【PUEBLO】プエブロか【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、サンドキャスト(砂型鋳物)成形された重厚なシールリング(印台型)の造形をベースに、濃いブルーが印象的な2つのターコイズがマウントされたアンティーク/ビンテージリングです。
美しいターコイズを際立たせるシンプルなシルバーワークとなっており、比較的珍しいメンズサイズの作品。男性の手にも映えるボリューム感とシールリングらしいクラシックな印象が魅力的なピースとなっています。
1950年代後半~1970年代前半頃までに作られた作品と思われ、サンドキャスト成形されたシルバーは、心地よい重量感を持つシールリングタイプでオーバルシェイプのフェイスが形作られています。
そこに2つのターコイズがマウントされ、その石を留めるベゼル(覆輪)に、ハンドメイドのノッチドベゼル/トゥースベゼル(刻みの入る覆輪)が採用される事で、シンプルな造形のリングにビンテージインディアンジュエリーらしい味わいを与えています。
さらに、上下のターコイズの間には、スタンプワークの刻まれた小さなコンチョが配される事で奥行きと複雑な表情を作り、良いアクセントになっています。
また、本作の様なキャストによる成形のシルバーをベースに、ナチュラルな表情のターコイズをマウントする造形スタイルは【Horace Iule (Aiuli)】ホレス・イウレ(1899~1901?-1978)や【Dan Simplicio】ダン・シンプリシオ(1917-1969)というズニの偉大な作家達が生み出した造形スタイルかと思われます。
1970年代以降になってからは、ズニ・ナバホジュエリー双方で多く作られ、オーセンティックな造形スタイルの一つとなりました。
本作もナバホ・ズニの内、どちらのシルバースミスによる作品か特定する事は困難ですが、同スタイルの作品としては質の高いターコイズがとても魅力的な作品となっています。
マウントされているターコイズについては、決定的な特徴を持たない為その鉱山を特定することはできませんが、良質なオールドターコイズです。
僅かにダルトーンながら、濃い色相の青を基調として、細かなマトリックスやグリーンのグラデーション等が入り、大変複雑な景色を形成しているワイルドな表情の石となっています。
色味やマトリックスの特徴からは【Calico Lake Turquoise】キャリコレイクターコイズや【Red Mountain Turquoise】レッドマウンテンターコイズ、【Burnham/Godber Turquoise】バーナム/ガドバーターコイズ等が想起され、おそらくネバダ産のナチュラル無添加ターコイズと思われます。
ビンテージピースのため僅かにマットな質感になっており、再研磨/リポリッシュも検討できますが、現在も美しい色と深淵な奥行きを保つターコイズとなっています。
シールリング(印台型)というクラシックな造形を踏襲しながら、ターコイズのワイルドでアーシーな表情などにより、古くからヨーロッパで作られてきたジュエリーとは異なったインディアンジュエリーらしいナチュラルで素朴な味わいと、少しラフで独特の存在感を放つ作品に仕上げられたリングです。
また、現在に至るまで受け継がれる普遍的な造形美を持つ造形スタイルは、存在感を持ちながらも多くのスタイルに自然に溶け込み、長年にわたってご愛用頂けると思われます。
良質なターコイズとプリミティブなシルバーワークが巧みなバランス感覚で融合されており、高い完成度が与えられたビンテージリング。コレクタブルなキラーピースの一つとなっています。
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コンディションは、シルバーの僅かなクスミや細かなキズ、制作上のムラ等が見られますが、特に目立ったダメージの無い状態です。
ターコイズも動きやクラックの無い良好なコンディションですが、リポリッシュ(再研磨)により艶とさらに美しい発色が戻る可能性が高い石となっています。
また、シャンクの一部にロウ付けの跡が確認でき、古いサイズお直しの跡かと思われますが、しっかりとした強度を保っています。