【NAVAJO】ナバホの巨匠【Mark Chee】マーク・チー(1914-1981)の作品。同作者の代名詞ともいえる大変分厚い(ヘビーゲージ)シルバーバンドをベースに、素晴らしい【Lone Mountain Turquoise】 ローンマウンテンターコイズが羅列された『Row Work/ローワーク』と呼ばれるスタイルのアンティーク/ビンテージバングルです。
1950年代~1960年代頃に作られた作品と思われ、マーク・チーが特に好んだ造形の一つであり、ナバホの伝統的なスタイルを踏襲しながらも同作者のアイデンティティーを感じさせる作品です。さらに、非常に美しいハイグレードターコイズがセットされ、偉大な作者による希少性だけでなく、作品のクオリティーの部分でもミュージアムに収蔵されていて不思議のないピースです。
シルバーゲージに換算すると5ゲージ(4.8㎜)の大変厚いシルバーでバンドを構成し、ローワークと呼ばれるターコイズを羅列するスタイルにより、美しいローンマウンテンターコイズの際立った存在感が演出されています。さらに、ターコイズの間にはシルバーボールが配されており、とても分厚いシルバーバンドに高さのあるターコイズがセットされることで立体感とボリューム感が与えられ、突出した存在感を生み出しています。サイド~ターミナルにかけては、トラディショナルなスタンプワークが刻まれ、力強いシルバーワークによってナバホらしい武骨な印象に仕上がった作品。さらに、ターミナル(両端)部分は分厚いシルバーが斜めにカットされることで装着時のフィット感と、邪魔になりにくいという実用性を高めています。ナバホジュエリーの伝統的な造形をベースにしていますが、作者の独自性と技術力を感じることができる作品です。
セットされたターコイズは、一部に凹凸が見られますが非常に美しくハイグレードにグレーディングできる無添加ナチュラルのオールドローンマウンテンターコイズがセットされています。
透明感のあるとても濃い青に【Lander Blue】ランダーブルーを思わせるような強くタイトなスパイダーウェブが入り、ローンマウンテンらしい色味とウェブの特徴を持った石です。一部に見られるブラウンの母岩の表情も大変ワイルドで、とても複雑な景色を見せ、独特の深いブルーを湛える無添加ナチュラルのターコイズです。 センターの石には母岩に凹凸やクラックが見られますが、おそらくカットされた時からの天然石が持つ特徴だと思われす。
また、こちらの作者であるマーク・チーは、【Frank Patania Sr.】フランク・パタニア(1899-1964)の経営する【Thunderbird Shop】サンダーバードショップにて石のカッターを担当してい記録が残されており、こちらの作品を含む自身の作品にセットされるターコイズの多くは、自らカットしていたのではないかと推測されます。
【Lone Mountain Turquoise】 ローンマウンテンターコイズは、ネバダ州のエスメラルダ郡にあり、北米4大ターコイズの一角です。長い歴史のある鉱山であり、1920年代後半から現在の『Lone Mountain』と言う名称になり、現在もわずかながら採掘されている鉱山です。
非常に硬度が高く、変色や劣化に強いターコイズとして知られ、採掘される原石はどんなに小さなものでもカットされ、そのほとんどがジュエリーに用いられました。 ナバホの偉大な先人である【Fred Peshlakai】 フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)や世界的に活躍したホピのアーティスト【Charles Loloma】チャールズ・ロロマ等も好んでジュエリーにしたターコイズです。
現在ではそのクオリティーと希少性からランダーブルーに次ぐ評価を受けており、こちらのようなクオリティーのターコイズがセットされた作品は市場に出ることも少なくなっています。
【Mark Chee】マーク・チーは、1914年にアリゾナ州ルカチュカイで生まれ、やはりインディアンスクールの彫金クラスにおいて、シルバースミスとしての技術を学んだようです。 若いころは、【Julius Gans Southwestern Arts and Crafts】=【Ganscraft】ガンズクラフト社に在籍していたり、前述のようにFrank Pataniaの経営する【Thunderbird Shop】で石のカッターとして所属していた記録が残っています。1930年代末頃には、San Juan Puebloの女性【Santana Montoya】と結婚し、そこで、キワ(サントドミンゴ)の巨匠【Julian Lovato】ジュリアン・ロバトに出会っています。1940年代の初めには第二次世界大戦のため従軍し、エアフォースに所属していました。そして、1946年になってニューメキシコ州サンタフェに戻り、シルバースミスの仕事を再開、Al Packard経営の【Chaparral Trading Post】に在籍していたようです。1950年代には、非常に熟練した技術を持つシルバースミスとして高く評価されるに至り、その技術はナバホのトラディッショナルスタイルだけにとどまらず、ターコイズインレイやシルバービーズを用いたジュエリー等、多岐にわたる技術を身に付けていました。1960年代~70年代にはアートショーにおけるアワード受賞リボンを多数獲得しています。
そして1981年、San Juan Puebloの居留地にて亡くなっています。
こちらの作品でも見られるサンダーバードに『CHEE』と書かれた特徴的なホールマークを使い、傑作とされる多くの作品はこちらのバングルと同様に非常にヘビーで重厚な作品です。他に類を見ない厚いバンド(地金)にターコイズをセットしたピースや、やはりとても太いトライアングルワイヤーに挟み込むように美しいターコイズをセットしたバングル等が代表的です。
また、とても小さいサイズが多いことも特徴で、自身の娘や妻のサイズに合わせて制作していたためと言われており、こちらの様に男性に向いた大きいサイズの作品は大変希少となっています。
こちらのピースも大変重厚なシルバーをベースに、伝統的な石を羅列したローワークスタイルが威厳と迫力を持った作品。厚みとターコイズによって特別な存在感を放つバングルであり、ビンテージインディアンジュエリー特有の男性的でワイルドな印象を持っていますが、非常に上質なターコイズのクオリティーとクラシックなデザイン/造形によりとても静かで落ち着いた佇まいを持っており、多くスタイルによく馴染み長年にわたってご愛用いただけるピースです。
ビンテージインディアンジュエリーの武骨さと、ハイグレードターコイズによる上質感を兼ね揃え、練り上げられた工芸品としても、マーク・チーという作家の希少性からも資料価値が高くハイエンドでコレクタブルな作品です。
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コンディションは、多少の使用感とシルバーのクスミ等が見られ、ベゼルにはも少しヘコミなどのダメージがありますが、石のがたつき等ご着用に支障のあるダメージはありません。
また、ターコイズも一部に母岩が抜けたことによる凹み/クラックが見られますが、おそらくカットされた時からのものと推測されます。その他、特にダメージは無くハイグロスを保っています。
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