【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、キャストで成形された重厚なトライアングルワイヤー(竜骨型)をベースに、端正なライン模様を刻むファイルワークのみ構成されたアンティーク/ビンテージバングルです。
ミニマムなデザインにより洗練された完成度を有しクリーンでシンプルな作品ながら、ナバホジュエリーらしい武骨な質感やアーシーな魅力も帯びたブレスレットとなっています。
大変シンプルなシルバーワークによって構成されている為、その制作時期の特定が困難なピースです。
1940年代~1990年代頃まで非常に広く可能性を捨てきれませんが、その製法や造形、ホールマーク(作者やショップのサイン)が刻印されていない事等から、1950年代後半~1960年代頃に制作された可能性の高い作品です。
おそらく、トゥーファキャストによってある程度成形した重厚なトライアングルワイヤーをベースとし、ヤスリで削り出すことによって少しマットな質感とエッジーでソリッドな表情が与えられています。
内側も滑らかな肌に削り鞣されていますが、全体に僅かなキャストの形跡が感じられる仕上げとなっており、アーシーな雰囲気を演出しているようです。
フロントと両サイド部分にはファイルワークという鑢で削る原始的な技術によって上下左右対称にライン模様が刻まれており、シンプルながら力強く、エッジ―で洗練された印象を生み出しているようです。
硬くエッジの立ったトライアングルワイヤーによる構築的なデザイン・造形にさらなる洗練度を与えており、伝統的な造形と技術で作り上げながら、現代的なセンスを持った作品となっています。
また、本作のようにトライアングルワイヤーをベースに、ライン模様を刻み込むことで構築的でモダンな印象を生む造形スタイルは、1950年代後半以降にはナバホの作家によって多く制作されました。
それらの製作な発祥は不明となっていますが、おそらくナバホの巨匠【Fred Thompson】フレッド・トンプソン(1921or1922-2002)や、【Manuel Naranjo】マヌエル・ナランホ(1909?-2004)、サントドミンゴの巨匠【Vidal Aragon】 ビダル・アラゴン(1923-2015)らの作品による影響が考えられます。
ビンテージナバホジュエリーの素朴で武骨な雰囲気と、伝統的な造形スタイルであるトライアングルシェイプによるエッジーな表情を併せ持ち、ビンテージ作品ながらミニマムでモダンな印象のブレスレットであり、長年にわたってご愛用いただけると思われます。
また、程よい幅と馴染みの良い質感は、重ね付けにも向いたバングルですが、こちらの様な太さのトライアングルワイヤーは単独でもしっかりとした存在感を放ちます。
その削ぎ落とされたデザインの中に、ナバホジュエリー特有の野性味と、構築的で無機質な印象が与えられており、相反するイメージを内包する二面性も魅力的なバングル。多くのスタイルにフィットしながら、変幻自在な表情を見せる作品です。
本作のようなトライアングルバングルは、古いナバホジュエリーの中でも最も人気の高い造形スタイルの一つであり、コレクタブルなキラーピースとなっています。
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コンディションは、シルバーのクスミやヤスリ跡等のハンドメイドによる造形特有の制作上のムラ等は見られますが、使用感を感じさせない大変良好な状態を保っています。