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JBO011508

Attr. to【Austin Wilson】Stamped Cuff w/#8 Turquoise c.1930

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132,000 円(税込)
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【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、ナバホの伝統的な技術・製法で形作られながら、作者の強いオリジナリティを感じさせる作品。さらに、中央にマウントされたオールドナンバーエイトターコイズと思われる美しい石が印象的なアンティーク/ビンテージバングルです。

ホールマーク(作者や工房のサイン)等が刻印されていない為、正確に作者や背景を特定することは出来ませんが、使用されているスタンプ(鏨)ツールから、ナバホの偉大なシルバースミス兄弟の兄【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン(1901-1976)、又は弟の【Ike Wilson】アイク・ウィルソン(1901-1942)によるものと推定可能な作品です。

1930年代~1940年代初頭頃に作られた作品と思われ、インゴットシルバー(銀塊)からハンマーワークによって成形されたバンドは、独特な重厚感と迫力を宿し、とても硬く滑らかな質感に仕上げられています。その中央にはラウンドカットされたターコイズがマウントされており、そのターコイズと左右のスタンプワークに合わせバンドのエッジに細かく曲線的なカッティングワークが施されています。
また本作では、刻まれたスタンプワークも大変特徴的となっており、ターコイズの両サイドにはフラワーや太陽を想起させるデザインが施され、その花弁を構成するスタンプ(鏨)は、ウィルソン兄弟の特徴的なディテールとなっています。さらに、サイド~ターミナルには5ポイントスター/五芒星のスタンプが刻印されており、そこから茎と葉、そして花が構成されているようにも見え、太陽と月、そして彼方に輝く星という天体の動きが表現されているようにも見えるデザインとなっています。これらは全て、ナバホジュエリーらしいスタンプとなっていますが、植物や天体等の自然やその現象をモチーフとしてジュエリーのデザインに取り込んでいるのは、ナバホジュエリーでは例外的であり、農耕民族であるズニのトレーディングポストで活躍したナバホのシルバースミスであるウィルソン兄弟らしい表現です。

さらに、これらの『スタンプワーク』は、スタンプ/鏨ツールを打ち付けることによってシルバーに文様を刻みこんでいますが、そのツール(鏨)はシルバーよりも硬い鉄(鋼)で作られています。その為、その加工はジュエリー制作よりもはるかに高い難易度となります。また、ナバホジュエリーにおけるスタンプワークは、古くからその根幹を成す技術の一つであり、シルバースミスの「技術力」は、スタンプツールを制作する「技術力」次第であり、優れたシルバースミスはイコール優れたスタンプメーカーです。また、スタンプのクオリティは現代作品とビンテージ作品を見分ける上でも大きな特徴となります。1950年代以前の作品で見られる1920年代~1940年代に作られたスタンプツールの多くは、非常に細かな文様を刻むことが出来る高い質を持つことが特徴となっています。


これらは全てナバホの伝統的な技法を応用したディテールとなっており、オーセンティックでクラシックな印象も受けますが、細部には作者のオリジナリティーが光り、卓越した技術と造形センスによって、際立った存在感とスペシャリティを持ったブレスレットに仕上げられています。

マウントされたターコイズは、類似した特徴を持つネバダ産のターコイズが幾つか想起されますが、色相やスパイダーウェブの表情からは、オールドナンバーエイトターコイズと思われます。柔らかな水色のグラデーションにワイルドなブラウンウェブが入り、濃い色味ではありませんが複雑な景色を形成する無添加ナチュラルターコイズとなっています。
アンティーク作品ではジェムクオリティーのターコイズがセットされた作品は非常に貴重で、長い年月を経て僅かにマットな質感になっていますが、いまだその煌きを失っていません。


【Number Eight Turquoise】ナンバーエイト鉱山は、ネバダ州の鉱山で1920年代中頃~60年代頃まで採掘されていました。特に1930年代中頃に採掘された石は素晴らしいクオリティーを持っていたとされています。また、採掘されるターコイズの色味や質等は、バリエーションが豊かな鉱山の一つですが、その多くは澄んだ水色を持ち、ハイグレードにグレーディングされるものは北米産ターコイズの中でも最も変色や劣化しにくいとされ、高い硬度を誇っています。
現在はその多くがコレクターや有力なトレーダーに収蔵され、市場に出ること自体が少なくなってしまいました。


【Austin Wilson】オースティン・ウィルソンと【Ike Wilson】アイク・ウィルソン(1901-1942)は、ナバホ族の兄弟とされ、二人とも1901年生まれ、一説にはアングロ/白人の血が入っていたのではないかとされています。インディアンジュエリー作家の第二世代、セカンドジェネレーションと呼ばれる【Fred Peshlakai】フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)や【David Taliman】デビッド・タリマン(1902or1901-1967)、 ホピの【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)、等と同世代であり、インディアンジュエリーの『作家』として活動を始めた最初期の一人です。
二人ともナバホリザベーションに生まれますが、弟のIke Wilsonがシルバースミスとして【Charles Garrett Wallace】チャールズ・ガレット・ウォレス(1898-1993)の経営するズニプエブロのC. G. Wallace Trading Postで仕事を始めました。その後、兄であるAustin Wilsonを同じC. G. Wallace Trading Postに誘いれます。キャリア中期以降は、ズニプエブロに存在するC. G. Wallace以外のトレーダーにも作品を供給しており、多くの素晴らしい作品を生み出しました。それは、彼らによる多くの作品がすでにミュージアムに収蔵されていることからも作家としての独自性やシルバースミスとしての高い技術がうかがえます。

また、C. G. Wallace はZUNI /ズ二のジュエリーを専門に扱うトレーダーでしたが、1920年代にナバホのシルバー彫金技術を必要としてIke Wilsonを登用したとされており、所属するジュエリー作家の多くがズニのジュエラーでした。そのため、Austin WilsonとIke Wilsonの兄弟の作品の中には、その当時ではほとんど考えられなかったズニの作家との共作と思われるチャンネルインレイ技術が使われた作品などが見つかっています。ただし、二人はナバホのシルバーワークを専門としており、ナバホのトラディッショナルな技術をベースに、ズニの作家による石のカットやカービングと彼らのシルバーワークを組み合わせたピースが残されています。しかしながら、技術はナバホの伝統的な彫金技術を重視していたようですが、そのデザインスタイルやナバホジュエリーにはあまり見られない繊細な仕事はズニの影響を受けていると考えられます。
ブレスレットやリングなど、トラディショナルなナバホスタイルを踏襲した作品が多く見つかっていますが、ボックスやカトラリー等多岐にわたるシルバー作品を残しており、伝統的な技術を踏襲しながらも新しいスタイルや実験的な造形のピースも見られ、そのクリエイティブな作風や美意識は後世の作家にも多くの影響を与えています。さらに、1941年発足の職人団体【The Navajo Arts & Crafts Guild】 ナバホギルドのメンバーとしてもその名前が残されています。

ホールマーク(作家のサイン)については、こちらのピースには施されていませんが、ボウ&アローの刻印が多く見つかっています。ただしそれが、兄弟の内でどちらのサインであるか明確になっていません。参考資料によっては、前述のボウ&アローの刻印が弟のIkeのサインとされていますが、当店の見解としては、1960年代まで制作していたと考えられる兄のAustinのサインである可能性が高いと推測しており、共通のホールマークであった可能性も排除できません。また、トマホークモチーフの刻印やホーガンモチーフのものなども同作者のものとして紹介されていることがありますが、C. G. Wallace Trading Postには、二人以外にも【Billy Hoxie】ビリー・ホクシー、【Charles Begay】チャールズ・ビゲイ(1912-1998)等のナバホ出身のシルバースミスが作品を供給していたと考えられ、オースティン・ウィルソンかアイク・ウィルソンのサインであることを断定するのは大変困難だと思われます。
それは、AustinとIkeが1歳ほど年の離れた兄弟である事が、最近のErnie Bulow氏の研究・調査によって判明したばかりであることからもいまだ不明点が多く、ホールマーク等の詳細について判断するにはまだまだ今後の研究・調査が必要と考えられます。
当時の高名な作家と同じようにホールマークの刻印されていない作品も多数確認されていますが、当時の作家の中では多作であり、比較的ホールマークの刻印されたピースが残っている作者です。
弟の【Ike Wilson】 は1942年に事故で亡くなられています。兄の【Austin Wilson】はその後も素晴らしい作品を多く残し、1976年に亡くなっており、その技術やスタンプはIkeの妻であった【Katherine Wilson】などが少しの間引き継いでいたようです。また、Ike Wilsonの孫にあたるのが、コンテンポラリージュエリーの有名作家【Harry Morgan】ハリー・モーガン(1946-2007)です。


【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。こちらの作品の内側に見られるようなシルバーの重なったような部分は、ハンマーワークによるインゴット成形作品の特徴となっており、ダメージではありません。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。


本作も前述の通り、インゴットシルバーの「マーク」とも呼ばれるハンマーワークから成形されたことを表すシルバーの重なった部分を有しています。これは、制作上のムラではありますが、コレクターに好まれる特徴の一つであり、逆に価値を高めるディテールとなっています。

また、ナバホジュエリーの伝統的な技術・技法を守る質の高いシルバーワークでありながら、造形・デザインにはズニジュエリーの価値観や美意識の影響を感じさせる作品です。それは、スタンプワークによって表現されている農耕民族であるズニ族の動植物や自然現象を重んじる意識であり、自然に対する畏敬の念だと思われます。そして、それが本作に他に類を見ないスペシャリティを与える事となっているようです。

独創性を持ちながら高い完成度を見せるデザインや有機的なモチーフの構成は、優し気で日本人に響きやすい美意識が感じられます。またそれは、多くのスタイルに馴染む素朴な雰囲気を作り上げているようです。

偉大な作家キャリアの背景を想起させるオリジナリティを持ち、他に類似した作品の無いピース。アートピース/ウェアラブルアートとしても高く評価されるジュエリー作品であり、トレジャーハントプライスとなっています。

◆着用サンプル画像(10枚)はこちら◆


コンディションはシルバーにクスミや僅かなキズ等は見られますが、使用感は少なく特に目立ったダメージなどは無くとても良好な状態。また前述のように、内側にはシルバーの重なり・亀裂がみられますが、これらはインゴット製法独特の制作中にできるもので、ダメージではありません。
ターコイズも良好なコンディションを保ち、マトリックス部分には天然石由来の凹凸が見られますが、それらはカットされた時からの天然石由来の特徴です。
【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、ナバホの伝統的な技術・製法で形作られながら、作者の強いオリジナリティを感じさせる作品。さらに、中央にマウントされたオールドナンバーエイトターコイズと思われる美しい石が印象的なアンティーク/ビンテージバングルです。

ホールマーク(作者や工房のサイン)等が刻印されていない為、正確に作者や背景を特定することは出来ませんが、使用されているスタンプ(鏨)ツールから、ナバホの偉大なシルバースミス兄弟の兄【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン(1901-1976)、又は弟の【Ike Wilson】アイク・ウィルソン(1901-1942)によるものと推定可能な作品です。

1930年代~1940年代初頭頃に作られた作品と思われ、インゴットシルバー(銀塊)からハンマーワークによって成形されたバンドは、独特な重厚感と迫力を宿し、とても硬く滑らかな質感に仕上げられています。その中央にはラウンドカットされたターコイズがマウントされており、そのターコイズと左右のスタンプワークに合わせバンドのエッジに細かく曲線的なカッティングワークが施されています。
また本作では、刻まれたスタンプワークも大変特徴的となっており、ターコイズの両サイドにはフラワーや太陽を想起させるデザインが施され、その花弁を構成するスタンプ(鏨)は、ウィルソン兄弟の特徴的なディテールとなっています。さらに、サイド~ターミナルには5ポイントスター/五芒星のスタンプが刻印されており、そこから茎と葉、そして花が構成されているようにも見え、太陽と月、そして彼方に輝く星という天体の動きが表現されているようにも見えるデザインとなっています。これらは全て、ナバホジュエリーらしいスタンプとなっていますが、植物や天体等の自然やその現象をモチーフとしてジュエリーのデザインに取り込んでいるのは、ナバホジュエリーでは例外的であり、農耕民族であるズニのトレーディングポストで活躍したナバホのシルバースミスであるウィルソン兄弟らしい表現です。

さらに、これらの『スタンプワーク』は、スタンプ/鏨ツールを打ち付けることによってシルバーに文様を刻みこんでいますが、そのツール(鏨)はシルバーよりも硬い鉄(鋼)で作られています。その為、その加工はジュエリー制作よりもはるかに高い難易度となります。また、ナバホジュエリーにおけるスタンプワークは、古くからその根幹を成す技術の一つであり、シルバースミスの「技術力」は、スタンプツールを制作する「技術力」次第であり、優れたシルバースミスはイコール優れたスタンプメーカーです。また、スタンプのクオリティは現代作品とビンテージ作品を見分ける上でも大きな特徴となります。1950年代以前の作品で見られる1920年代~1940年代に作られたスタンプツールの多くは、非常に細かな文様を刻むことが出来る高い質を持つことが特徴となっています。


これらは全てナバホの伝統的な技法を応用したディテールとなっており、オーセンティックでクラシックな印象も受けますが、細部には作者のオリジナリティーが光り、卓越した技術と造形センスによって、際立った存在感とスペシャリティを持ったブレスレットに仕上げられています。

マウントされたターコイズは、類似した特徴を持つネバダ産のターコイズが幾つか想起されますが、色相やスパイダーウェブの表情からは、オールドナンバーエイトターコイズと思われます。柔らかな水色のグラデーションにワイルドなブラウンウェブが入り、濃い色味ではありませんが複雑な景色を形成する無添加ナチュラルターコイズとなっています。
アンティーク作品ではジェムクオリティーのターコイズがセットされた作品は非常に貴重で、長い年月を経て僅かにマットな質感になっていますが、いまだその煌きを失っていません。


【Number Eight Turquoise】ナンバーエイト鉱山は、ネバダ州の鉱山で1920年代中頃~60年代頃まで採掘されていました。特に1930年代中頃に採掘された石は素晴らしいクオリティーを持っていたとされています。また、採掘されるターコイズの色味や質等は、バリエーションが豊かな鉱山の一つですが、その多くは澄んだ水色を持ち、ハイグレードにグレーディングされるものは北米産ターコイズの中でも最も変色や劣化しにくいとされ、高い硬度を誇っています。
現在はその多くがコレクターや有力なトレーダーに収蔵され、市場に出ること自体が少なくなってしまいました。


【Austin Wilson】オースティン・ウィルソンと【Ike Wilson】アイク・ウィルソン(1901-1942)は、ナバホ族の兄弟とされ、二人とも1901年生まれ、一説にはアングロ/白人の血が入っていたのではないかとされています。インディアンジュエリー作家の第二世代、セカンドジェネレーションと呼ばれる【Fred Peshlakai】フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)や【David Taliman】デビッド・タリマン(1902or1901-1967)、 ホピの【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)、等と同世代であり、インディアンジュエリーの『作家』として活動を始めた最初期の一人です。
二人ともナバホリザベーションに生まれますが、弟のIke Wilsonがシルバースミスとして【Charles Garrett Wallace】チャールズ・ガレット・ウォレス(1898-1993)の経営するズニプエブロのC. G. Wallace Trading Postで仕事を始めました。その後、兄であるAustin Wilsonを同じC. G. Wallace Trading Postに誘いれます。キャリア中期以降は、ズニプエブロに存在するC. G. Wallace以外のトレーダーにも作品を供給しており、多くの素晴らしい作品を生み出しました。それは、彼らによる多くの作品がすでにミュージアムに収蔵されていることからも作家としての独自性やシルバースミスとしての高い技術がうかがえます。

また、C. G. Wallace はZUNI /ズ二のジュエリーを専門に扱うトレーダーでしたが、1920年代にナバホのシルバー彫金技術を必要としてIke Wilsonを登用したとされており、所属するジュエリー作家の多くがズニのジュエラーでした。そのため、Austin WilsonとIke Wilsonの兄弟の作品の中には、その当時ではほとんど考えられなかったズニの作家との共作と思われるチャンネルインレイ技術が使われた作品などが見つかっています。ただし、二人はナバホのシルバーワークを専門としており、ナバホのトラディッショナルな技術をベースに、ズニの作家による石のカットやカービングと彼らのシルバーワークを組み合わせたピースが残されています。しかしながら、技術はナバホの伝統的な彫金技術を重視していたようですが、そのデザインスタイルやナバホジュエリーにはあまり見られない繊細な仕事はズニの影響を受けていると考えられます。
ブレスレットやリングなど、トラディショナルなナバホスタイルを踏襲した作品が多く見つかっていますが、ボックスやカトラリー等多岐にわたるシルバー作品を残しており、伝統的な技術を踏襲しながらも新しいスタイルや実験的な造形のピースも見られ、そのクリエイティブな作風や美意識は後世の作家にも多くの影響を与えています。さらに、1941年発足の職人団体【The Navajo Arts & Crafts Guild】 ナバホギルドのメンバーとしてもその名前が残されています。

ホールマーク(作家のサイン)については、こちらのピースには施されていませんが、ボウ&アローの刻印が多く見つかっています。ただしそれが、兄弟の内でどちらのサインであるか明確になっていません。参考資料によっては、前述のボウ&アローの刻印が弟のIkeのサインとされていますが、当店の見解としては、1960年代まで制作していたと考えられる兄のAustinのサインである可能性が高いと推測しており、共通のホールマークであった可能性も排除できません。また、トマホークモチーフの刻印やホーガンモチーフのものなども同作者のものとして紹介されていることがありますが、C. G. Wallace Trading Postには、二人以外にも【Billy Hoxie】ビリー・ホクシー、【Charles Begay】チャールズ・ビゲイ(1912-1998)等のナバホ出身のシルバースミスが作品を供給していたと考えられ、オースティン・ウィルソンかアイク・ウィルソンのサインであることを断定するのは大変困難だと思われます。
それは、AustinとIkeが1歳ほど年の離れた兄弟である事が、最近のErnie Bulow氏の研究・調査によって判明したばかりであることからもいまだ不明点が多く、ホールマーク等の詳細について判断するにはまだまだ今後の研究・調査が必要と考えられます。
当時の高名な作家と同じようにホールマークの刻印されていない作品も多数確認されていますが、当時の作家の中では多作であり、比較的ホールマークの刻印されたピースが残っている作者です。
弟の【Ike Wilson】 は1942年に事故で亡くなられています。兄の【Austin Wilson】はその後も素晴らしい作品を多く残し、1976年に亡くなっており、その技術やスタンプはIkeの妻であった【Katherine Wilson】などが少しの間引き継いでいたようです。また、Ike Wilsonの孫にあたるのが、コンテンポラリージュエリーの有名作家【Harry Morgan】ハリー・モーガン(1946-2007)です。


【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。こちらの作品の内側に見られるようなシルバーの重なったような部分は、ハンマーワークによるインゴット成形作品の特徴となっており、ダメージではありません。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。


本作も前述の通り、インゴットシルバーの「マーク」とも呼ばれるハンマーワークから成形されたことを表すシルバーの重なった部分を有しています。これは、制作上のムラではありますが、コレクターに好まれる特徴の一つであり、逆に価値を高めるディテールとなっています。

また、ナバホジュエリーの伝統的な技術・技法を守る質の高いシルバーワークでありながら、造形・デザインにはズニジュエリーの価値観や美意識の影響を感じさせる作品です。それは、スタンプワークによって表現されている農耕民族であるズニ族の動植物や自然現象を重んじる意識であり、自然に対する畏敬の念だと思われます。そして、それが本作に他に類を見ないスペシャリティを与える事となっているようです。

独創性を持ちながら高い完成度を見せるデザインや有機的なモチーフの構成は、優し気で日本人に響きやすい美意識が感じられます。またそれは、多くのスタイルに馴染む素朴な雰囲気を作り上げているようです。

偉大な作家キャリアの背景を想起させるオリジナリティを持ち、他に類似した作品の無いピース。アートピース/ウェアラブルアートとしても高く評価されるジュエリー作品であり、トレジャーハントプライスとなっています。

◆着用サンプル画像(10枚)はこちら◆


コンディションはシルバーにクスミや僅かなキズ等は見られますが、使用感は少なく特に目立ったダメージなどは無くとても良好な状態。また前述のように、内側にはシルバーの重なり・亀裂がみられますが、これらはインゴット製法独特の制作中にできるもので、ダメージではありません。
ターコイズも良好なコンディションを保ち、マトリックス部分には天然石由来の凹凸が見られますが、それらはカットされた時からの天然石由来の特徴です。
Size

メンズサイズ ML - L 程度
レディースサイズ XL - XXL 程度

内径最大幅 約60.0㎜    正面幅(高さ) 約17.5㎜
内周 約142㎜    開口部 約27㎜
Inside Measurement 5 5/8inch   opening 1 1/16 inch 

ターコイズ 縦 約11.8㎜  横 約11.6㎜

※バングルはサイズ調整可能です。MLサイズ以上、XLサイズ以下の男性、XLサイズ以上の女性であればほとんどの方にフィットすると思います。 ただし、サイズ調整の際は無理な力を加えますと破損の原因となることがありますのでご注意ください。

サイズ(手首寸法)をお伝えいただければ、当店でお渡し前の調整が可能です。お気軽にお申し付けくださいませ。

Material

Ingot Silver, Number Eight Turquoise
        約30.8g