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JPO005526

Attr. to【Indian Arts & Crafts Board/NAVAJO GUILD】Pin c.1935~

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66,000 円(税込)
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【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、ホールマーク(作者や工房のサイン)等が刻印されていない為、正確に作者や背景を特定することは出来ませんが、独特なシェイプや造形スタイル等から『U.S.NAVAJO』の刻印で知られる【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)の認証を受けたトレーディングポストやインディアンスクールの彫金クラス、または【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)=通称『ナバホギルド』で制作されたと推測される作品。原始的な技術で形作られていながら、手の込んだシルバーワークや独特な造形センスにより、素晴らしい完成度とオリジナリティが与えられたアンティーク/ビンテージピンブローチです。

1930年代後半~1940年代中頃に制作された作品と思われ、インゴットシルバー(銀塊)より成形された重厚な地金がオーセンティックなアイシェイプに造形されています。そして、中央部分には丸く立体的なリポウズ/バンプアウトアール(曲面)が施されており、中央が柔らかく膨らむドーム型の造形となっています。これは現在多くみられる凸と凹の金型ツールを用いた技術ではなく、木(丸太)やレッド(鉛の塊)に施された凹みに、地金となるシルバーをハンマーで叩き沿わせることによってドーム状の膨らみを作り上げており、非常に細かく何度もタガネで叩き沿わせる高度なハンマーワークで成形されています。さらに、そのラウンド型を縁どるように、凹凸によるラインが作り込まれています。それは『チェイシング/Chasing』と呼ばれる鏨を使いシルバーに立体的な角度を付ける(彫刻の様なイメージ)技術によって作り上げられており、ロウ付けを使わず一つの銀塊から成形されていながら、立体的でエッジ―な仕上げが実現されています。
そして、その中央にはライン模様とそれに合わせたスタンプワークが刻まれ、両サイドにはバースト(放射状)デザインのスタンプにより、ウイング(翼)の様なデザイン/造形が生み出されています。また、そのバースト状のスタンプワークに呼応させ、エッジ部分も非常に丁寧なカッティングワークと鑢で削るファイルワークにより細かな動きのあるシェイプに造形されています。

それらの造形スタイルやスタンプ(鏨)ツールのクオリティもIACBやナバホギルドで作られたことを示すディテールとなっており、シンプルでミニマムな造形にインディアンジュエリー独特の味わいや武骨さが感じ取れます。またそのような手工芸品として極限まで高められたシルバーワークは、ビンテージ作品でありながらモダンでクリーンな印象を生み出しているようです。
さらに本作は、制作された時代を映し出すように、どこかミリタリーエンブレムの様なクラシックで威厳を感じさせるデザインも特徴的なピンブローチとなっています。


【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)は、【The United Indian Trader’s Association】(UITA)等と共にインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等のために現地トレーディングポストやトレーダーによって1937年に組織されました。 中でもIndian Arts & Crafts Boardは、『U.S.NAVAJO』のスタンプを使うことで、アメリカ政府の公認を表した公的な意味合いを重視した組織です。
実際には、1930年代以降に隆盛した、【BELL TRADING POST】や【Maisel's Indian Trading Post】、【Arrow Novelty】等の"Manufacturers"とされる量産化を推し進めたメーカーによるマスプロ品と、その製法や工程において正当なインディアンジュエリーであること等を差別化するために発足されました。上記のような現在『フレッド・ハービースタイル』と呼ばれるメーカーでは、ジュエリー等の製作に分業化や機械化を進め、結果的にインディアンジュエリー作家の独立や生計を圧迫しました。 そのため、古くからインディアン達と密接に付き合い、インディアンアート/クラフトを扱うトレーディングポストやトレーダー、さらにはインディアンアーティスト自身たちによって、量産化を図るメーカーに対する対抗策が講じられました。Indian Arts & Crafts Boardもその中の一つで、サンタフェの人類学研究所キュレーターである【Kenneth Chapman】ケネス・チャップマンと、フォートウィンゲート及びサンタフェインディアンスクールで彫金クラスを受け持つナバホの巨匠【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)の二人によって、その素材から製法・仕上げに至るまで『U.S.NAVAJO』の刻印を許可する厳しいガイドラインが設定されました。
前述の様に末尾のナンバーはそれぞれトレーディングポストや工房を表しています。
現在、判明しているナンバーは・・・
U.S.NAVAJO 1 = Gallup Mercantile
U.S.ZUNI 1 & U.S.NAVAJO 2 = 本作の制作された、C. G. Wallace Trading Post 等があります。
また、末尾の数字が二桁のものはアメリカ中西部にいくつか点在している政府が運営するインディアンスクールの彫金クラスで制作されたピースになります。


【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG) ※以下ナバホギルドも【U.S.NAVAJO】/【Indian Arts & Crafts Board】と同様の理由により、現地トレーディングポストや作家たちの手によって組織されました。
中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、大巨匠であるナバホのシルバースミス【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が代表を務め、後進の育成や伝統的な技術の伝承、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。明確にはなっていませんが、U.S.NAVAJO/Indian Arts & Crafts Boardが1937年~1940年代の初め頃までしか見られないのも、どちらの組織においても重要な役割を担っていたAmbrose Roanhorseが、Navajo Guild/The Navajo Arts & Crafts Guildに注力したためではないかと考えられます。
ナバホギルドによる作品のスタイルは特徴的で、Ambrose Roanhorseの意図が強く働いた影響のためか、インゴットから作られたベースに、クリーンで構築的なスタンプワークをメインとしたデザインと、昔ながらのキャストワークによるピースが多く、どちらも回顧主義的なオールドスタイルでありながら、洗練された美しい作品が多く制作されました。

また、もう一つの特徴はその構成メンバーです。当時から有名で最高の技術を究めた作家が名を連ねています。
【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ、【Mark Chee】マーク・チー、【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン、【Allan Kee】アレン・キー、【Ivan Kee】アイバン・キー、【Jack Adakai】ジャック・アダカイ、【Billy Goodluck】ビリー・グッドラック等、さらに、Ambrose Roanhorseの教え子の一人であるホピ族の【Louis Lomay】ルイス・ロメイもナバホギルドのメンバーだったようです。
さらに特筆すべきは、これだけ有名作家が揃っていながら【NAVAJO GUILD】のジュエリーとして制作されるものは、個人のホールマーク(署名/サイン)が認められていませんでした。そのため、1941年の発足から1940年代の半ばごろまでは、まったくホールマークなどが記載されていないか、『U.S.NAVAJO 70』が用いられています。その後、諸説ありますが1940年代後半頃からは、【NAVAJO】の文字と【Horned Moon】と呼ばれるホールマークが刻印されるようになりました。

ナバホギルドの代表を務めた【Ambrose Roanhorse】は後進の育成にも熱心な作家で、1930年代からサンタフェのインディアンスクールで彫金クラスを受け持っており、多くの教え子を持っていました。古い年代の伝統技術を重んじた作品を多く残し、独特の造形美や完成された技術は次世代に絶大な影響を与えた人物です。

現代では、ナバホのトップアーティストである【McKee Platero】マッキー・プラテロ氏等がこちらの作品のようなAmbrose Roanhorseやナバホギルドが生み出した「古典作品(技術)をベースにモダンで完成されたジュエリー」の影響を強く受けていると思われます。特に初期のMcKee Plateroの作品では、こちらと同じようなシンプルで簡潔なスタンプワークとファイルワークのみで構成されたピースが散見されます。
それらをベースにさらに自身の思想や美意識を反映させ、高い次元へと作品を昇華させたマッキー・プラテロ氏は、日本の伝統継承で云う『守・破・離』を体現し、ナバホジュエリーをアートピースに押し上げています。

本作も伝統的な製法/技術が踏襲された丁寧で美しいシルバーワークと独特な造形美が堪能できる作品であり、シルバーのみで構成されたシンプルな造形の中に、Ambrose Roanhorseが目指した「プリミティブな伝統を守りながらモダンで洗練されたジュエリー」という美意識や世界観が凝縮された秀作となっています。


【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。


こちらのピンブローチも、インゴットシルバー(銀塊)から成形されることによるシルバーの厚み、膨らみ、そして細かな細工が施されたエッジなどによる豊かな表情により、左右対称でクラシックなデザインでありながらどこか有機的でエスニシティな魅力を放つ作品となっています。

シルバーのみで構成されたソリッドな質感は派手さを生まず、ラペルやハット以外にもコンチョのように使用することも可能で、多くのアイテムに馴染みやすいシンプルなピンブローチです。また、そのウイングを想起させるデザインによってミリタリーアイテムにもフィットする独特の印象を持った作品となっています。

アンティーク作品としてインディアンジュエリーの歴史的な資料価値も高く、ウェアラブルアートとしても評価できる作品。非常にコレクタブルで貴重なピースの一つです。

◆着用サンプル画像(10枚)はこちら◆


コンディションも大変良好です。僅かなクスミや小キズなどは見られますが、目立ったダメージなどはありません。ニードルの受け部分にニードルをセットする際少し抵抗がありますが、使用に当たっては全く問題ありません。
【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、ホールマーク(作者や工房のサイン)等が刻印されていない為、正確に作者や背景を特定することは出来ませんが、独特なシェイプや造形スタイル等から『U.S.NAVAJO』の刻印で知られる【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)の認証を受けたトレーディングポストやインディアンスクールの彫金クラス、または【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)=通称『ナバホギルド』で制作されたと推測される作品。原始的な技術で形作られていながら、手の込んだシルバーワークや独特な造形センスにより、素晴らしい完成度とオリジナリティが与えられたアンティーク/ビンテージピンブローチです。

1930年代後半~1940年代中頃に制作された作品と思われ、インゴットシルバー(銀塊)より成形された重厚な地金がオーセンティックなアイシェイプに造形されています。そして、中央部分には丸く立体的なリポウズ/バンプアウトアール(曲面)が施されており、中央が柔らかく膨らむドーム型の造形となっています。これは現在多くみられる凸と凹の金型ツールを用いた技術ではなく、木(丸太)やレッド(鉛の塊)に施された凹みに、地金となるシルバーをハンマーで叩き沿わせることによってドーム状の膨らみを作り上げており、非常に細かく何度もタガネで叩き沿わせる高度なハンマーワークで成形されています。さらに、そのラウンド型を縁どるように、凹凸によるラインが作り込まれています。それは『チェイシング/Chasing』と呼ばれる鏨を使いシルバーに立体的な角度を付ける(彫刻の様なイメージ)技術によって作り上げられており、ロウ付けを使わず一つの銀塊から成形されていながら、立体的でエッジ―な仕上げが実現されています。
そして、その中央にはライン模様とそれに合わせたスタンプワークが刻まれ、両サイドにはバースト(放射状)デザインのスタンプにより、ウイング(翼)の様なデザイン/造形が生み出されています。また、そのバースト状のスタンプワークに呼応させ、エッジ部分も非常に丁寧なカッティングワークと鑢で削るファイルワークにより細かな動きのあるシェイプに造形されています。

それらの造形スタイルやスタンプ(鏨)ツールのクオリティもIACBやナバホギルドで作られたことを示すディテールとなっており、シンプルでミニマムな造形にインディアンジュエリー独特の味わいや武骨さが感じ取れます。またそのような手工芸品として極限まで高められたシルバーワークは、ビンテージ作品でありながらモダンでクリーンな印象を生み出しているようです。
さらに本作は、制作された時代を映し出すように、どこかミリタリーエンブレムの様なクラシックで威厳を感じさせるデザインも特徴的なピンブローチとなっています。


【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)は、【The United Indian Trader’s Association】(UITA)等と共にインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等のために現地トレーディングポストやトレーダーによって1937年に組織されました。 中でもIndian Arts & Crafts Boardは、『U.S.NAVAJO』のスタンプを使うことで、アメリカ政府の公認を表した公的な意味合いを重視した組織です。
実際には、1930年代以降に隆盛した、【BELL TRADING POST】や【Maisel's Indian Trading Post】、【Arrow Novelty】等の"Manufacturers"とされる量産化を推し進めたメーカーによるマスプロ品と、その製法や工程において正当なインディアンジュエリーであること等を差別化するために発足されました。上記のような現在『フレッド・ハービースタイル』と呼ばれるメーカーでは、ジュエリー等の製作に分業化や機械化を進め、結果的にインディアンジュエリー作家の独立や生計を圧迫しました。 そのため、古くからインディアン達と密接に付き合い、インディアンアート/クラフトを扱うトレーディングポストやトレーダー、さらにはインディアンアーティスト自身たちによって、量産化を図るメーカーに対する対抗策が講じられました。Indian Arts & Crafts Boardもその中の一つで、サンタフェの人類学研究所キュレーターである【Kenneth Chapman】ケネス・チャップマンと、フォートウィンゲート及びサンタフェインディアンスクールで彫金クラスを受け持つナバホの巨匠【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)の二人によって、その素材から製法・仕上げに至るまで『U.S.NAVAJO』の刻印を許可する厳しいガイドラインが設定されました。
前述の様に末尾のナンバーはそれぞれトレーディングポストや工房を表しています。
現在、判明しているナンバーは・・・
U.S.NAVAJO 1 = Gallup Mercantile
U.S.ZUNI 1 & U.S.NAVAJO 2 = 本作の制作された、C. G. Wallace Trading Post 等があります。
また、末尾の数字が二桁のものはアメリカ中西部にいくつか点在している政府が運営するインディアンスクールの彫金クラスで制作されたピースになります。


【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG) ※以下ナバホギルドも【U.S.NAVAJO】/【Indian Arts & Crafts Board】と同様の理由により、現地トレーディングポストや作家たちの手によって組織されました。
中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、大巨匠であるナバホのシルバースミス【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が代表を務め、後進の育成や伝統的な技術の伝承、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。明確にはなっていませんが、U.S.NAVAJO/Indian Arts & Crafts Boardが1937年~1940年代の初め頃までしか見られないのも、どちらの組織においても重要な役割を担っていたAmbrose Roanhorseが、Navajo Guild/The Navajo Arts & Crafts Guildに注力したためではないかと考えられます。
ナバホギルドによる作品のスタイルは特徴的で、Ambrose Roanhorseの意図が強く働いた影響のためか、インゴットから作られたベースに、クリーンで構築的なスタンプワークをメインとしたデザインと、昔ながらのキャストワークによるピースが多く、どちらも回顧主義的なオールドスタイルでありながら、洗練された美しい作品が多く制作されました。

また、もう一つの特徴はその構成メンバーです。当時から有名で最高の技術を究めた作家が名を連ねています。
【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ、【Mark Chee】マーク・チー、【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン、【Allan Kee】アレン・キー、【Ivan Kee】アイバン・キー、【Jack Adakai】ジャック・アダカイ、【Billy Goodluck】ビリー・グッドラック等、さらに、Ambrose Roanhorseの教え子の一人であるホピ族の【Louis Lomay】ルイス・ロメイもナバホギルドのメンバーだったようです。
さらに特筆すべきは、これだけ有名作家が揃っていながら【NAVAJO GUILD】のジュエリーとして制作されるものは、個人のホールマーク(署名/サイン)が認められていませんでした。そのため、1941年の発足から1940年代の半ばごろまでは、まったくホールマークなどが記載されていないか、『U.S.NAVAJO 70』が用いられています。その後、諸説ありますが1940年代後半頃からは、【NAVAJO】の文字と【Horned Moon】と呼ばれるホールマークが刻印されるようになりました。

ナバホギルドの代表を務めた【Ambrose Roanhorse】は後進の育成にも熱心な作家で、1930年代からサンタフェのインディアンスクールで彫金クラスを受け持っており、多くの教え子を持っていました。古い年代の伝統技術を重んじた作品を多く残し、独特の造形美や完成された技術は次世代に絶大な影響を与えた人物です。

現代では、ナバホのトップアーティストである【McKee Platero】マッキー・プラテロ氏等がこちらの作品のようなAmbrose Roanhorseやナバホギルドが生み出した「古典作品(技術)をベースにモダンで完成されたジュエリー」の影響を強く受けていると思われます。特に初期のMcKee Plateroの作品では、こちらと同じようなシンプルで簡潔なスタンプワークとファイルワークのみで構成されたピースが散見されます。
それらをベースにさらに自身の思想や美意識を反映させ、高い次元へと作品を昇華させたマッキー・プラテロ氏は、日本の伝統継承で云う『守・破・離』を体現し、ナバホジュエリーをアートピースに押し上げています。

本作も伝統的な製法/技術が踏襲された丁寧で美しいシルバーワークと独特な造形美が堪能できる作品であり、シルバーのみで構成されたシンプルな造形の中に、Ambrose Roanhorseが目指した「プリミティブな伝統を守りながらモダンで洗練されたジュエリー」という美意識や世界観が凝縮された秀作となっています。


【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。


こちらのピンブローチも、インゴットシルバー(銀塊)から成形されることによるシルバーの厚み、膨らみ、そして細かな細工が施されたエッジなどによる豊かな表情により、左右対称でクラシックなデザインでありながらどこか有機的でエスニシティな魅力を放つ作品となっています。

シルバーのみで構成されたソリッドな質感は派手さを生まず、ラペルやハット以外にもコンチョのように使用することも可能で、多くのアイテムに馴染みやすいシンプルなピンブローチです。また、そのウイングを想起させるデザインによってミリタリーアイテムにもフィットする独特の印象を持った作品となっています。

アンティーク作品としてインディアンジュエリーの歴史的な資料価値も高く、ウェアラブルアートとしても評価できる作品。非常にコレクタブルで貴重なピースの一つです。

◆着用サンプル画像(10枚)はこちら◆


コンディションも大変良好です。僅かなクスミや小キズなどは見られますが、目立ったダメージなどはありません。ニードルの受け部分にニードルをセットする際少し抵抗がありますが、使用に当たっては全く問題ありません。
Size

縦 約3.0㎝   横 約6.5㎝

Material

Ingot Silver