【ZUNI】ズニのビンテージジュエリー、有名ファミリーのひとつであるDishtaファミリーによるものと思われる作品。小さいティアドロップ型のターコイズによるインレイが連続して構成されたサークル/ウィールシェイプトップのビンテージネックレスです。
1950年代~1960年代の作品と思われ、とても小さなターコイズインレイパーツを連続して配置する事で構成しており、綺麗な円形のトップが作り上げられています。その「サークル/円」は、着用時により際立ち、独特な印象を持っています。また、その円の内側から外側に向けて緩やかなカーブと傾斜が施されています。それにより、内側よりも外側が僅かに薄く仕上げられ、極僅かながら曲面に取っていることで独特な上質感や柔らかな印象が与えられているようです。
こちらのようなラウンド型やティアドロップ型の小さなターコイズインレイを駆使して構成するデザイン/造形は【Dishta Style】と呼ばれ、ズニの巨匠【Frank Dishta】フランク・ディシュタ(1902-1954)により作り上げられ、その後その子孫によってDishtaファミリーのスタイルとして定着させられました。
とても小さなサイズながらそれぞれにしっかりとベゼルが造形され、そこにターコイズがインレイされたパーツをフラワー型やクラスター型に配置することで美しい幾何学模様等を生み出すスタイルで、こちらの作品もDishta Styleの代表的な造形を持つ作品であり、ターコイズのクオリティーや細かなディテールからは、その創始者である【Frank Dishta】フランク・ディシュタ(1902-1954)によるピースとも推測されるピースです。
セットされたターコイズは澄んだ水色の石で、一部に変色が見られマルチカラーになっていますが、その変色によって無添加ナチュラルターコイズであることが確認できます。また、それら変色等も含めて味わい深い表情の石となっています。古い作品らしい優しい発色のターコイズであり、少しマットな質感ですがアーシーなグラデーションが入り、1970年代以降のズニジュエリーではほとんど見られないクオリティのナチュラルターコイズとなっています。
【Frank Dishta】フランク・ディシュタは、1902年生まれで他の多くのズニ作家と同じく、C. G. Wallace Trading Postに所属していた作家の1人です。上記のように、当時まだまだナバホジュエリーとの差異が大きくなかった時代に、新しくズニのトラディショナルな技術や造形スタイルを築くことに貢献した人物であり、氏のオリジナリティーあるスタイルを生み出しました。
1954年には亡くなっていますが、息子である【Virgil Dishta Sr.】を始め、多くの優秀な子孫を残し育てています。
【Inlay】インレイ/チャンネルインレイは、古くからズニ族が得意として発展させた技術であり、カットしたターコイズやシェルなどをシルバーにピッタリと嵌め込む螺鈿細工のような技術です。 ナバホのシルバー技術に次ぐ長い伝統のある技術であり、1920年代以降、現在に至るまで多く作られましたが、そのモチーフはサンダーバードをはじめとするアニマルモチーフやナイフウイング、レインボーマン、サンフェイス等、とても多様なモチーフが見られます。
また、現在ではインレイ技法で作られたジュエリーの多くが、キャストによって量産されたシルバーベースに石をはめ込むだけとなってしまいましたが、こちらの作品は全てがハンドメイドで成形されています。
エレガントな印象も持ったサークルのシェイプは女性に向いた作品で、色々なスタイルや他のジュエリーとも相性が良く、ハンドクラフト作品のナチュラルな味わいとビンテージ特有の経年変化によって、こなれた印象を持ち、多くのスタイルにとても馴染みの良いネックレスです。
また、ズニ独特の世界観を持ったインレイのジュエリーは、キャッチーな印象とハンドメイドによるリラックス感があり、Dishta Styleもコレクタブルな希少性を高めています。
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コンディションは、全体に経年によるシルバーにクスミやハンドメイド特有の制作ムラが見られます。ただし、目立ったダメージは無く良好な状態を保っています。
ターコイズも僅かなクラックやマトリックス部分の凹凸が確認できますが、着用に当たって不安のないコンディションとなっています。