【NAVAJO】ナバホの巨匠【Harry Morgan】ハリー・モーガン(1946-2007)による作品で、非常に質の高いシルバーワークによって作り上げられたコンチョベルト。絶妙なサイズ感のコンチョによって構成されており、性別を問わずにフィットする作品。ファーストフェーズと呼ばれる古典期の造形を踏襲したオーセンティックなデザインも素晴らしいハイエンドなピースです。

内側に刻まれた「Sterling」刻印における「t」以下の文字が小文字であることなどから、1980年代後半以降の同作者にとってキャリア後半に作られた作品と思われます。また、ベルト部分のレザー自体の質やレザーワークも丁寧で綺麗な仕上がりとなっており、それらもHarry Morganによるレザーワークと推測されますが正確には不明となっています。

ナバホジュエリーの伝統的な技術によって作り上げられ、センターのバックルはオーバル型と長方形の中間的なシェイプ。そして、中央から四方に向かって『リポウズ/バンプアウト』と呼ばれるシルバーを叩き出す技術によってアイシェイプの膨らみが生み出され、立体的で迫力を持った造形となっています。
また、コンチョと共通したディテールとして『チェイシング』という鏨を使いシルバーに立体的な角度を付ける技術によって凸ラインが作られ、そこに細かく力強いスタンプワークが刻まれています。さらに、エッジは『スキャロップドエッジ』(ホタテ貝)とも称される細かな動きのあるシェイプに造形されており、古典期から見られるとてもオーセンティックなフラワーコンチョの造形スタイルで、それに呼応して深く刻み込まれたスタンプワークも秀逸です。
バックルは、小さく長方形にカットアウトされた部分にベルトを通す構造で、コンチョは二つの三角形が並んでカットアウトされ、そこにベルトを通して固定します。コンチョの裏にベルトのループを備えるタイプよりもさらに古いファーストフェーズ/古典期の作品をデザインソースとしていますが、大変質の高いシルバーワークによって現在においても新鮮でモダンな印象を帯び、高い完成度を見せています。

さらに、全体に立体的なアールがつけられています。これは、木(丸太)やレッド(鉛の塊)に施された凹みに、地金となるシルバーをハンマーで叩き沿わせることによってドーム状の膨らみを作り上げており、非常に細かく何度もタガネで叩き沿わせる高度なハンマーワークで成形されています。


【Harry Morgan】ハリー・モーガンは、1946年ニューメキシコ州ギャラップの生まれで、代々続くシルバースミスの名門ファミリーに生まれました。多くの傑作を残した巨匠【Ike Wilson】アイク・ウィルソンを祖先に持ち、現在も活躍中のベテラン作家【Steven Arviso】スティーブン・アルビソ氏や息子である【Jacob Morgan】ジェイコブ・モーガン氏の師匠としても知られており、今も両氏の作品にはHarry Morganの影響を少なからず感じます。
また、ナバホのオールドスタイルをベースにした作品は大変完成度が高く、多くの大きな賞を受賞しています。カウボーイでもあったそうで、2007年に惜しまれながら亡くなっています。
本作は、そんなHarry Morganの中でも貴重なコンチョベルトであり、同作者らしい表情を持ちますが、類似作品に出合うのは非常に困難な希少な作品です。


ナバホの伝統的な技術によって形作られた作品であり、古典作品を意識したオーセンティックでプリミティブな印象を受けますが、シンプルでセンスを感じさせるクリーンなデザインの完成度には、作者の個性を有しHarry Morgan作品のスペシャリティを感じることが出来るコンチョベルトです。

また、コンチョベルトは強い存在感を示し、スタイリングの要となり得るアイテムですが、シルバーのみで構成されている為に派手さがなく、迫力あるコンチョとナローなベルト、そして絶妙なサイズのバックルにより、性別を問わず色々なスタイルに合わせることが可能な作品に仕上げられています。

近代の名工による完成されたシルバーワークと上質感が体感できる作品であり、インディアンジュエリー独特の味わいや武骨さも感じさせ、アートピースとしても高く評価される作品。大変コレクタブルでトレジャーハントプライスなピースの一つとなっています。

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コンディションも大変良好です。全体にシルバーのクスミが見られますが、使用感の少ない非常に良い状態を保っています。ベルトのレザーについてもホール/ピン穴が追加されているようですが、ダメージの無い良好な状態となっています。