【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、サンドキャスト(砂型鋳物)で成形されたロードランナーシェイプがキュートな印象で、上質で手の込んだシルバーワークも秀逸なアンティーク/ビンテージピンブローチです。
質の高いスタンプツール(鏨・刻印)によって刻み込まれたスタンプワークが大変魅力的作品となっています。
1940年代後半~1960年代初頭頃に作られた作品と思われ、サンドキャストで成形されたロードランナーのシェイプは、まさに今、走っている姿が表現されており、とても躍動的な造形が特徴的です。
さらに、本作の様にキャストで成形したシルバーにスタンプワークを組み合わせるというスタイルも1930年代頃までは多く見られ、1960年代以前の作品でも散見されるディテールですが、1970年代以降の作品では非常に少なくなってしまった造形スタイルの一つとなっています。
サンドキャストやトゥーファキャストによるシルバーの成形技法は、ナバホジュエリー創成期からみられる技術の一つであり、古くから完成された技術/技法は現在に至るまで大きな変化なく受け継がれている為に、正確な制作年代の判断を困難にしています。
不確かな判断材料としては、量産化/パターン化されたデザインであるか、内側の処理・仕上げ、シルバー自体の厚みや質などが目安となります。
本作の場合は、キャスト成形のクオリティや一部に施されたスタンプワークのツール(鏨・刻印)のディテール等によって制作された年代を判断しています。
また、本作に使用されているスタンプツールの素晴らしいクオリティや、首部分に施されたファイルワークによるライン模様、内側の綺麗な仕上げ工程等、作者の技巧や細部へのこだわりが感じられ、キャッチーなモチーフながら随所に見られる高度な手仕事が作品性を高めています。
【Roadrunner】ロードランナー(オオミチバシリ)は、アメリカ中西部に多く生息するとても可愛げのある鳥。アニメやカンパニーキャラクターのモチーフとしても有名であり、古くからアメリカ中で愛されています。
飛べる鳥ですが、飛び立つまでにとても長い助走を必要とし、現在でもアメリカの砂漠地帯では頻繁に道を走っているのを見かけます。見た目も愛らしくコレクターも多いモチーフの一つです。
インディアンの伝承にも登場する生き物であり、ナバホ族やプエブロの双方においてロードランナーを発見することは幸運の予兆であり、悪霊から人々を守る守護精霊と考えられています。
また、ホピ族の精霊カチナにもロードランナーカチナが存在し、ガラガラ蛇を食べる姿から勇敢さや持久力を表し、つむじ風のシンボルとして雨雲をもたらすともされています。
キャッチーでポップな印象のロードランナーモチーフですが、ナバホジュエリーの重厚で上質なシルバーワークと作者の創造性により、ジュエリーとしての品位やビンテージインディアンジュエリー独特の雰囲気も持った作品となっています。
また、比較的大きさのあるピンですが、シルバーのみで構成されたソリッドな質感やシンプルなデザインにより、ラペルやハット以外にも多くのアイテムに馴染みの良いシンプルな作品です。
どことなく愛らしいロードランナーモチーフのデザインは、女性にはもちろんですが、男性向けのアクセサリーには重要な要素である『ギャップ』と『遊び心』を与えてくれるアイテム。さり気なくスタイルに奥行きをもたらすことが出来るビンテージピンです。
ビンテージ工芸品としての趣と、ネイティブアメリカンジュエリーの楽しさの双方を感じられる作品であり、コレクタブルでトレジャーハントプライスなピースとなっています。
◆着用サンプル画像はこちら◆
コンディションも大変良好です。
シルバーのクスミや僅かなキズ、ハンドメイド作品特有の制作上のムラ等は見られますが、ダメージや使用感の無い、良い状態を保っています。