【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルの作品で、【IH】=『Indian Handmade/Handcraft』と【COIN SILVER】の刻印があり、これは当時の代表的な工房の一つである『SILVER PRODUCTS』『Silver Arrow』と同じSilver Products Manufacturing Company製のピースを表します。少し控えめなボリューム感に仕上げられたコインシルバー製のアンティーク/ビンテージバングルです。
オーセンティックなスプリットシャンクは、上下のエッジが『スキャロップドエッジ』(ホタテ貝)とも呼ばれる細かな動きのあるシェイプに造形されており、それに合わせて細かく美しい紋様を刻むスタンプワークが施され、センターには透明感のあるグリーンターコイズがセットされています。また、シェイプはセンターが広く内側が細いシャンクの造形でクラシックな印象。ターコイズのベースとそのサイドはシルバーコンチョがアップリケ/パッチワークされ、立体的に造形されることで、バランスの良いボリューム感と存在感を作っています。また、コインシルバー製のため黒っぽくなったシルバーの肌も大変雰囲気のある作品です。
また、スタンプワークはターミナルからアロー等のスタンプが施され、いくつかの工程が機械化されたマシン&ハンドメイドのハイブリッドなピースであり、ある程度量産されたピースですが現在では現存数の少ない貴重な物となっています。
『SILVER PRODUCTS MFG. 社』は、【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズ インディアントレーディングポスト傘下の企業で、量産部門を担う工房としてカンザスシティーに存在していたようです。【IH = Indian Handmade/Handcraft】【SILVER PRODUCTS】【Silver Arrow】の3つのホールマーク(名前)で、オーセンティックでツーリストジュエリーらしいピースから独創的でオリジナリティーのある造形までバラエティー豊かなデザイン展開が特徴です。
1940年代中頃には前述の【Silver Arrow】ブランドに統一され、それに伴って地金のシルバーはコインシルバー900からスターリングシルバー925に統一されたようです。
こちらの作品も【IH COIN SILVER】の刻印が施され、1920年代末~1940年代頭頃までに作られたと思われるピースです。 一説には【IH COIN SILVER】のホールマークが入る作品は1910年代頃の作品と言われることがありますが、おそらく1930年代末頃まで使われていたと思われ、【SILVER PRODUCTS】【Silver Arrow】のホールマークよりは古い作品に比較的多い程度と考えられます。【Maisel's】の創業が1923年であることから、1910年代製とは考えにくいです。
こちらの作品も古い作品の特徴と同時に1920年代後半以降の特徴も見られます。
【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。 また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。同じように【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、割金と呼ばれる残り7.5%は、銅やアルミニウム等が含まれています。 925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバーコインを溶かすことで、材料を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。
シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異を見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。
腕に良くなじむ装着感があり、控えめなボリューム感は性別を問わずお使いいただけるバングルです。 シルバーの質感や経年による迫力等、アンティークピース独特の雰囲気も魅力的なピースです。
着用画像はこちら↓
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コンディションも良好です。シルバーは黒くなっていますが、ダメージ等なく良い状態を保っています。