【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、リポウズと呼ばれるハンマーワークにより、立体的に叩き出された2本のラインが特徴的なワイドで迫力のある作品。 素晴らしいシルバーワークによりシンプルながら武骨な印象に仕上げられたアンティーク/ビンテージバングルです。
1940年代~1950年代頃に作られたピースと推測され、こちらのような造形スタイルは非常に古いナバホのオールドスタイルを踏襲したデザインですが、当時リバイバルされた作品が作られ、それらは高い完成度を持ちシンプルで洗練された印象に仕上げられていたため、モダンスタイルと呼ばれました。
また、これらのような造形スタイルのリバイバルを精力的に行ったのは、ナバホの古い職人組織【NAVAJO GUILD】ナバホギルドであり、その代表を務めた【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)です。
【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG)※以下ナバホギルドは【The United Indian Trader’s Association】(UITA)等と共にインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等のために現地トレーディングポストや作家たちの手によって組織されました。
中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、1800年代後半頃から続くオールドスタイルの職人技術・製法を守り、後進の育成、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。非常に古いスタイルを踏襲し、高い技術によって再構築されたリバイバルデザインが特徴です。
こちらの作品も重厚なシルバーを、ハンマーワークによる立体的な叩き出しとスタンプワークのみでバングルに構成し、クラシックでプリミティブな製法・造形を守りながら、美しくも武骨な印象に仕上げられた秀逸な作品であり、ナバホギルドで制作された可能性があります。
2本のライン状に施された立体的なリポウズ(曲面)は、硬い木の土台や鉛の塊にアール(曲面)の溝を彫り込んで、そこにシルバーを叩き添わせることによって曲面を作っています。分厚く硬いシルバーを成形するため、大変長い時間をかけて成形されています。また、そのリポウズ上には大変力強いスタンプワークが施されており、ナバホらしい表情を生み、作品の完成度を高めています。
こちらのような曲面がつけられた作品はアンティークでは稀に見ることがありますが、現代では 【Cochiti】コチティ族の巨匠【Cippy CrazyHorse】シピ―・クレイジーホースや【Jonathan Day】ジョナサン・デイなどの作品で見つけることができます。非常に手間がかかり、高い技術を要するために多くみられるディテールではありません。
アンティーク/ビンテージインディアンジュエリーの中でも幅があり、ワイルドで迫力のあるバングル。立体的で力強い造形は男性的な印象ですが、丁寧なシルバーワークや美しいスタンプワークによりクラシックでクリーンな印象も持つ作品です。史料価値も高いピース。
着用画像はこちら↓
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コンディションも良好です。大変古いハンドメイドのため、多少の制作ムラ、シルバーのクスミ等は見られますが、ダメージやリペア跡等なく、良い状態を保っています。