【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、伝統的な造形スタイルをベースに、サンダーバードやラトルスネークのスタンプワークが施された作品。ターコイズの質や細かなシルバーワークも特徴的なアンティーク/ビンテージバングルです。

【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれる、20世紀前半のサウスウエスト観光産業の隆盛に合わせて制作されたスーベニア作品の一つながら、一人の職人が全ての工程をハンドメイドにより丁寧に仕上げた作品と思われます。その為、量産化されたマニュファクチュアピース/マスメイドとは、あらゆる面で一線を画すバングルです。

1920年代末頃～1940年代に作られたと思われる作品で、インゴットシルバー(銀塊)から成形されたバンドはフロント部分が2本に割り開かれ、伝統的でオーセンティックなスプリットバンドの造形となっています。そして、フロントの3か所に味わい深いターコイズがマウントされ、そのベゼル(覆輪)の外側と石と石の間にはレインドロップと呼ばれるシルバーボールが細かく羅列されています。さらに、サイドにもシルバーボールが配され、立体感と奥行きが与えられています。また、ターミナルにかけても深く刻まれたスタンプワークが刻まれており、サンダーバードやラトルスネーク/ガラガラ蛇等、ツーリストアイテムらしいモチーフがビンテージインディアンジュエリーらしいキャッチーな印象と、細部にも見所が作られているようです。

マウントされたターコイズについては、明確な鉱山は不明ですが強い透明感を持つ味わい深い石となっています。センターの石にクラックが見られ、おそらく変色により、3つの石がグリーン、アクアカラーの異なった色相となっていますが、その変色が無添加の天然石である事を示し、ビンテージインディアンジュエリー独特のナチュラルな質感と味わいを生み出すことになっているようです。
変色は見られますが、高い硬度と奥行きを感じさせる石であり、深遠な奥行きと複雑な表情を持つターコイズとなっています。

またこちらのようなアイテムは、1920年にコロラド州ガーデンオブザゴッズで始めた観光客向けのインディアンアートショップ【GARDEN OF THE GODS TRADING POST】ガーデンオブザゴッズトレーディングポストや、1915年に、もとは法律家だった【Julius Gans】ユリウス・ガンズによってニューメキシコ州サンタフェで創業し、その後当地でも最大級の店に成長した【Ganscraft】=【Julius Gans Southwestern Arts and Crafts】ガンズクラフト社、その他の古くからの伝統を重視する各地のトレーディングポスト等で制作されていましたが、こちらにはショップマークやホールマーク(作者のサイン)は入らず詳細は不明となっています。


【Thunderbird】サンダーバード はインディアンジュエリーの伝統的なモチーフの一つで、伝説の怪鳥であり、雷や雲、ひいては雨とつながりが深く幸福を運んでくるラッキーシンボルでもあります。 ジュエリーでは、限界の無い幸福を表すシンボルであり、ネイティブアメリカンの守り神的存在です。


【Rattlesnake】ガラガラヘビ/ラトルスネークは、インディアンにとって神聖な存在として、特にプエブロインディアンの間で古くからジュエリーやポッテリー等、色々な作品に用いられました。
当店のロゴにも登場するモチーフであり、脱皮して成長していく姿から、<挑戦><革命><知恵> 等を象徴するシンボルとされています。


【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで圧力をかけて伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやワイヤーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。


本作もツーリースジュエリーながら、インゴットシルバーから成形された地金により、25g近い重量感を持ち、キャッチーなモチーフのスタンプワークによってツーリストジュエリー特有の雰囲気も感じさせる作品ですが、その重厚な地金や渋いシルバーの質感、手の込んだシルバーワークにより、チープな印象を作らず独特の魅力を放つブレスレットとなっています。

そして、それらのナバホジュエリーらしい表情と共に、マルチカラーの静かで深遠な表情を持ったターコイズにより、アンティークジュエリーとしての品位とさり気なく馴染みやすい表情を備えた作品となっています。サンダーバードなどのキャッチーで愛嬌あるモチーフのコントラストも好印象で、多くスタイルにフィットし長年にわたってご愛用いただけると思われます。

腕に対する重量感・装着感も素晴らしく、オーセンティックな造形スタイルの作品ですが、全く同じデザイン・造形は決して発見できない希少な作品の一つとなっております。

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コンディションは、シルバーは全体に黒っぽくなっており、エッジには僅かな摩耗が見られますが、ダメージの無い状態を保っています。また、ターコイズは、一か所にクラックがありますが、ガタつき等はなく着用に不安のないコンディションとなっています。