インディアンアート/クラフトをアメリカの誇る独自のアート・工芸として世界的に認知させることもIACB発足の目的だったようです。

さらに、1930年代以降に隆盛した【BELL TRADING POST】や【Maisel's Indian Trading Post】、【Arrow Novelty】等の"Manufacturers"とされる量産化を推し進めたメーカーによるマスプロ品と、その製法や工程において正当なインディアンジュエリーであること等を差別化する事も必要とされていました。
上記のような現在『フレッド・ハービースタイル』と呼ばれるメーカーでは、ジュエリー等の製作に分業化や機械化を進め、結果的にインディアンジュエリー作家の独立や生計を圧迫しました。
そのため、古くからインディアン達と密接に付き合い、インディアンアート/クラフトを扱うトレーディングポストやトレーダー、さらにはインディアンアーティスト自身たちによって、量産化を図るメーカーに対する対抗策が講じられました。

Indian Arts & Crafts Boardもその中の一つで、サンタフェの人類学研究所キュレーターである【Kenneth Chapman】ケネス・チャップマンと、フォートウィンゲート及びサンタフェインディアンスクールで彫金クラスを受け持つナバホの巨匠【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)の二人によって、その素材から製法・仕上げに至るまで『U.S.NAVAJO』の刻印を許可する厳しいガイドラインが設定されました。

前述の様に末尾のナンバーはそれぞれトレーディングポストや工房を表しています。
現在、判明しているナンバーは・・・
U.S.NAVAJO 1 = Gallup Mercantile
U.S.ZUNI 1 & U.S.NAVAJO 2 = C. G. Wallace Trading Post 等があります。

また、末尾の数字が二桁(20~60、70はナバホギルド)のものはアメリカ中西部に点在している政府が運営するインディアンスクールの彫金クラスで制作されたピースになります。

それらのホールマーク刻印は、ティファニー社に制作をオーダーしたとされており、通常はジュエリー制作の初期段階で刻むのがホールマークや素材表記の刻印ですが、ジュエリーの製法や素材に対する厳正な審査を受けた事を証明する為の刻印であるU.S.NAVAJO/U.S. ZUNI/U.S. HOPIの刻印は、作品完成後に刻印され、中央ではなくサイドやターミナルに近い場所に刻印されている事が多いのも特徴です。

その認証システムは、伝統的な作品を扱うトレーダーにとって非常に重要であり高い需要があったようですが、その審査を担当した彫金の教員経験を持つシルバースミスは僅か数人であり、アメリカ中西部の広い範囲に分布したトレーディングポストを回って審査・認証していくという供給が全く追い付かず、その為にシステム自体が短命に終わってしまったようです。



【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG)※以下ナバホギルドはインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等、【The United Indian Trader’s Association】(UITA)とも近しい目的の為に、ナバホのシルバースミス達の手によって組織されました。

中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、大巨匠であるナバホのシルバースミスAmbrose Roanhorseが代表を務め、後進の育成や伝統的な技術の伝承、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。
明確にはなっていませんが、U.S.NAVAJO/Indian Arts & Crafts Boardが1937年~1940年代の初め頃までしか見られないのも、第二次世界大戦の激化による影響だけではなく、どちらの組織においても重要な役割を担っていたAmbrose Roanhorseが、Navajo Guild/The Navajo Arts & Crafts Guildに注力したためではないかと考えられます。

ナバホギルドによる作品のスタイルは特徴的で、Ambrose Roanhorseの意図が強く働いた影響のためか、インゴットから作られたベースに、クリーンで構築的なスタンプワークをメインとしたデザインと、昔ながらのキャストワークによるピースが多く、どちらも回顧主義的なオールドスタイルでありながら、洗練された美しい作品が多く制作されました。

また、もう一つの特徴はその構成メンバーです。当時から有名で最高の技術を究めた作家が名を連ねています。
【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ、【Mark Chee】マーク・チー、【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン、【Allan Kee】アレン・キー、【Ivan Kee】アイバン・キー、【Jack Adakai】ジャック・アダカイ、【Billy Goodluck】ビリー・グッドラック等、さらに、Ambrose Roanhorseの教え子の一人であるホピ族の【Louis Lomay】ルイス・ロメイもナバホギルドのメンバーだったようです。

さらに特筆すべきは、これだけ有名作家が揃っていながら【NAVAJO GUILD】のジュエリーとして制作されるものは、個人のホールマーク(署名/サイン)が認められていませんでした。そのため、1941年の発足から1940年代の半ばごろまでは、まったくホールマークなどが記載されていないか、1943年以前には『U.S.NAVAJO 70』が用いられています。

その後、1943年に【Horned Moon/ホーンドムーン】と呼ばれる空を司る精霊をモチーフとしたシンボルがナバホギルドの象徴として商標登録されており、諸説ありますが1940年代後半頃からホールマークとして作品に刻印されるようになったようです。1950年代以降になってからは『NAVAJO』の文字や、銀含有率92.5%の地金であることを示す『STERLING』の刻印が追加されていきます。
また、1940年代後半以降でもホールマークの刻印が刻まれていない個体も多く発見されています。

ナバホギルドの代表を務めた【Ambrose Roanhorse】は後進の育成にも熱心な作家で、1930年代からサンタフェのインディアンスクールで彫金技術のクラスを受け持っており、多くの教え子を持っていました。
サードジェネレーションと呼ばれる第3世代の作家ですが、さらに古い年代の伝統を重んじた作品を多く残し、独特の造形美や完成された技術は次世代に絶大な影響を与えた人物です。

また、【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)ナバホギルドのピースは、アメリカ国内では非常に高い知名度を誇っていますが、それに比例せず現存数がとても少ないことも特徴です。 コレクターのもとには一定数があると思われますが市場に出る個体は少なく、現在発見するのが大変困難になっています。



【Indian School】インディアンスクールは、アメリカ中西部のインディアンリザベーションで古くから運営されるインディアン向けの学校で、基礎教育から職業訓練まで幅広い活動を行っています。

1930年代には、【Fred Peshlakai】 フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)や【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が彫金クラスで教員として技術を教えており、近代では【Perry Shorty】ペリー・ショーティーなども教員を務めています。



本作も独創的で強いオリジナリティを持ったリングであり、古い作品ながら非常に完成度の高い作品。トラディショナルな技術によって複雑で立体的な造形が形作られ、クラシックな雰囲気やイメージを備えながらも、唯一無二のデザイン/造形に仕上げられています。


また、ケトースタイルというボリューム感のある造形となっていますが、石のセットされないシルバーのみによる構成は仰々しい印象が無く、着用した時にそれほどの派手さを感じさません。
しかしながら、独自性を持ったデザイン/造形はアーティーな魅力を宿し、現代においても洗練された表情を作っています。

アンティークの質感とフェイスの柔らかな曲面/アールによって、手への馴染みも違和感のないリング。性別やスタイルを問わず多くのシーンにおいてナチュラルに溶け込むと思われます。


また、本作の様にシルバーのみで構成されたアンティークリングは非常に現存数が少なく、こちらの作品と類似したリングを発見するのは不可能に近いように思われます。
高い希少性と共に普遍的な造形美を有し、非常にコレクタブルな作品の一つとなっており、トレジャーハントプライスなピースです。

◆着用サンプル画像はこちら◆



コンディションも大変良好です。
シルバーのクスミやシャンクの小さなキズ、ハンドメイド作品特有の制作上のムラ等は見られますが、使用感を感じない大変良い状態を保っています。
Size

日本規格 約 17~18号   円周 約 58.2㎜   us9
正面幅 約 23.9㎜

Material

Silver