【NAVAJO】ナバホの巨匠【Harry Morgan】ハリー・モーガン(1946-2007)による作品。同作者らしい質の高いシルバーワークとオーセンティックなデザインを持つ、バックルとループ、チップの3点がセットとなったアイテムです。レザーベルトにセットされ実用可能な状態でのご紹介となります。

正確な制作時期の特定は困難ですが、1970年代後半～1990年代頃の作品と推測されます。質実剛健で伝統を踏襲したシルバーワークによって形作られており、スタンプワークなどのデザインはHarry Morganらしい印象を帯びた作品となっています。
また本作は、ベルトバックル・ベルトループ・ベルト先端のチップパーツの3点がセットで制作されたもので、アメリカ国内では『レンジャーバックルセット』や『レンジャーセット』とも呼ばれます。またそれらが、特注されたと思われる厚いサドルレザーベルトにセットされており、そのままベルトとしてご使用いただける状態での販売となります。ただし、本来のレンジャーベルトとは異なる構造ではありますが、バックル部分のみ細く構成されたベルトとしては少し特殊なデザインにより、サイズの調整が必要な場合にはレザー用品の専門店へのご相談が必要となります。

バックルは、トラディショナルなシェイプをベースに大変力強いスタンプワークが大胆に配され、ナバホジュエリーらしい文様が刻み込まれています。ベルトとの接続部の上下には、『リポウズ/バンプアウト』と呼ばれる鋼で作られた凹と凸の金型に挟み込むことでシルバーを叩き出し凹凸(バンプ)を作るシルバーワークによって、厚いシルバーに勾玉型の立体的なデザインが施されています。さらに、バックルには全体にアールがつけられていることで、独特な上質感や立体的な迫力、そしてバックルに必要な高低差が与えられています。これは、木(丸太)やレッド(鉛の塊)に施された凹みに、地金となるシルバーをハンマーで叩き沿わせることによってドーム状の膨らみを作り上げており、非常に細かく何度もタガネで叩き沿わせる高度なハンマーワークで成形されています。
ループとチップパーツにもバックルと呼応したスタンプが刻まれており、シンプルながら作者のアイデンティティを宿すシルバーワークにスペシャリティを感じる作品となっています。
レザーワークについては、作者も制作時期も全く不明です。上質なレザーとハンドクラフトによって作られたベルトですが、少し使用感の見られるコンディションです。


【Harry Morgan】ハリー・モーガンは、1946年ニューメキシコ州ギャラップの生まれで、代々続くシルバースミスの名門ファミリーに生まれました。多くの傑作を残した巨匠【Ike Wilson】アイク・ウィルソンを祖先に持ち、現在も活躍中のベテラン作家【Steven Arviso】スティーブン・アルビソ氏や息子である【Jacob Morgan】ジェイコブ・モーガン氏の師匠としても知られており、今も両氏の作品にはHarry Morganの影響を少なからず感じます。
また、ナバホのオールドスタイルをベースにした作品は大変完成度が高く、多くの大きな賞を受賞しています。カウボーイでもあったそうで、2007年に惜しまれながら亡くなっています。
本作は、そんなHarry Morganの中でも珍しいレンジャーベルトバックルセットであり、同作者らしい表情を持ちますが、類似作品に出合うのは非常に困難な希少な作品です。


ナバホの伝統的な技術によって形作られた作品であり、素朴でオーセンティックな印象を受けますが、シンプルでセンスを感じさせるクリーンなデザインや力強く刻まれたスタンプの質やその構成には、作者の個性が光り、さり気なくも主張のあるベルトとなっています。
また、石が付かずシルバーとレザーのみで構成されている為に派手さがなく、日常的に着用して頂きやすく、長年にわたってご愛用いただけると思われます。

近代の名工による完成されたシルバーワークと上質感が体感できる作品。現在では大変コレクタブルな作品であり、トレジャーハントプライスなピースの一つとなっています。

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コンディションも良好です。シルバーの僅かなクスミやハンドメイド作品特有の制作上のムラ等は見られますが、とても良い状態を保っています。
ベルトのレザーにつきましては、エッジの擦れやキズ等の使用感が見られますが、現状のままでもまだまだお使い頂けます。