【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、細部まで凝ったシルバーワークによって仕上げられた『Potted Flowers/鉢花』がモチーフとなったデザインのアンティーク/ビンテージリングです。
高さのあるカットが特徴的でナチュラルな色相が美しいレッドコーラル(珊瑚)と、花を表現するターコイズの生み出すコントラストにより、独自性と愛らしい印象を持った作品となっています。
1950年代末頃~1970年前半代頃に制作された作品と思われます。
ホールマーク(作者や工房等のサイン)やスタンプワークが施されていない為、正確に制作年代を特定する事が困難ですが、造形スタイルや石の質、シルバーワーク等のディテールにより制作年代を推定しています。
リングのシャンク部分は『スプリットシャンク』と呼ばれる伝統的な造形となっており、フロントに向け2本に割り開かれることで、フェイスに向かって幅とボリューム感を持たせた造形となっています。
フェイスは鉢花のデザインに合わせた繊細なカッティングが施される事で、華やかで動きのあるシェイプとなっています。
下部に配されたコーラルのベゼル(覆輪)には、ハンドメイドされたトゥースベゼル/ノッチドベゼル(刻みのある)が採用され、目立ったディテールではありませんが、作品に複雑で重厚な表情を与えています。
さらに、シルバーワイヤーを撚り合わせる事で作るツイステッドワイヤーや、それをフラットに叩き鞣したパーツ、シルバープレートを立体的に曲げる事で造形している鉢植え等が立体的で緻密に構成される事で、素朴ながら楽し気で華やかな印象のフェイスが形作られています。
また、花を表現しているターコイズはラウンドやトライアングル等、異なるシェイプにカットされる事で、小さなサイズながら広がりや有機的な動きのあるフェイスとなっているようです。
本作の様なPotted Flowers/鉢花をモチーフとしたインディアンジュエリーは、ナバホやズニ等の作品で散見され、その発祥は不明となっています。
ただし、その植物の表現や複合的なシルバーワークの組み合わせからは、インディアンジュエリー史に多大な影響を与えた偉大なイタリア人作家【Frank Patania Sr.】フランク・パタニア(1899-1964)及び、同氏が1927年に創業したシルバージュエリーショップである【Thunderbird Shop】で作られたジュエリーを起源としている可能性が高いように思われます。
マウントされたレッドコーラル/赤珊瑚は、イタリア産か東南アジア産と思われ、柔らかで美しい色彩が特徴的なナチュラルコーラルとなっています。
紅い色彩は強い存在感を放ちますが、ナチュラルな素材特有のなじみの良い表情が魅力的です。
本作が作られた当時に比べ、現代ではとても高い市場価値を有し、注目度も高い素材となっています。
また本作は、コーラルの色彩に負けない迫力のあるボリューム感を持つリングですが、デザインのバランスやアーシーなターコイズの表情等により、素朴さや調和を感じさせる作品となっています。
そして、完成度の高い丁寧なシルバーワークによっても奥行きと上質感が生み出され、幅広いコーディネイト・年齢・シーンにフィットするリングとなっています。
日常の装いに自然で華やかなアクセントとなってくれる作品であり、そのボリューム感に反して、沢山のジュエリーと合わせても、単独でも手に馴染みやすく合わせやすいジュエリーとなっています。
製法やモチーフはナバホジュエリーの伝統的な構成となっていますが、流麗で細かなシルバーワークによってエレガントな印象も与える作品であり、細部には作者のオリジナリティを秘めています。
類似作品を見つけるのは不可能に近いピースであり、トレジャーハントプライスな作品となっています。
◆着用サンプル画像はこちら◆
コンディションは、多少のクスミやハンドメイド作品特有の制作上のムラ等は見られますが、目立ったダメージの無い良好な状態です。
また、ターコイズやコーラルも天然石に由来するマトリックス部分の凹凸等が見られますが、ダメージのないコンディションを保っています。