【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルや【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーと呼ばれる、20世紀前半頃にアメリカ中西部の観光客向けに制作されたスーベニアアイテム(土産物)の一つとして作られたアンティーク/ビンテージピンブローチです。
左右に大きく翼を広げたサンダーバードは、どこか可愛い印象を与え、ツーリスアイテムらしいキャッチーな雰囲気が魅力的なピースとなっています。
1930年代頃に作られたと思われ、オーセンティックなサンダーバードシェイプのセンターには、リポウズ/バンプアウト等と呼ばれるシルバーを叩き出す技術によって丸く立体的な造形が作られています。
これは、現在多くみられる凸と凹の金型ツールを用いたディテールではなく、硬い木の土台や鉛の塊にアール(曲面)の溝を彫り込み、そこにシルバーを非常に細かく何度もタガネで叩き沿わせることによって曲面を作る古い技法によって形作られています。
さらにスタンプワークによってサンダーバードの細部が描き出され、ツーリストジュエリーらしい雰囲気に仕上げられています。
制作工程には機械が用いられているため、マシン&ハンドメイドのハイブリッドな製法によって形作られており、ある程度量産されたピースですが現在では現存数の少ない貴重な物となっています。
また当時の資料により、おそらくコインシルバーで作られており、少し硬く渋い質感のシルバーが用いられています。
この様なデザインとディテールのサンダーバードピンブローチは、コロラド州デンバーでツーリスト向けのジュエリーを最も古くから製造していたことで知られる【Harry Heye Tammen】H.H.タンメン社、又は同社から独立したニューヨークのメーカー【Arrow Novelty】アローノベルティ社等で製造されていましたが、ショップマークやホールマークは入らず、正確な詳細は不明となっています。
【Thunderbird】サンダーバード はインディアンジュエリーの伝統的なモチーフの一つで、伝説の怪鳥であり、雷や雲、ひいては雨とつながりが深く幸福を運んでくるラッキーシンボルでもあります。
ジュエリーでは、限界の無い幸福を表すシンボルであり、ネイティブアメリカンの守り神的存在です。
サンダーバードのモチーフはキャッチーでポップな印象ですが、ビンテージ特有のナチュラルで渋い質感も持ったピース。
こちらのようなピンは、ハット等のワンポイントやラペル、バッグ等にもフィットしますし、日常的なスタイルにおいて、さり気なくも効果的なアクセントとなってくれます。
さらにアイコニックなサンダーバードの印象は、男性向けのアクセサリーには重要な要素である『ギャップ』と『遊び心』を与えてくれるアイテムであり、さり気なくスタイルに奥行きをもたらすことが出来るビンテージジュエリーです。
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コンディションも経年によるシルバーのクスミや小キズ等は見られますが、特にダメージの無い良好な状態を保っています。