【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、1900年代後半~1910年代製と思われる古典期に近い時期の作品で、ハンマーワーク・スタンプワーク等の伝統的な技術によって構成されていますが、非常に高い技術に裏付けられた独特の立体的なシェイプに造形された素晴らしいクオリティーのアンティーク/ビンテージバングルです。
史料価値も非常に高くミュージアムクオリティーと言えるピースで、ターミナルにはさりげなく【逆卍】Swastika/Whirling Logのスタンプが施されています。 インゴット(銀塊)から成形されたシルバーは、リポウズにより曲面がつけられており、圧倒的な技術のハンマーワークでとても美しい曲面が生み出されています。このようなディテールは、硬い木の土台や鉛の塊にアール(曲面)の溝を彫り込んで、そこにシルバーを叩き添わせることによって曲面を作っています。さらに、エッジ部分には少し外側に向けてアールが作られており、さらに奥行きと手首への心地よいフィット感を実現しています。
また、全体に大変力強いスタンプワークが施されています。スタンプ(鏨)は、抽象的なモチーフのプリミティブなものですが、連続して構成されることでとても美しい紋様を刻み、どこか洗練された印象に仕上がっています。
こちらの様な美しい立体感を生み出す造形やトラディッショナルなスタンプワークは、1940年代には【Navajo Guild】(Navajo Arts and Crafts Guild)等で巨匠【Ambrose Roanhorse】らにより受け継がれ、現代においては【Ernie Lister】アーニー・リスターや【Perry Shorty】ペリー・ショーティー等のナバホの伝統をしっかりと受け継ぐ作家が伝統を守り、こちらの様な作品を制作しています。それらの源流と言えるこちらの作品は、100年ほど前の歴史的な史料価値も高いピースです。
卍 【スワスティカ】 Whirling Log 【ワーリングログ】について・・・
4つの【L】 『LOVE・LIFE・LUCK・LIGHT』 からなる幸福のシンボル卍(Swastikaスワスティカ)はラッキーシンボルとして当時よく使われていたモチーフです。
しかしながら、1933年のナチスドイツ出現、1939年にWW2開戦によりアメリカにおいては敵国ドイツのハーケンクロイツと同一記号は不吉だとして使われなくなってしまいました。
当時の新聞記事にも残っていますが、インディアンたちにも卍が入った作品の廃棄が求められ、政府機関によって回収されたりしたようです。 その後、大戦中にも多くが廃棄されてしまった歴史があり、現存しているものは大変貴重となりました。
こちらはそのような受難を乗り越えて現存しているものです。
ナバホの古典期からみられる造形の作品ですが、それは現代においてもデザインの独創性や新鮮な印象を失っておらず、武骨ながら洗練された完成度を持つ作品は多く見られますが、こちらのピースはそれらの中でも突出して美しいシルバーワークと完成度が感じられます。
センスを感じさせるデザイン/造形とインゴットから成形されたシルバーの質感は、普遍的な美しさを持ち多くのスタイルによく馴染むと思われます。
着用画像はこちら↓
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コンディションも良い個体で、僅かなクスミがありますがダメージは無く大変良好な状態です。 【逆卍】の入るピースは戦後もほとんど着用されずに保管されていることが多く、現存数はすくないですが、コンディションの良い個体が多いことも特徴の一つです。