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JRF007675

Attr.to【Ganscraft】Atq 卍 Applique Rambus Shape Ring c.1930~

Attr.to【Ganscraft】Atq 卍 Applique Rambus Shape Ring c.1930~
68,200 円(税込)
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着用サンプル画像
https://www.instagram.com/p/C0MTdJLPcdI/
【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、当時サンタフェに在った【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS】=【Ganscraft】で制作された事が判断可能アンティーク/ビンテージリングです。

独特な菱形/ダイヤ型のシェイプをベースに【逆卍】Whirling Log/Nohokosのアップリケが施され、クラシックで伝統的なアイテムながら非常に現存数が少なく、大変貴重なピースの一つとなっています。


20世紀前半頃にアメリカ中西部の観光客向けに制作された【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれるスーベニアアイテム(土産物)の一つ。
しかしながら全ての工程がハンドメイドによって仕上げられており、当時のカタログ資料やスタンプツール(鏨・刻印)のデザインによって、当時サンタフェに在った【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS】=【Ganscraft】で制作された物と判断できる作品です。


1920年代末~1930年代頃に作られたツーリストジュエリーらしいモチーフのピースですが、おそらくインゴットシルバー又は『スラッグシルバー』と呼ばれる(小さな銀塊)から成形された地金をベースに造形されたリングです。

センターが広く内側が細いシャンクの造形は『シガーバンドリング』とも呼ばれるクラシックなシェイプとなっていますが、フェイス部分は菱形/ダイヤ型のシェイプに造形された珍しいデザイン。
フェイスとシャンクの角部分には、ハンドカットに由来するカッティングの跡が確認可能で、細部には粗暴にも感じられるシルバーワークも見られますが、ハンドメイド特有のディテールでもあり、作者の手仕事が体感できる部分でもあります。

そのフェイスには大きく斜めに卍の刻印が刻まれたアップリケが施され、その卍に合わせた菱型のフェイスとなっています。
さらに、その上下左右にもプリミティブなスタンプワークが配されることで複雑な表情と奥行きが与えられ、シャンクの両サイド部分にも小さな卍が刻まれています。

ビンテージインディアンジュエリーらしく素朴でエスニシティな印象に仕上げられたリング。また、クラシックで少し控えめなシガーバンドリングのシェイプは程よい存在感を放ち、指に良く馴染む雰囲気を作り上げているようです。


本作を元に量産化されたツーリストジュエリーも存在し、それらはとても良く似たデザインとなっています。しかしながら、制作工程の一部に機械(マシン)が用いられていたマシン&ハンドメイドのハイブリッドなピースと異なり、本作はGanscraft社で作られたオリジナル作品であり、全てハンドメイドで仕上げられています。



【Julius Gan's Southwestern Arts and Crafts】(以下ガンズクラフト)は、もともとは法律家だった【JULIUS GANS 】ユリウス・ガンズによって1915年、サンタフェプラザに小さなインディアンアート/アンティークショップとして創業し、その後、サンタフェでも最大級の店に成長していきます。
1927年ごろからは独自にナバホ・プエブロのインディアンシルバースミスを雇い入れ、店頭にてその作業を見せるスタイルで運営されていました。

当時、雇われていたアーティストは現在では非常に豪華で、その後有名作家として名を馳せる人物が多い事も特徴と言えます。
それは、【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース、【David Taliman】デビッド・タリマン、【Mark Chee】マーク・チー、そして【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナ等、非常に優秀で後世にも多大な影響を与えた作家たちが所属していました。
そのため、当時から同工房で生まれた作品は、大変評価が高くトラディッショナルなスタイルを守りながらも独自性のある作品も多く作られました。

しかし、その歴史は平坦でなかったようです。
ガンズクラフトでは、現在フレッド・ハービースタイルと呼ばれるBELLやMaisel's等のメーカーとは異なり、一人の作家がすべての工程を担い、材料の加工から仕上げまでを行っていましたが、いち早くシルバーシート/ゲージ(銀板)材料の導入を行いました。
そのため、政府(米国公正取引委員会)の介入を受けることになり、Maisel's等と同様に扱われることになってしまいます。そして、1930年代中ごろには国立公園内等での販売が出来なくなってしまいました。

そこで、復権のために導入されたのが本作の様に『S』の刻印を持つ【Slug Silver】です。 Slug Silverは、それまでのインゴットに比べると小さなコインシルバーの塊で、大きく扱いにくいインゴットよりも効率がよく、制作しやすかったようです。前述の【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナもSWCA在籍時にはこの『S』の刻印を使用していたと証言しています。

現在、【Fred Harvey Style】は明確な定義がなく、Fred Harvey Companyもレストランやホテル等の観光施設経営でだけでなく、もともとはインディアンアートトレーダーとしての側面を持っていました。
そのため、こちらのガンズクラフトやSeligman's、GARDEN OF THE GODS TRADING POST等も旅行者に向けた「スーベニアビジネス」・「ツーリストジュエリー」と言う意味では量産化した工房のBELLやMaisel'sと同様です。

ただし、現代において多くのフレッド・ハービースタイルと呼ばれる作品の多くが、Arrow NoveltyやBELL、Maisel's、Silver Arrowの分業化や量産化を推し進めたメーカーのピースであることを踏まえると、こちらの様に全行程を一人の作家が担当し、ベンチメイドによりすべて手作業で仕上げられている作品はフレッド・ハービースタイルの作品群(マスプロ)とは一線を画しています。

また、もう一つのガンズクラフトの特徴としては半数以上の職人が在宅で仕事をし、定期的に作品を収めるスタイルをとっていたことです。
そのため、同工房が供給する独特のコマーシャルスタンプ(量産化された鏨)も使用しながら、上質なターコイズや安定した質のコインシルバー(Slug Silver)も供給されたことで、それぞれがハイクオリティーで個性的な作品を残すことになったようです。

さらに、現代においてもチマヨ織物を用いたジャケット等で知名度を持つ【Ganscraft】ガンズクラフト社と同じカンパニーであり、パースと呼ばれるチマヨ織のポーチを最初に制作・販売した工房としても有名です。
現在では日本の老舗アパレルである東洋エンタープライズ社が実名復刻をされておられます。



【Cigar Band Ring】シガーバンドリングは、インディアンジュエリーに限らずセンターが広く内側が細いシャンクの造形を持ったリングの俗称です。
語源については、葉巻に巻かれている帯が元となっています。現在ではブランドが確認できるデザインが描かれていますが、もともとは手袋や手に葉巻によるシミが付くことを防ぐ為に考案された帯です。
その帯と形状が似ていることから同スタイルのリングが『シガーバンドリング』と呼ばれるようになりました。



卍 【スワスティカ】 Whirling Log 【ワーリングログ】について・・・
4つの【L】 『LOVE・LIFE・LUCK・LIGHT』 からなる幸福のシンボル卍(Swastikaスワスティカ)はラッキーシンボルとして当時よく使われていたモチーフです。

しかしながら、1933年のナチスドイツ出現、1939年にWW2開戦によりアメリカにおいては敵国ドイツのハーケンクロイツと同一記号は不吉だとして使われなくなってしまいました。
当時の新聞記事にも残っていますが、インディアンたちにも卍が入った作品の廃棄が求められ、政府機関によって回収されたりしたようです。 その後、大戦中にも多くが廃棄されてしまった歴史があり、現存しているものは大変貴重となりました。
こちらはそのような受難を乗り越えて現存しているものです。



【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。
また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。

同様に【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、こちらは世界中で共通の基準となっています。
また『割金』と呼ばれる残りシルバー以外の7.5%には、銅やアルミニウム等が含まれています。(現在では、スターリングシルバーの割金は7.5%全てが銅と決められています)
主にイギリスの影響を受けた国において『STERLING』、それ以外の国において『925』の表記・刻印が使用されています。

925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバー製のコインを溶かすことで、材料(地金)を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。

インディアンジュエリーの歴史では、1900年代初頭にH.H.タンメン社が『800-Fine Silver』(シルバー含有率80.0%)を採用し、1910年代~1940年代初頭までに作られたツーリストジュエリーにおいては、Coin Silver 900が多く採用されました。

シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異は純度2.5%の違いしかない為、見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。

さらに古い1800年代後半頃の作品では、メキシカンコインが多く含まれていたためか、そのシルバーの純度は95.0%に近くなっているようですが、身近な銀製品を混ぜて溶かしていた歴史を考えると純度に対してそれほど強い拘りはなかったことが推測されます。



【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。

現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。
最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。

また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。



ツーリストジュエリーらしいモチーフとバランスの良いデザインが好印象なリングであり、クラシックで程よいボリューム感、そしてアンティークインディアンジュエリー独特のヘリテージ感も素晴らしい雰囲気となっています。

特にこちらはツーリストジュエリーの中でも完成度が高く珍しいデザイン/造形の作品であり、長くご愛用いただける普遍的な造形美を持ったキラーピース。
伝統的なシルバーワークで作られた技術と造形センスを感じるリングであり、シルバーのみで構成されている為、性別やコーディネイトを問わずフィットし、アンティークの質感によって大人向けのアイテムに昇華されている印象です。


アンティークジュエリーの中でもリング/指輪は使用による消費や紛失などにより、現存数が少なく大変希少なアイテム。
さらに本作は、インディアンジュエリー史の中でも重要な役割を担っていた【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS/ガンズクラフト社】で作られ、その時代の作品群の歴史を紐解く上でも史料価値の高いコレクタブルなアンティークジュエリーです。

◆着用サンプル画像はこちら◆



コンディションも良好です。
古いサイズお直しの跡が見られますが、強度には全く問題ありません。
また僅かな使用感や細かなキズ、ハンドメイド特有の制作上のムラなどが確認できますが、目立ったダメージは無くとても良い状態を保っています。
【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、当時サンタフェに在った【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS】=【Ganscraft】で制作された事が判断可能アンティーク/ビンテージリングです。

独特な菱形/ダイヤ型のシェイプをベースに【逆卍】Whirling Log/Nohokosのアップリケが施され、クラシックで伝統的なアイテムながら非常に現存数が少なく、大変貴重なピースの一つとなっています。


20世紀前半頃にアメリカ中西部の観光客向けに制作された【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれるスーベニアアイテム(土産物)の一つ。
しかしながら全ての工程がハンドメイドによって仕上げられており、当時のカタログ資料やスタンプツール(鏨・刻印)のデザインによって、当時サンタフェに在った【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS】=【Ganscraft】で制作された物と判断できる作品です。


1920年代末~1930年代頃に作られたツーリストジュエリーらしいモチーフのピースですが、おそらくインゴットシルバー又は『スラッグシルバー』と呼ばれる(小さな銀塊)から成形された地金をベースに造形されたリングです。

センターが広く内側が細いシャンクの造形は『シガーバンドリング』とも呼ばれるクラシックなシェイプとなっていますが、フェイス部分は菱形/ダイヤ型のシェイプに造形された珍しいデザイン。
フェイスとシャンクの角部分には、ハンドカットに由来するカッティングの跡が確認可能で、細部には粗暴にも感じられるシルバーワークも見られますが、ハンドメイド特有のディテールでもあり、作者の手仕事が体感できる部分でもあります。

そのフェイスには大きく斜めに卍の刻印が刻まれたアップリケが施され、その卍に合わせた菱型のフェイスとなっています。
さらに、その上下左右にもプリミティブなスタンプワークが配されることで複雑な表情と奥行きが与えられ、シャンクの両サイド部分にも小さな卍が刻まれています。

ビンテージインディアンジュエリーらしく素朴でエスニシティな印象に仕上げられたリング。また、クラシックで少し控えめなシガーバンドリングのシェイプは程よい存在感を放ち、指に良く馴染む雰囲気を作り上げているようです。


本作を元に量産化されたツーリストジュエリーも存在し、それらはとても良く似たデザインとなっています。しかしながら、制作工程の一部に機械(マシン)が用いられていたマシン&ハンドメイドのハイブリッドなピースと異なり、本作はGanscraft社で作られたオリジナル作品であり、全てハンドメイドで仕上げられています。



【Julius Gan's Southwestern Arts and Crafts】(以下ガンズクラフト)は、もともとは法律家だった【JULIUS GANS 】ユリウス・ガンズによって1915年、サンタフェプラザに小さなインディアンアート/アンティークショップとして創業し、その後、サンタフェでも最大級の店に成長していきます。
1927年ごろからは独自にナバホ・プエブロのインディアンシルバースミスを雇い入れ、店頭にてその作業を見せるスタイルで運営されていました。

当時、雇われていたアーティストは現在では非常に豪華で、その後有名作家として名を馳せる人物が多い事も特徴と言えます。
それは、【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース、【David Taliman】デビッド・タリマン、【Mark Chee】マーク・チー、そして【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナ等、非常に優秀で後世にも多大な影響を与えた作家たちが所属していました。
そのため、当時から同工房で生まれた作品は、大変評価が高くトラディッショナルなスタイルを守りながらも独自性のある作品も多く作られました。

しかし、その歴史は平坦でなかったようです。
ガンズクラフトでは、現在フレッド・ハービースタイルと呼ばれるBELLやMaisel's等のメーカーとは異なり、一人の作家がすべての工程を担い、材料の加工から仕上げまでを行っていましたが、いち早くシルバーシート/ゲージ(銀板)材料の導入を行いました。
そのため、政府(米国公正取引委員会)の介入を受けることになり、Maisel's等と同様に扱われることになってしまいます。そして、1930年代中ごろには国立公園内等での販売が出来なくなってしまいました。

そこで、復権のために導入されたのが本作の様に『S』の刻印を持つ【Slug Silver】です。 Slug Silverは、それまでのインゴットに比べると小さなコインシルバーの塊で、大きく扱いにくいインゴットよりも効率がよく、制作しやすかったようです。前述の【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナもSWCA在籍時にはこの『S』の刻印を使用していたと証言しています。

現在、【Fred Harvey Style】は明確な定義がなく、Fred Harvey Companyもレストランやホテル等の観光施設経営でだけでなく、もともとはインディアンアートトレーダーとしての側面を持っていました。
そのため、こちらのガンズクラフトやSeligman's、GARDEN OF THE GODS TRADING POST等も旅行者に向けた「スーベニアビジネス」・「ツーリストジュエリー」と言う意味では量産化した工房のBELLやMaisel'sと同様です。

ただし、現代において多くのフレッド・ハービースタイルと呼ばれる作品の多くが、Arrow NoveltyやBELL、Maisel's、Silver Arrowの分業化や量産化を推し進めたメーカーのピースであることを踏まえると、こちらの様に全行程を一人の作家が担当し、ベンチメイドによりすべて手作業で仕上げられている作品はフレッド・ハービースタイルの作品群(マスプロ)とは一線を画しています。

また、もう一つのガンズクラフトの特徴としては半数以上の職人が在宅で仕事をし、定期的に作品を収めるスタイルをとっていたことです。
そのため、同工房が供給する独特のコマーシャルスタンプ(量産化された鏨)も使用しながら、上質なターコイズや安定した質のコインシルバー(Slug Silver)も供給されたことで、それぞれがハイクオリティーで個性的な作品を残すことになったようです。

さらに、現代においてもチマヨ織物を用いたジャケット等で知名度を持つ【Ganscraft】ガンズクラフト社と同じカンパニーであり、パースと呼ばれるチマヨ織のポーチを最初に制作・販売した工房としても有名です。
現在では日本の老舗アパレルである東洋エンタープライズ社が実名復刻をされておられます。



【Cigar Band Ring】シガーバンドリングは、インディアンジュエリーに限らずセンターが広く内側が細いシャンクの造形を持ったリングの俗称です。
語源については、葉巻に巻かれている帯が元となっています。現在ではブランドが確認できるデザインが描かれていますが、もともとは手袋や手に葉巻によるシミが付くことを防ぐ為に考案された帯です。
その帯と形状が似ていることから同スタイルのリングが『シガーバンドリング』と呼ばれるようになりました。



卍 【スワスティカ】 Whirling Log 【ワーリングログ】について・・・
4つの【L】 『LOVE・LIFE・LUCK・LIGHT』 からなる幸福のシンボル卍(Swastikaスワスティカ)はラッキーシンボルとして当時よく使われていたモチーフです。

しかしながら、1933年のナチスドイツ出現、1939年にWW2開戦によりアメリカにおいては敵国ドイツのハーケンクロイツと同一記号は不吉だとして使われなくなってしまいました。
当時の新聞記事にも残っていますが、インディアンたちにも卍が入った作品の廃棄が求められ、政府機関によって回収されたりしたようです。 その後、大戦中にも多くが廃棄されてしまった歴史があり、現存しているものは大変貴重となりました。
こちらはそのような受難を乗り越えて現存しているものです。



【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。
また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。

同様に【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、こちらは世界中で共通の基準となっています。
また『割金』と呼ばれる残りシルバー以外の7.5%には、銅やアルミニウム等が含まれています。(現在では、スターリングシルバーの割金は7.5%全てが銅と決められています)
主にイギリスの影響を受けた国において『STERLING』、それ以外の国において『925』の表記・刻印が使用されています。

925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバー製のコインを溶かすことで、材料(地金)を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。

インディアンジュエリーの歴史では、1900年代初頭にH.H.タンメン社が『800-Fine Silver』(シルバー含有率80.0%)を採用し、1910年代~1940年代初頭までに作られたツーリストジュエリーにおいては、Coin Silver 900が多く採用されました。

シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異は純度2.5%の違いしかない為、見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。

さらに古い1800年代後半頃の作品では、メキシカンコインが多く含まれていたためか、そのシルバーの純度は95.0%に近くなっているようですが、身近な銀製品を混ぜて溶かしていた歴史を考えると純度に対してそれほど強い拘りはなかったことが推測されます。



【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。

現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。
最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。

また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。



ツーリストジュエリーらしいモチーフとバランスの良いデザインが好印象なリングであり、クラシックで程よいボリューム感、そしてアンティークインディアンジュエリー独特のヘリテージ感も素晴らしい雰囲気となっています。

特にこちらはツーリストジュエリーの中でも完成度が高く珍しいデザイン/造形の作品であり、長くご愛用いただける普遍的な造形美を持ったキラーピース。
伝統的なシルバーワークで作られた技術と造形センスを感じるリングであり、シルバーのみで構成されている為、性別やコーディネイトを問わずフィットし、アンティークの質感によって大人向けのアイテムに昇華されている印象です。


アンティークジュエリーの中でもリング/指輪は使用による消費や紛失などにより、現存数が少なく大変希少なアイテム。
さらに本作は、インディアンジュエリー史の中でも重要な役割を担っていた【SOUTHWEST ARTS&CRAFTS/ガンズクラフト社】で作られ、その時代の作品群の歴史を紐解く上でも史料価値の高いコレクタブルなアンティークジュエリーです。

◆着用サンプル画像はこちら◆



コンディションも良好です。
古いサイズお直しの跡が見られますが、強度には全く問題ありません。
また僅かな使用感や細かなキズ、ハンドメイド特有の制作上のムラなどが確認できますが、目立ったダメージは無くとても良い状態を保っています。
Size

日本規格 約 14.5~15号   円周 約 54.1㎜   us 7.5
正面幅 約 17.3㎜

Material

Silver (probably Ingot Coin Silver)