【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、クラシックなシェイプとベースとして中央に【卍】Whirling Log/Nohokosのアップリケが施された作品。伝統的なアイテムながら非常に現存数が少なく、現在では大変貴重となっているアンティーク/ビンテージリングです。
【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルとも呼ばれる、20世紀前半頃に観光客向けに作られたスーベニアアイテム(記念品)の一つです。しかしながら殆どの工程がハンドメイドで制作されたピースとなっています。
1920年代末~1930年代に作られた作品。センターが広く内側が細いシャンクの造形は『シガーバンドリング』とも呼ばれるクラシックなフォルムを基本として、上下のエッジは『スキャロップドエッジ』(ホタテ貝)とも呼ばれる細かな動きのあるシェイプに造形されており、少しクラシックな印象を感じさせます。
そのようなシャンクをベースとして、フェイスには大きく卍がアップリケされ、その卍部分を含め全体にスタンプワークが施され、ビンテージインディアンジュエリーらしく素朴でエスニシティな印象に仕上げられています。
また、シャンク部分にもスキャロップドエッジのシェイプに呼応したスタンプ等、力強い文様が刻まれており、サイドには小さくもアイコニックなガラガラヘビ/ラトルスネークのスタンプが刻み込まれています。
クラシックで少し控えめなシガーバンドリングのシェイプは程よい存在感を放ち、指に良く馴染む雰囲気を作り上げているようです。
こちらのようなアイテムは、1923年にニューメキシコ州アルバカーキで創業され、多くのナバホやプエブロの職人が所属した有名工房【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズ インディアントレーディングポスト等で製造されていましたが、こちらにはショップマークやホールマークは入らず詳細は不明となっています。
また当時のカタログ資料によればその製作工房によらず、コインシルバー製である可能性の高い事が推測されます。
【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。
また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。
同様に【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、こちらは世界中で共通の基準となっています。
また『割金』と呼ばれる残りシルバー以外の7.5%には、銅やアルミニウム等が含まれています。(現在では、スターリングシルバーの割金は7.5%全てが銅と決められています)
主にイギリスの影響を受けた国において『STERLING』、それ以外の国において『925』の表記・刻印が使用されています。
925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバー製のコインを溶かすことで、材料(地金)を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。
インディアンジュエリーの歴史では、1900年代初頭にH.H.タンメン社が『800-Fine Silver』(シルバー含有率80.0%)を採用し、1910年代~1940年代初頭までに作られたツーリストジュエリーにおいては、Coin Silver 900が多く採用されました。
シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異は純度2.5%の違いしかない為、見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。
さらに古い1800年代後半頃の作品では、メキシカンコインが多く含まれていたためか、そのシルバーの純度は95.0%に近くなっているようですが、身近な銀製品を混ぜて溶かしていた歴史を考えると純度に対してそれほど強い拘りはなかったことが推測されます。
【卍】鉤十字 (Swastika/スワスティカ)とは・・・
ネイティブアメリカンにおける卍モチーフは【Whirling Log】ワーリングログと呼ばれ、4つの【L】 『LOVE・LIFE・LUCK・LIGHT』 から生み出された幸福を象徴するラッキーシンボルとして長い歴史を持っています。
また世界的にも、サンスクリット語の「幸運」を意味する言葉に由来し、仏教、ヒンドゥー教、オーディン教、さらにキリスト教における十字の一種としても用いられ、神聖なシンボルとして古くから世界中で見られる記号・象徴の一つとなっています。
日本においても寺社を表す地図記号として現在も使用されており、家紋等にも見られる身近な図案や記号として用いられています。
しかしながら1933年のナチスドイツが出現し、1939年にはアメリカも第二次世界大戦に参戦すると、敵国ドイツ(ナチスドイツ)のシンボルであるハーケンクロイツと非常に類似した記号は不吉だとして使われなくなってしまいました。
1941年の新聞記事にも残っていますが、ネイティブアメリカンたちにも卍が入った作品の廃棄が求められ、政府機関による回収も行われました。
その後、大戦中にも多くの作品が廃棄されてしまった歴史があり、現存しているものは大変貴重となりました。
こちらはそのような受難を乗り越えて現存しているものです。
また、ネイティブアメリカンの工芸品においては、ジュエリーだけでなくラグやバスケット、ポッテリー等でも重用されていたモチーフですが、卍と逆卍の使い分けは意識されていなかったようで、比較的逆卍が多いようにも感じられますが、卍・逆卍共に区別なく用いられていたと思われます。
【Rattlesnake】ガラガラ蛇/ラトルスネークは、ネイティブアメリカンにとって神聖な存在として、特にプエブロインディアンの間で古くからジュエリーやポッテリー等、色々な作品に用いられました。
当店のロゴにも登場するモチーフであり、脱皮して成長していく姿から、<再生><挑戦><革命><知恵> 等を象徴するシンボルとされています。
ジュエリーにおいてはナバホの偉大な作家【Fred Peshlakai】フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)やアコマの伝説的な作家【Clyde Hunt/Chief Sunny Skies】クライド・ハント(1900-1972)等が素晴らしいスネークモチーフの作品を残しており、それらのデザイン・スタイルが後世に受け継がれています。
前述の通り、ナバホのシルバースミスやツーリスト向けの作品においても散見されるモチーフですが、アメリカ中西部において神聖な存在として古くから大切なモチーフとしてきたのは、ナバホ以外の部族(プエブロ)です。
ツーリストジュエリーらしいキャッチーなアイテムながらクラシックでバランスの良いシェイプと秀逸なデザインに仕上げられ、アンティークインディアンジュエリー独特のヘリテージ感も素晴らしい雰囲気。また伝統的なシルバーワークで作られた技術と造形センスを感じるリングであり、シルバーのみで構成されている為、スタイルや性別を問わずフィットし、アンティークの質感によって大人向けのアイテムに昇華されている印象です。
アンティークジュエリーの中でもリング/指輪は使用による消費や紛失などにより、現存数が少なく大変希少なピースです。
特にこちらはツーリストジュエリーの中でも完成度が高く珍しいデザイン/造形の作品であり、長くご愛用いただける普遍的な造形美を持った個体。史料価値も高く、ツーリストジュエリーのキラーピースとなっています。
◆着用サンプル画像はこちら◆
コンディションは、入荷時にシャンクの亀裂があった為、当店でリペアとサイズお直しを施したピースとなります。
その為、少し新しい作品の様な質感となっていますが、ご着用によりビンテージジュエリー本来の質感・表情に戻っていきます。
元々、使用感の少ないコンディションであったことや、非常に巧くリペアされている為、強度や今後の着用に全く問題の無い強度・コンディションです。