【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、インゴットシルバー(銀塊)から成形された比較的ナローなトライアングルワイヤー(竜骨型)をベースに、アロー等のスタンプが施された作品。シンプルながら高いクオリティーを持ったアンティーク/ビンテージバングルです。
1920年代~1940年代前半頃に制作されたピースと思われ、重厚でアンティークながら上質感のあるシルバーの肌や力強く刻まれたスタンプワークが特徴的なピースです。現在でも、ナバホのオーセンティックなスタイルの一つとしてトライアングルワイヤーをベースにした作品は数多く制作されており、こちらの作品もそれらとの大きな違いは見られません。しかしながら、一見簡素な技術を想起させるデザインも原始的な製法によって造形された地金により、制作には長い時間と高い技術を要し、その製法やプリミティブながらシルバーワークは高い技術力と完成度を感じさせます。それは、インゴットシルバー(銀塊)から成形することによって生み出される独特なシルバーの硬さや質感と既製のワイヤーにはないトライアングルワイヤーのシェイプによって生み出されています。この様なワイヤーは、トライアングル型に彫り込んだ溝にある程度ワイヤー状に成形したインゴットシルバーを叩きこむことで三角形の断面に成形しており、外見からは伝わらない独特の硬くなめらかなシルバーの質感を持っています。さらに、上下のエッジも丸く鞣されており、それらによって素晴らしい着用感が与えられています。
そこに、力強いスタンプワークが施され、両サイド部分にはインディアンジュエリーに用いられるモチーフの中でも最も古い具象モチーフの一つであり、『お守り』の意味合いを持つアロー(矢)のスタンプが刻まれています。これらのデザイン/造形もシンプルながらとてもビンテージらしい印象を生み出しています。またそのスタンプ(鏨)自体も非常に細かな仕事による高い完成度を持ち、こちらのようなアンティーク作品特有のクオリティーを感じさせます。
【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。
古典的な技術によって構成されたアンティーク作品ですが、クリーンで無駄のない造形と硬くなめらかなシルバーの質感は、現代的で洗練された印象も与え、今も練り上げられたアンティーク工芸品としての佇まいや独特の迫力を宿しています。
こちらの様なトライアングルワイヤーのシェイプは、他のバングルとの重ね付けにも向いていますが、単独でもしっかりとした存在感ある作品であり、ミニマルで洗練された印象は多くのスタイルに自然に馴染みます。また、ナバホのオーセンティックなスタイルとして長く制作されることになる普遍的な造形美があり、長年にわたってご愛用いただける上質感を持ったバングルです。
また、こちらのような年代に制作されたトライアングルワイヤーのバングルは現存数が少なく、現在では大変貴重な作品の一つとなっています。
◆着用サンプル画像(9枚)はこちら◆
コンディションも良好で、多少の摩耗やクスミはありますがリペア跡やダメージはなく、良い状態を保っています。