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JBO006300

【Awa Tsireh】Historic Domed & Stamped Silver Cuff c.1930~

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0 円(税込)
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【San Ildefonso】サン・イルデフォンソプエブロの偉大な作家【Awa Tsireh】アワ・シーディ(1898-1955)が、インディアンクラフトショップ【GARDEN OF THE GODS TRADING POST】ガーデンオブザゴッズトレーディングポスト在籍時に制作した作品。ドーム型に成形されたバンド(地金)が特徴的で、ナバホジュエリーでは類を見ないスタンプワークの構成に偉大な作者のクリエイティビティを感じるアンティーク/ビンテージバングルです。

内側に刻印されている『SOLID SILVER HAND MADE BY INDIANS』の表記により1930年代頃に同トレーディングポストで作られた作品と判断でき、さらに作者個人のホールマーク『AWA TSIREH』の文字が刻印された非常に史料価値の高いミュージアムクオリティーを有するブレスレットになります。

コインシルバーのインゴット(銀塊)から成形された地金をベースに、とても独創的なスタンプワークが施された作品です。それは、狩猟民族を起源とするナバホ族とは異なった文化や価値観を持ったサン・イルデフォンソプエブロの美意識が反映されたデザインと思われ、どこか柔らかで繊細な印象を受けるスタンプワークです。一つ一つのスタンプ(鏨)は、ナバホジュエリーと共通したデザインを刻んでいますが、その構成により全く異なったイメージを生み出しており、Awa Tsirehの独創性も感じ取ることが出来ます。また、中央に配されたフラワーの様なモチーフの両サイドには、とても小さな〇を刻むスタンプ(鏨)をランダムに重ねて打ち込むことで、独自のテクスチャーを生み出しています。このようなディテールは、ナバホの名工【Thomas Curtis Sr.】トーマス・カーティス(1945-2013)や、同じくナバホの有名作家である【Ernie Lister】アーニー・リスター氏の作品においてみられる技術・技法ですが、本作の様なアンティーク作品では他に類を見ないディテールです。本作1点のみでその発祥をAwa Tsirehと断定することは出来ませんが、検証価値のあるディテールです。

また、とても優雅で手首に馴染みの良い立体感を持ったバンドは、『リポウズ』や『バンプアウト』等と呼ばれるシルバーを叩き出す技術によって全体に丸く曲面がつけられており、高度な技術を要するハンマーワークにより、美しいアールと立体感が生み出されています。
このようなドーム状のアールは、硬い木の土台や鉛の塊にアール(曲面)の溝を彫り込み、そこにシルバーを非常に細かく何度もタガネで叩き沿わせることによって曲面を作っています。現代でもこちらのようなドーム型のシェイプは見られますが、こちらはハンマーで叩きだすことで造形しているため、センター部分は強く、ターミナル(両端)は少しフラットに近くなるように、その膨らみに変化がつけられており、ハンドメイド独特で作者の拘りを感じるディテールとなっています。このような造形スタイルは、大変な手間と技術を要するディテールですが、バングルとしての立体的な造形と、手首への心地よいフィット感を生み出しています。
また、こちらのようなドーム型/アーチ状のシルバーバンドは、古いナバホジュエリーではとても珍しい造形スタイルであり、ホピの【Ralph Tawangyawma】ラルフ・タワンギャウマ(1894-1972)や、同じくホピの【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)等、ホピの歴史的に偉大な作家に見られるディテールとなっています。


【Awa Tsireh】アワ・シーディ(シェラ/ツィレー)は、1898年ニューメキシコ州サンタフェから少し北にあるサン・イルデフォンソプエブロに生まれ、インディアンのアーティストとして高い知名度を得た最初期の人物の一人です。
ダンサー、ペインター(画家)としても高名で、残念ながらシルバーワークを始めた正確な時期やシルバーワークを学んだ背景は現在も明らかになっていませんが、1920年代にはすでにペインターとして非常に高い知名度と人気を得ており、1931年にはダンサー/ペインター/シルバースミスと紹介されています。また、1930年代初頭からコロラド州のGARDEN OF THE GODS TRADING POSTに作品を供給し、その後20年以上に渡り同トレーディングポストに在籍することになったようです。どのような雇用形態であったかは不明ですが、30年代~40年代は、夏季のみコロラド州コロラドスプリングスに滞在し、ペイントとシルバーワークを行っていたと云われています。

また、Awa Tsirehの名前の発音については、正確な発音が不明となっています。元々文字を持たないインディアンの名前は、近代になってから英語やスペイン語の文字で発音をなぞるスペルが与えられました。そしてアメリカ政府の介入もあり、現在の様な個人名が確立されています。しかし、中には『枯れ葉のこすれる音』等と表現される、文字に置き換えることが難しい名前もあったようです。Awa Tsirehの発音は、英語のスペルをなぞると『アワ・ツィレー』になると思いますが、1938年の新聞記事では発音について『A-WA SI-DY』アーワ・シーディと紹介されています。

同作者の絵画作品は、インディアンダンサーや動物などの自然をモチーフにしながら独特な世界観を持ち、当時の西洋美術には存在しなかった様式と表現を持っていました。シルバーをはじめとするメタルワークは、GARDEN OF THE GODS TRADING POSTに所属していたこともあり、ツーリストジュエリーとしての側面を持ったポップでキャッチーな雰囲気の作品が多く残されていますが、そのモチーフの選択や躍動感のある作品群は、他の作家達とは一線を画しています。
1954年にはフランス政府から、ナバホの巨匠【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)やホピの巨匠【Fred Kabotie】フレッド・カボティー(1900–1986)らと共に、現在も存続している勲章『教育厚労賞』が与えられています。


また本作のように、当時から高名な作家によるジュエリーの多くは、同時代に観光客向けに作られたツーリストジュエリー/フレッド・ハービースタイルと呼ばれるスーベニアアイテムのデザインソースとなっています。
特に【Fred Peshlakai】 フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)やこちらの作者であるAwa Tsirehの作品は、【BELL TRADING POST】ベルトレーディングポストをはじめとするManufacturersと呼ばれる量産メーカーによってコピーされています。参考商品→「Awa Tsirehの作品をコピーしたと思われるBELL社製カウボーイデザインのピンブローチ」
そのため当時、模倣品との明確な区別を促すため、UITA【United Indian Trader's Association】などが組織されて量産化された作品との差別化が図られた歴史もあります。


【GARDEN OF THE GODS TRADING POST】ガーデンオブザゴッズトレーディングポストは、もともとFred Harvey Companyで働いていた【Charles E. Strausenback】チャールズ・E・ストローセンバックが、1920年にコロラド州Pike's Peakの国立公園『ガーデンオブザゴッズ』で始めた観光客向けのインディアンアートショップです。
多くの優秀なプエブロインディアン作家を擁し、ナバホのオールドスタイルをベースにしながらも、プエブロスタイルを積極的に取り入れたミックススタイルが特徴的な工房です。所属していたのは、こちらの作者Awa Tsirehをはじめ、ナバホの【David Taliman】デビッド・タリマン(1902or1901-1967)、他にも【Epifanio Tafoya】【William Goodluck】【John Etsitty】等、プエブロ・ナバホの中でも、後に偉大なアーティストとして知られる多くの作家達であり、それぞれが独創的なスタイルを生み出し、沢山の傑作を送り出したインディアンアートショップです。
1940年代には、コロラド州ガーデンオブゴッドとコロラドスプリングス、そしてアリゾナ州フェニックスにも店舗を展開しますが、1956年頃にCharles E. Strausenbackが亡くなっており、1979年にはビジネス自体が買収されました。
また、同店はコロラド州にある神々の庭/Garden of the Godsにて、現在もヒストリックなトレーディングポストとして当時の姿を残して土産物店・カフェとして運営されています。


【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。

こちらの作品に刻印されている『SOLID SILVER』は、無垢の銀製と言う意味で、メッキでないことを表しており、インゴットシルバーであることを表してはいませんが、当時のGARDEN OF THE GODSの作品は、全てがインゴットシルバーからハンマーで叩くことで成形されており、こちらの作品が制作された時期のピースは、全てコインシルバー(銀含有率90.0%の地金)が使われていたとされています。


【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。 また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。
同様に【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、こちらは世界中で共通の基準となっています。また『割金』と呼ばれる残りシルバー以外の7.5%には、銅やアルミニウム等が含まれています。(現在では、スターリングシルバーの割金は7.5%全てが銅と決められています) 925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバーコインを溶かすことで、材料を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。
シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異は純度2.5%の違いしかない為、見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。
さらに古い1800年代後半頃の作品では、メキシカンコインが多く含まれていたためか、そのシルバーの純度は95.0%に近くなっているようですが、身近な銀製品を混ぜて溶かしていた歴史を考えると純度に対してそれほど強い拘りはなかったことが推測されます。


本作もコインシルバーインゴットから成形された作品独特の、渋く重厚なシルバーの質感を有しています。また、それほど厚いシルバーではありませんが、ドーム型に造形されたバンドの為、程よいボリューム感と、しっかりとした強度を持っており、とても魅力的な存在感を見せるブレスレット。
武骨なビンテージインディアンジュエリーの雰囲気と、独創的なスタンプワークによる上品で柔らかな表情の双方を備え、シルバーのみで構成されたソリッドな印象は、性別やスタイルを問わず馴染みやすくなっています。独特のシェイプながら非常に完成度が高く、普遍的で美しいシェイプは長年にわたってご愛用いただけるバングルです。

アンティークインディアンジュエリー独特の深淵で歴史を感じさせる味わいを持ち【Awa Tsireh】アワ・シーディ(ツィレー)という偉大な作家によるオリジナリティーと練り上げられたシルバーワークにより、アートピースとしても高く評価されるビンテージジュエリー。ミュージアムに収蔵されるべき作品であり、当店で最も高い希少性を誇る作品の一つとなっています。

◆着用サンプル画像(10枚)はこちら◆


コンディションは、全体にシルバーのクスミが見られますが特にダメージはありません。ハンドメイドによる造形ですので、制作上のムラや打痕等は見られますが、使用感も少なくダメージ/リペア跡などのない大変良好なコンディションです。


こちらの価格につきましてはお問い合わせください。
お手数ですが、お問い合わせ作品名・アイテムコード・氏名・住所・電話番号・メールアドレスを必ずご記載下さいますようお願いいたします。  →お問合せはこちら
【San Ildefonso】サン・イルデフォンソプエブロの偉大な作家【Awa Tsireh】アワ・シーディ(1898-1955)が、インディアンクラフトショップ【GARDEN OF THE GODS TRADING POST】ガーデンオブザゴッズトレーディングポスト在籍時に制作した作品。ドーム型に成形されたバンド(地金)が特徴的で、ナバホジュエリーでは類を見ないスタンプワークの構成に偉大な作者のクリエイティビティを感じるアンティーク/ビンテージバングルです。

内側に刻印されている『SOLID SILVER HAND MADE BY INDIANS』の表記により1930年代頃に同トレーディングポストで作られた作品と判断でき、さらに作者個人のホールマーク『AWA TSIREH』の文字が刻印された非常に史料価値の高いミュージアムクオリティーを有するブレスレットになります。

コインシルバーのインゴット(銀塊)から成形された地金をベースに、とても独創的なスタンプワークが施された作品です。それは、狩猟民族を起源とするナバホ族とは異なった文化や価値観を持ったサン・イルデフォンソプエブロの美意識が反映されたデザインと思われ、どこか柔らかで繊細な印象を受けるスタンプワークです。一つ一つのスタンプ(鏨)は、ナバホジュエリーと共通したデザインを刻んでいますが、その構成により全く異なったイメージを生み出しており、Awa Tsirehの独創性も感じ取ることが出来ます。また、中央に配されたフラワーの様なモチーフの両サイドには、とても小さな〇を刻むスタンプ(鏨)をランダムに重ねて打ち込むことで、独自のテクスチャーを生み出しています。このようなディテールは、ナバホの名工【Thomas Curtis Sr.】トーマス・カーティス(1945-2013)や、同じくナバホの有名作家である【Ernie Lister】アーニー・リスター氏の作品においてみられる技術・技法ですが、本作の様なアンティーク作品では他に類を見ないディテールです。本作1点のみでその発祥をAwa Tsirehと断定することは出来ませんが、検証価値のあるディテールです。

また、とても優雅で手首に馴染みの良い立体感を持ったバンドは、『リポウズ』や『バンプアウト』等と呼ばれるシルバーを叩き出す技術によって全体に丸く曲面がつけられており、高度な技術を要するハンマーワークにより、美しいアールと立体感が生み出されています。
このようなドーム状のアールは、硬い木の土台や鉛の塊にアール(曲面)の溝を彫り込み、そこにシルバーを非常に細かく何度もタガネで叩き沿わせることによって曲面を作っています。現代でもこちらのようなドーム型のシェイプは見られますが、こちらはハンマーで叩きだすことで造形しているため、センター部分は強く、ターミナル(両端)は少しフラットに近くなるように、その膨らみに変化がつけられており、ハンドメイド独特で作者の拘りを感じるディテールとなっています。このような造形スタイルは、大変な手間と技術を要するディテールですが、バングルとしての立体的な造形と、手首への心地よいフィット感を生み出しています。
また、こちらのようなドーム型/アーチ状のシルバーバンドは、古いナバホジュエリーではとても珍しい造形スタイルであり、ホピの【Ralph Tawangyawma】ラルフ・タワンギャウマ(1894-1972)や、同じくホピの【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)等、ホピの歴史的に偉大な作家に見られるディテールとなっています。


【Awa Tsireh】アワ・シーディ(シェラ/ツィレー)は、1898年ニューメキシコ州サンタフェから少し北にあるサン・イルデフォンソプエブロに生まれ、インディアンのアーティストとして高い知名度を得た最初期の人物の一人です。
ダンサー、ペインター(画家)としても高名で、残念ながらシルバーワークを始めた正確な時期やシルバーワークを学んだ背景は現在も明らかになっていませんが、1920年代にはすでにペインターとして非常に高い知名度と人気を得ており、1931年にはダンサー/ペインター/シルバースミスと紹介されています。また、1930年代初頭からコロラド州のGARDEN OF THE GODS TRADING POSTに作品を供給し、その後20年以上に渡り同トレーディングポストに在籍することになったようです。どのような雇用形態であったかは不明ですが、30年代~40年代は、夏季のみコロラド州コロラドスプリングスに滞在し、ペイントとシルバーワークを行っていたと云われています。

また、Awa Tsirehの名前の発音については、正確な発音が不明となっています。元々文字を持たないインディアンの名前は、近代になってから英語やスペイン語の文字で発音をなぞるスペルが与えられました。そしてアメリカ政府の介入もあり、現在の様な個人名が確立されています。しかし、中には『枯れ葉のこすれる音』等と表現される、文字に置き換えることが難しい名前もあったようです。Awa Tsirehの発音は、英語のスペルをなぞると『アワ・ツィレー』になると思いますが、1938年の新聞記事では発音について『A-WA SI-DY』アーワ・シーディと紹介されています。

同作者の絵画作品は、インディアンダンサーや動物などの自然をモチーフにしながら独特な世界観を持ち、当時の西洋美術には存在しなかった様式と表現を持っていました。シルバーをはじめとするメタルワークは、GARDEN OF THE GODS TRADING POSTに所属していたこともあり、ツーリストジュエリーとしての側面を持ったポップでキャッチーな雰囲気の作品が多く残されていますが、そのモチーフの選択や躍動感のある作品群は、他の作家達とは一線を画しています。
1954年にはフランス政府から、ナバホの巨匠【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)やホピの巨匠【Fred Kabotie】フレッド・カボティー(1900–1986)らと共に、現在も存続している勲章『教育厚労賞』が与えられています。


また本作のように、当時から高名な作家によるジュエリーの多くは、同時代に観光客向けに作られたツーリストジュエリー/フレッド・ハービースタイルと呼ばれるスーベニアアイテムのデザインソースとなっています。
特に【Fred Peshlakai】 フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)やこちらの作者であるAwa Tsirehの作品は、【BELL TRADING POST】ベルトレーディングポストをはじめとするManufacturersと呼ばれる量産メーカーによってコピーされています。参考商品→「Awa Tsirehの作品をコピーしたと思われるBELL社製カウボーイデザインのピンブローチ」
そのため当時、模倣品との明確な区別を促すため、UITA【United Indian Trader's Association】などが組織されて量産化された作品との差別化が図られた歴史もあります。


【GARDEN OF THE GODS TRADING POST】ガーデンオブザゴッズトレーディングポストは、もともとFred Harvey Companyで働いていた【Charles E. Strausenback】チャールズ・E・ストローセンバックが、1920年にコロラド州Pike's Peakの国立公園『ガーデンオブザゴッズ』で始めた観光客向けのインディアンアートショップです。
多くの優秀なプエブロインディアン作家を擁し、ナバホのオールドスタイルをベースにしながらも、プエブロスタイルを積極的に取り入れたミックススタイルが特徴的な工房です。所属していたのは、こちらの作者Awa Tsirehをはじめ、ナバホの【David Taliman】デビッド・タリマン(1902or1901-1967)、他にも【Epifanio Tafoya】【William Goodluck】【John Etsitty】等、プエブロ・ナバホの中でも、後に偉大なアーティストとして知られる多くの作家達であり、それぞれが独創的なスタイルを生み出し、沢山の傑作を送り出したインディアンアートショップです。
1940年代には、コロラド州ガーデンオブゴッドとコロラドスプリングス、そしてアリゾナ州フェニックスにも店舗を展開しますが、1956年頃にCharles E. Strausenbackが亡くなっており、1979年にはビジネス自体が買収されました。
また、同店はコロラド州にある神々の庭/Garden of the Godsにて、現在もヒストリックなトレーディングポストとして当時の姿を残して土産物店・カフェとして運営されています。


【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。

こちらの作品に刻印されている『SOLID SILVER』は、無垢の銀製と言う意味で、メッキでないことを表しており、インゴットシルバーであることを表してはいませんが、当時のGARDEN OF THE GODSの作品は、全てがインゴットシルバーからハンマーで叩くことで成形されており、こちらの作品が制作された時期のピースは、全てコインシルバー(銀含有率90.0%の地金)が使われていたとされています。


【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。 また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。
同様に【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、こちらは世界中で共通の基準となっています。また『割金』と呼ばれる残りシルバー以外の7.5%には、銅やアルミニウム等が含まれています。(現在では、スターリングシルバーの割金は7.5%全てが銅と決められています) 925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバーコインを溶かすことで、材料を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。
シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異は純度2.5%の違いしかない為、見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。
さらに古い1800年代後半頃の作品では、メキシカンコインが多く含まれていたためか、そのシルバーの純度は95.0%に近くなっているようですが、身近な銀製品を混ぜて溶かしていた歴史を考えると純度に対してそれほど強い拘りはなかったことが推測されます。


本作もコインシルバーインゴットから成形された作品独特の、渋く重厚なシルバーの質感を有しています。また、それほど厚いシルバーではありませんが、ドーム型に造形されたバンドの為、程よいボリューム感と、しっかりとした強度を持っており、とても魅力的な存在感を見せるブレスレット。
武骨なビンテージインディアンジュエリーの雰囲気と、独創的なスタンプワークによる上品で柔らかな表情の双方を備え、シルバーのみで構成されたソリッドな印象は、性別やスタイルを問わず馴染みやすくなっています。独特のシェイプながら非常に完成度が高く、普遍的で美しいシェイプは長年にわたってご愛用いただけるバングルです。

アンティークインディアンジュエリー独特の深淵で歴史を感じさせる味わいを持ち【Awa Tsireh】アワ・シーディ(ツィレー)という偉大な作家によるオリジナリティーと練り上げられたシルバーワークにより、アートピースとしても高く評価されるビンテージジュエリー。ミュージアムに収蔵されるべき作品であり、当店で最も高い希少性を誇る作品の一つとなっています。

◆着用サンプル画像(10枚)はこちら◆


コンディションは、全体にシルバーのクスミが見られますが特にダメージはありません。ハンドメイドによる造形ですので、制作上のムラや打痕等は見られますが、使用感も少なくダメージ/リペア跡などのない大変良好なコンディションです。


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Size

メンズサイズ L - XL 程度

内径最大幅 約61.3㎜    正面幅(高さ) 約13.4㎜
内周 約146㎜    開口部 約27.5㎜
Inside Measurement 5 5/8inch   opening 1 1/16inch 

※バングルはサイズ調整可能です。Lサイズ以上、XXLサイズ以下の男性であればほとんどの方にフィットすると思います。 ただし、サイズ調整の際は無理な力を加えますと破損の原因となることがありますのでご注意ください。

サイズ(手首寸法)をお伝えいただければ、当店でお渡し前の調整が可能です。お気軽にお申し付けくださいませ。

Material

Ingot Silver (Coin Silver)
        約21.4g