【Hopi】ホピの巨匠【Allen Pooyouma】アレン・プーユウマの初期作品で、おそらくインゴットシルバー(銀塊)から成形されたシャンクにファイルワーク/エングレイビングとスタンプワークによって美しい紋様が刻まれたアンティーク/ビンテージバングル。 エッジのカッティングワークも手の込んだ素晴らしいディテールで、ハイエンドなピースです。
長い制作期間を誇るAllen Pooyoumaですが、こちらの作品は1940年代~1950年代前半に作られたキャリア初期のピースと推測され、ホピ特有のオーバーレイ技法ではなく、ナバホのオールドスタイルと同様の技術とデザイン/造形によって構成されたバングルです。1940年代以前に作られたホピの作品は、多くの才能ある作家により独自性のある作品が作られていましたが、現在の様にナバホジュエリーとの明確なスタイルの違いは見られませんでした。こちらの作品もオーバーレイ技法を定着させた作家の一人であるAllen Pooyoumaの作品ですが、まだナバホスタイルを踏襲したピースとなっています。
シルバーゲージ/プレートではなく、おそらくインゴット(銀塊)からハンマーワークによって成形されたバンド(地金)に、スタンプワークとファイルワークによりライン模様が刻まれ、上下にはシンプルなベイナースタンプが施されています。また、エッジはカッティングワークによってシェイプが作られており、それは目立たないディテールですが、特筆すべきポイントとなっています。カットにより曲線を描くエッジは効果的に作品に奥行きを与え、非常に手間がかかるため、それほど多くみられる造形ではありません。
裏側にはAllen Pooyoumaのホールマーク(Ear of Corn)が刻まれています。
【Allen Pooyouma】アレン・プーユウマ(1922-2014)は、アリゾナ州ホートビラの生まれで、なんと15歳から父親にシルバースミスとしての技術を教わりました。父親は【Gene Nuvhoyouma】で、叔父にあたるのはホピの大巨匠【Ralph Tawangyawma】ラルフ・タワンギャウマ(1894-1972)です。
目が悪く第二次世界大戦に徴兵されなかったため、リザベーションでジュエリーの製作を続け、1940年代半ばまではフラッグスタッフの【Doc Williams Saddle & Curio Shop】に作品を供給していたようです。その後は、ツーソンで叔父であるRalph Tawangyawmaと共に働き、高度な技術を身に付けながら独自の造形/デザインを多く作り出しました。
また、1940年代~1950年代には、1930年代にホピの作家【Paul Saufkie】ポール・スフキー(1904-1998)によって生み出されたオーバーレイ技術を早くから取り入れ、同い年の作家【Harry Sakyesva】ハリー・サキイェスヴァ(1922-1969?)や、【Victor Coochwytewa】ヴィクター・クーチュワイテワ(1922-2011)等と共に、同技術をホピのスタイルとして定着させた作家の一人とも言われています。
ただし、Allen Pooyoumaの作品におけるスタイル/作風は、とても多くのバリエーションを持ち、ファイルワークとスタンプワークというナバホの伝統的な技術と、当時は比較的新しかったオーバーレイの技術をうまく組み合わせ、どこか有機的でモチーフの生き生きとした躍動感を生み出すことに長けた作家です。
こちらの作品では、ホピ族の作品にみられる繊細で柔らかな雰囲気を持っていますが、基本的にはナバホのオールドスタイルをベースにしています。ハンドメイド独特の粗暴なシルバーワークも良い味わいを生み、シンプルでクリーンな構成ながらビンテージインディアンジュエリー独特の骨太で素朴な印象を持ったバングルです。
また、インゴットならではの心地よい重みと硬くなめらかなシルバーの質感に仕上げられています。普遍的な造形美とインディアンジュエリーの持つナチュラルな印象は、長くご愛用頂けると思われます。
こちらの様な作家の歴史が感じられる古いピースはコレクターの手を離れることは非常に稀で史料価値も高い作品です。
着用画像はこちら↓
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コンディションも非常に良好です。アンティーク作品ながら使用感少なくシルバーは黒くなっていますが、摩耗は見られず大変良い状態を保っています。