【ZUNI】ズニか【NAVAJO】ナバホのオールドジュエリー、1950年に始まった漫画『ピーナッツ』の主人公スヌーピーがモチーフとなったビンテージ/オールドピン/タイタックピンです。
ズニトゥーンズと呼ばれるキャラクターモチーフジュエリーの中では、とても珍しいサンドキャストによって成形された作品で、キャッチーなアイテムながら細部に拘った立体的な造形やディテールも魅力的な作品となっています。
本作は本来、タイタックピン/タイピンと呼ばれるアイテムを原型としていますが、こちらにはキャッチパーツにチェーンにつながれた小さなバーがついていないタイプの為、ネクタイをシャツにホールドすることは出来ません。
現在の日本における「ネクタイピン」は、バー形状でクリップタイプのものが主流となっていますが、元々はこちらの様な針/ニードルパーツの付くピンが「タイピン」です。
本来は、ネクタイの中央にピンをセットし、チェーンでつながれた小さなバーをシャツのボタンホールに通すことでシャツとネクタイを接続します。1950年代までは多くみられたアイテムであり、非常にエレガントで美しいポイントとなりますが、ネクタイに穴をあけることになる為、現在では前述のようなクリップタイプの「タイバー」が主流となりました。
現在では、本作の様にタイピンのニードルパーツを備えたアイテムが『ピンズ』と呼ばれて普及しており、ジャケットのフラワーホールに飾る「ラペルピン/ブートニエール」へと流用され、その使用法と共にアイテムとしても生まれ変わっている印象です。
1970年代後半~1980年代頃に作られた作品と思われ、キャラクターモチーフの中でも人気が高く、アメリカンカルチャーを代表しながら、時にはイデオロギーを代弁するキャラクターでもある【Snoopy/スヌーピー】モチーフ。ディズニーのキャラクターに比べると現存数が少なく希少なピースです。
さらに、他に類を見ない特徴がその製法で、サンドキャスト(砂型鋳物)というナバホジュエリーの伝統的な技術により、立体的で柔らかな曲面のスヌーピーが成形されています。
現在のズニジュエリーにおいては殆ど見られない技術ですが、古くはズニの偉大な作家【Horace Iule (Aiuli)】ホレス・イウレ(1899~1901?-1978)や【Juan Calavaza】ファン・カラバザ(1910's-1970)の作品等では、サンドキャストを用いた作品が多く見られます。
またスヌーピーの目の部分には、小さなターコイズがマウントされたリラックス感のある表情が特徴的で、尻尾等の細部にも拘った丁寧な造作も印象的な作品となっています。
こちらの様なアイコニックなキャラクターモチーフのインレイジュエリーは、創始者でもある【Veronica Poblano】ベロニカ・ポブラノやナバホ出身ながら、インレイ技法を好んだ作家【Carol Kee】キャロル・キー等が有名で、ズニの作家によって多くの作品が制作されましたが、ディズニーの指摘などであまり制作されなくなりました。
本作はインレイ技法ではなく、シルバーの柔らかな曲面と立体感によってスヌーピーが形作られた例外的なピースで、殆どがシルバーのみで構成される為に落ち着いた雰囲気を持っています。
また、ニードルを受ける留め具/キャッチパーツに厚みがある為、ハットピンなどには向いていませんが、前述のように本来の使用法であるタイピンとしてだけでなく、ラペルピン/ブートニエールやアウターのワンポイントとしてもキャッチーで遊び心を感じさせるアクセントになってくれます。
また、素朴で愛らしいスヌーピーのイメージはとても愛嬌がありますが、甘すぎない表情とハンドクラフトの味わい、さらに作者のオリジナリティによって大人向けの作品となっており、スタイルや季節を問わず馴染みやすく、日常の装いにさり気なく個性を与えてくれるアイテムです。
日本ではあまり紹介されていない本作のようなビンテージのキャラクターモチーフジュエリーですが、アメリカではコレクターが多い為になかなか出会う事が出来なくなっており、とても希少でコレクタブルな作品の一つとなっています。
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コンディションも良好です。
シルバーには多少のクスミ等が見られ、ハンドメイド特有の制作上のムラがありますが、特に目立ったダメージは無く良い状態を保っています。