【NAVAJO】ナバホのアンティーク作品で、強い透明感を持った暗褐色を基調としたオーバルカット【Petrified Wood】ペトリファイドウッド(木の化石)がマウントされたメンズサイズのアンティーク/ビンテージリングです。
また本作にはホールマーク(作者やショップのサイン)が刻印されていませんが、過去に発見されている類似作品により、作者は不明ながら『Curved Arrow/Arching Arrow』のホールマークを用いた作者であり【C. G. Wallace Trading Post】C.G.ウォレスインディアントレーディングポストに作品を供給した作家による作品である事が推定可能な貴重なピースとなっています。
『Curved Arrow/Arching Arrow』の刻印が入る類似作品につきましては、下記のリンクよりご確認頂けます。
ITEM CODE:JBO003618
【U.S.NAVAJO 2】 Basket Stamped Ingot Silver Cuff c.1938~
ITEM CODE:JRO011202
Antique High Grade Lone Mt. Turquoise Hallmarked Ring c.1940
1930年代末~1950年代頃に作られた作品と思われ、部分的には経年と使用感を感じさせるコンディションですが、堅牢なシルバーワークによって仕上げられた作品のため、現在でも使用に支障のあるダメージは無く、風格があり素晴らしい魅力を持った作品です。
おそらくインゴットシルバー(銀塊)から成形されたシャンクにオーバルカットペトリファイドウッドのフェイスが構成されており、その石を留めるベゼル(覆輪)は、規則的に深い刻みが施される事により、石を留める役割り以上に大きなデザインのポイントとなっています。
さらに、シャンクの厚み部分にも細かく力強いスタンプワークが施されており、細部まで作者の拘りとオリジナリティが感じられます。
また、サイドにはおそらくリーフ/タバコの葉をモチーフにしたと推測されるアップリケ/パッチワークがベゼルと一体化するように施され、石の上にまでかかる迫力のある造形となっています。
それらサイドのアップリケやシャンク部分には、アンティーク作品独特の上質なスタンプツール(鏨・刻印)によって文様が刻まれており、ナバホジュエリーらしい表情と奥行きを作り上げています。
これらのシルバーワークもアンティーク作品特有の表情や有機的で立体感のある質感を生み出しているようです。
【C. G. Wallace INDIAN TRADER/C. G. Wallace Trading Post】C.G.ウォレスインディアントレーダーは、【Charles Garrett Wallace】チャールズ・ガレット・ウォレスが、1928年にZUNI /ズ二のジュエリーを専門に扱うトレーダーとしてズニの町で創業し、非常に多くのズニジュエリー作家を支援しました。
創業後すぐに、ナバホのシルバー彫金技術を必要として【Ike Wilson】アイク・ウィルソン(1901-1942)とその兄である【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン(1901-1976)、他にも【Billy Hoxie】ビリー・ホクシー、【Charles Begay】チャールズ・ビゲイ(1912-1998)等の一説には二十数人と言われるナバホ出身のシルバースミスが在籍していたと云われており、こちらの作品も彼らによるシルバーワークを土台としている可能性があります。
また、彼らの様にズニの町でシルバースミスをしていたナバホの職人は、技術的にはナバホの伝統的な彫金技術を重視していたようですが、植物のようなスタンプワークのデザインや表現等、そのデザインスタイルやディテールには、ナバホジュエリーにはあまり見られないズニ/プエブロの影響を受けていると考えられる作品が多く残されています。
そんな少し特殊な環境や優秀な職人による伝統の継承、さらに経営者であるCharles Garrett Wallaceの献身的なインディアンアーティストへのバックアップにより大変多くの傑作を生み出し、後世に残したトレーディングポストです。
それら残された作品群の一部であるCharles Garrett Wallaceの個人コレクションの約半数は、1975年にアリゾナ州フェニックスのバードミュージアムに寄贈されました。
また、残りの一部はSotheby Parke Bernet社のオークションに出品され、そのオークションカタログは現在でも多くの研究者やコレクターにとっての第一級の資料となっています。
【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。
最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。
それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。
【Petrified Wood】ペトリファイドウッドは、日本語では『珪化木』と言う<木>が化石化したものです。 これらの化石はインディアン居留地であるアリゾナ北部~ニューメキシコ西部の砂漠地帯から多く産出され、古くからジュエリーに用いられています。
おおよそ2億5000万年前の木々が地中に埋もれ、地下水のケイ素成分が浸透し樹木の組織が残ったまま化石化したものです。
木が持っていた組織の違いによって多くのバリエーションが存在しますが、中でもマルチカラーで構成されたものはレインボーカラーと呼ばれ、質の高い石とされています。
またこれらの石は、その表情が異星の景色のように見えることから、【Agate】アゲート等を含め、総称として『ピクチャーストーン』『シニックストーン』と呼ばれることもあります。
インディアンジュエリーの歴史においては、コーラルやスパイニーオイスター、ラピスラズリなどと共にターコイズに次いで用いられることの多い石であり、特に第二次世界大戦中にはターコイズを採掘する鉱夫の人出が不足したため、ターコイズに代わって多く用いられました。
こちらの作品にセットされたペトリファイドウッドもインディアン居留地に近い場所で産出したものと思われますが、こちらの様にグレーを基調とした石は珍しく、ダークカラーを基調としながら、揺らめく炎やマーブル、抽象写真を思わせる表情が幻想的な印象を与えます。
また、その独特の奥行きと神秘的な表情を持った石(PetrifiedWood)により、作品自体がとてもシックでエッジーな印象に仕上げられているようです。
※掲載画像では背景の色・明るさによって違った色味になっておりますが、実物の色は画像に比べ少し落ち着いた色調の石となっています。白い背景の画像は実物に近い色味が再現されています。
ターコイズとは異なる独特な存在感と他に類を見ない新鮮な印象を生み出すペトリファイドウッドを用いた作品は、古くから使われる素材でありながらあまり紹介されておらず、ビンテージインディアンジュエリーの新しい側面とも感じられる為、当店では注力してご紹介しています。
そんなペトリファイドウッドをメインに構成した作品であり、神秘的な美しさを持つペトリファイドウッドのアーシーな魅力と、高いオリジナリティを誇る有機的なシルバーワークがシンクロし、彫刻的な造形美と自然を切り取ったような味わいが素晴らしいリングです。
ダークトーンが基調となった色味の中に木を構成していた組織による不思議な表情が現れています。
独特な雰囲気は強い存在感ではありませんがとてもシックで男性にも向いた渋く落ち着いた印象を持っており、有機物を起源とするナチュラルな石の表情やビンテージインディアンジュエリーの素朴な質感は、季節やシーンを問わずあらゆるコーディネートに馴染みが良くモードなスタイルにさえもフィットします。
また、オーバルカットの石はスクエアカットに比べ女性的な雰囲気を持っていますが、こちらのリングは石のシェイプやボリューム感等、男性の手にとても映えるバランスを持っています。
現在、日本において多く紹介されているインディアンジュエリーとは違ったフィーリングを与えてくれるアイテムであり、アンティークジュエリーながら時代を超越して恒久的な魅力を持つ作品。シルバーワークも高いクオリティを誇り、ある程度明確な制作背景も含めハイエンドでコレクタブルな個体です。
◆着用サンプル画像はこちら◆
コンディションは、全体に経年・着用による摩耗とシルバーのクスミが見られ、サイドのアップリケ(石の上にのる部分)の一部に欠損があると思われますが、石のガタツキや目立ったダメージの無い状態です。
また、ペトリファイドウッドにも多少のキズ等が確認出来ますが、現在も艶を保ち目立ったダメージの無いコンディションとなっています。