【PUEBLO】プエブロ・【NAVAJO】ナバホの多くの作家が在籍したインディアンクラフトショップ【GARDEN OF THE GODS TRADING POST】ガーデンオブザゴッズトレーディングポストで作られた作品。神秘的な表情を持ったティアドロップシェイプの【Agate】アゲート(瑪瑙)がメインが構成されたアンティーク/ビンテージネックレスです。
※本作は、下記ピアスとセットで発見されたビンテージジュエリーです。販売は2作品セットではなくそれぞれ単体での販売になっておりますのでご注意ください。
もう一方の作品については、下記のリンクよりご確認頂けます。
ITEM CODE:JNO005681
【GARDEN OF THE GODS】Atq Agate Drop Pierced Earrings c.1940
内側に刻印されている『HAND MADE BY INDIANS』と『STERLING SILVER』の表記により1930年代末頃~1940年代に同トレーディングポストで作られた作品と判断可能です。
上記リンクのピアスと同じ原石から切り出された美しいアゲートは、性別を問わずお使いいただけるサイズとなっており、クラシックなティアドロップ型にカットされています。またその石を留めるベゼル(覆輪)の外側にはツイステッドワイヤーが施されることで、非常にシンプルでミニマルな造形にインディアンジュエリーらしい印象を与えているようです。
付属のシルバーチェーンは新しいものですが、太さがあり重厚な925シルバー製です。独自にアンティーク加工を施しており、ビンテージ作品によく馴染む表情となっております。
【Agate】アゲートは、日本語では『瑪瑙/メノウ』と呼ばれ、石英(クウォーツ)の結晶が集まって形成された石で、鉱物学的な分類名であはありません。カルセドニーや水晶、オニキス、ジャスパーと同種であり、それらの中でも美しい色彩と縞模様などを持った貴石をAgate/アゲートと呼称しています。透明感と硬さがあり、美しい縞模様や多彩な色彩の特徴的な石です。
また、その表情が景色を映したように見える個体が多いために、【Petrified Wood】ペトリファイドウッド(珪化木)等と共に、総称として『ピクチャーストーン』『シニックストーン』と呼ばれることもあります。インディアンジュエリーの歴史においては、コーラルやスパイニーオイスター、ラピスラズリなどと共にターコイズに次いで用いられることの多い石です。第二次世界大戦中にはターコイズを採掘する鉱夫の人出が不足したため、ターコイズに代わって用いられ、1970年代後半以降には、インディアンジュエリーの流行やナチュラル無添加で使用できるターコイズの枯渇、さらに極彩色に染めることが可能なアゲートの人気により多用されるようになりました。本作はそのような流行よりもかなり古い時代に作られた作品であり、ダイド(染められた)石ではなく産出したままのナチュラル無添加なアゲートです。
また本作にマウントされたアゲート/Agateは、正確な産地は不明ながら北米(コロラド州)で産出したものと思われ、非常に複雑なマーブル模様とクウォーツが多く含まれる透明感により、3次元的に美しい文様が特徴的な石となっています。液体特有の瞬間的な美しさを持つラテアートやマーブリングを、そのまま石の中に留めたような表情を持っています。
ターコイズとは違った独特な存在感と他に類を見ない新鮮な印象を生み出し、古くから使われる素材でありながらビンテージインディアンジュエリーの新しい側面とも感じられ、ペトリファイドウッド等と共に当店では注力してご紹介しています。
【GARDEN OF THE GODS TRADING POST】ガーデンオブザゴッズトレーディングポストは、もともとFred Harvey Companyで働いていた【Charles E. Strausenback】チャールズ・E・ストローセンバックが、1920年にコロラド州Pike's Peakの国立公園『ガーデンオブザゴッズ』で始めた観光客向けのインディアンアートショップです。
多くの優秀なプエブロインディアン作家を擁し、ナバホのオールドスタイルをベースにしながらも、プエブロスタイルを積極的に取り入れたミックススタイルが特徴的な工房です。所属していたのは、インディアンジュエリー創成期の最もクリエイティブな作家の一人として知られるサン・イルデフォンソの【Awa Tsireh】アワ・シーディー(1898-1955)をはじめ、ナバホの【David Taliman】デビッド・タリマン(1902or1901-1967)、他にも【Epifanio Tafoya】【William Goodluck】【John Etsitty】等、プエブロ・ナバホの中でも、後に偉大なアーティストとして知られる多くの作家達であり、それぞれが独創的なスタイルを生み出し、沢山の傑作を送り出したインディアンアートショップです。
GARDEN OF THE GODSも1900年代以降のサウスウエスト観光産業の隆盛により創業された「スーベニア(記念品)ビジネス」と言う意味では、【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれるジャンルにカテゴライズされている【BELL TRADING POST】や【Maisel's Indian Trading Post】、【Arrow Novelty】等の分業化や機械化を進めインディアンクラフトの量産化を図ったメーカー/Manufacturersと同じスタートを切っています。しかしながら、インディアンアートショップとして古い伝統技術や製法を守り、独自性を持ちながら工芸品/アートピースとしての制作が行われており、上記の様なフレッド・ハービースタイルのプロダクト製品とは一線を画す存在です。また、当時とても新しいかったポップなスタイルを持つ同工房に所属したAwa Tsirehの作品が、お手本として【BELL TRADING POST】をはじめとする量産メーカーに模倣されたことや、【Fred Peshlakai】の作品、【C. G. Wallace】で作られたデザイン/造形が上記のようなメーカーのデザインソースとなったことによりGARDEN OF THE GODS TRADING POSTやFred Wilson's Indian Trading Post、Southwestern Arts and Crafts等の分業や量産化を図っていない工房の作品もフレッド・ハービースタイルと混同されることになってしまいました。
1940年代には、コロラド州ガーデンオブゴッドとコロラドスプリングス、そしてアリゾナ州フェニックスにも店舗を展開しますが、1956年頃にCharles E. Strausenbackが亡くなっており、その後は妻がビジネスを引き継いでいたようですが、1979年にはビジネス自体が買収されました。そのため、ジュエリー等の制作は1950年代頃までだったと思われます。
また、同店はコロラド州にある神々の庭/Garden of the Godsにて、現在もヒストリックなトレーディングポストとして当時の姿を残して土産物店・カフェとして運営されています。
本作も、アゲートというマテリアルやシンプルで伝統的でありながらオリジナリティを感じさせる作風は、ガーデンオブザゴッズで作られた作品らしい特徴となっています。また、アンティーク作品でありながら現在でも新鮮な印象を失っておらず、シックで洗練された印象とビンテージインディアンジュエリー独特の雰囲気を併せ持っています。
またそのクラシックでナチュラルな印象は、性別を問わずカジュアルなスタイルからモードな装いまで幅広く馴染む高い汎用性と唯一無二のオリジナリティを兼ね備えています。
一見してインディアンジュエリーと判断できないような現代的で洗練された作品となっていますが、1940年代以前に作られた事が判断できるGARDEN OF THE GODS TRADING POST/ガーデンオブザゴッズトレーディングポスト個体であり、現存数が少ないため非常にコレクタブルなピースの一つ。アンティーク工芸品として、そしてアートピース・ウェアラブルアートとしても評価される作品となっています。
◆着用サンプル画像(9枚)はこちら◆
コンディションも大変良好です。多少のクスミや細かなキズ、ハンドメイド特有の制作上のムラが見られますが、使用感を感じない状態を保っています。