【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリーで素晴らしいデザインのビンテージピース。おそらくインゴットシルバーから成形され、シンプルな構成ながらとても洗練された造形のビンテージバングルです。
1930年代末~1960年代前半頃までに制作された作品と思われ、【NAVAJO GUILD】ナバホギルドの作品でも、幅には差がありますが非常に類似したデザインの作品が残されており、こちらの作品もNAVAJO GUILDかその代表を務めた【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が受け持ったクラスのある【Santa Fe Indian School】サンタフェ・インディアンスクール(SFIS)(1890年設立)に由来する作品と推測されるピースです。
フレッド・ハービースタイルではない作品としては比較的薄く仕上げられ、重厚な印象ではありませんが、インゴットから成形されているため心地よい重量感があります。
デザインは伝統的なバーストの紋様がスタンプワークにより刻まれています。複雑な模様を描くスタンプ(鏨)は見られず、原始的な直線を刻み込むスタンプのみで構成されており、ビンテージインディアンジュエリー独特のプリミティブで素朴な造形ですが、エッジのカッティング等、シンプルながら大変手間のかかったディテールと素晴らしい造形センスにより、クリーンで普遍的な美しさを持つバングルに仕上がっています。
【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG)※以下ナバホギルドは【The United Indian Trader’s Association】(UITA)等と共にインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等のために現地トレーディングポストや作家たちの手によって組織されました。
中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、大巨匠であるナバホのシルバースミス【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホースが代表を務め、後進の育成や伝統的な技術の伝承、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。
代表を務めた【Ambrose Roanhorse】は、後進の育成にも熱心だった作家の一人です。1930年代からサンタフェのインディアンスクールで彫金技術のクラスを受け持っており、多くの教え子を持っていました。 サードジェネレーションと呼ばれる第3世代の作家ですが、さらに古い年代の伝統を重んじた作品を多く残し、独特の造形美や完成された技術は次世代に絶大な影響を与えたました。ホピ族の巨匠【Louis Lomay】ルイス・ロメイも氏から技術を教授された一人です。
こちらのバングルもAmbrose Roanhorseがクラスを受け持っていたサンタフェ・インディアンスクールで作られた作品の可能性があります。氏の信念により、銀を溶かし、キャストで棒状(インゴット)に成形した後、伸ばし叩くことによってバングルへと成形していくナバホの大変原始的な手法を受け継いでいくために教材として制作されたものかもしれません。
現在では、Cochitiの【Cippy CrazyHorse】シピー・クレイジーホース氏やOhkay Owingehの【Mike Bird Romero】マイク・バード・ロメロ氏などがこちらの様な技術を守って、同スタイルの作品を作っていますが、アンティーク/ビンテージのピースはほとんど市場に出ているものを見かけない個体でもあり、その希少価値を高めています。
シルバーのなめらかな肌による素晴らしい装着感も堪能できるピース。非常に汎用性も高く、クリーンでミニマムな印象はあらゆるスタイルによく馴染みます。 こちらのバングルの高い完成度と、ビンテージインディアジュエリー独特の造形美は普遍的で、長くご愛用いただける印象を持っています。
着用画像はこちら↓
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コンディションも大変良好です。 使用感は少なく特にダメージはありません。内側の一部にロウ付け跡のようなものが見られますが、おそらくスタンプワークの裏側を補強する意味で銀ロウが施されているのだと思われます。