【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリーで、とても美しいスクエアカット【Petrifiedwood】ペトリファイドウッド(木の化石)がセットされ、サンダーバードのアップリケ/パッチワークの施された非常にハイクオリティーなアンティーク/ビンテージバングルです。
1940年代~1950年代頃の作品と思われ、おそらくインゴットシルバー(銀塊)から成形された重厚なバンド/地金は、『スプリットバンド』と呼ばれる伝統的な造形で3本に割り開かれており、センターに向けて幅が広く造形されています。そのセンターにはスクエアカットのペトリファイドウッドがセットされ、ベゼルの両サイドにはツイステッドワイヤーが施されており、さらにとても小さなコンチョが両サイドにそれぞれ5個ずつ配されています。そして、バンドのサイドにはとても可愛い印象ながら秀逸なクオリティーのサンダーバードモチーフスタンプが刻まれたパーツがアップリケ/パッチワークされています。それらを含め全てのディテールがナバホの伝統的なシルバーワークで構成された作品ですが、バンドの上下のエッジにはファイルワークと呼ばれるヤスリで削る技法により、立体的で動きのある細工が施されており、サイド~ターミナルにかけては個性的なスタンプ(鏨)によってアローなどの文様が刻まれています。これらのシルバーワークからは、作者の非常に高い技術と細部には強い独自性も感じられます。
残念ながらホールマーク(サイン)などが施されていない為作者は不明ですが、シルバーワークやデザイン/造形スタイル、さり気なくも独特な個性を持ったスタンプ(タガネ)のクオリティーからは、ホピの【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)や多くの作家が在籍しクリエイティブな作品を多く残したことで知られるインディアンクラフトショップ【GARDEN OF THE GODS TRADING POST】ガーデンオブザゴッズトレーディングポストの作品が想起されます。
【Petrified Wood】ペトリファイドウッドは、日本語では『珪化木』と言う<木>が化石化したものです。 これらの化石はインディアン居留地であるアリゾナ北部~ニューメキシコ西部の砂漠地帯から多く産出され、古くからジュエリーに用いられています。
おおよそ2億5000万年前の木々が地中に埋もれ、地下水のケイ素成分が浸透し樹木の組織が残ったまま化石化したものです。 木が持っていた組織の違いによって多くのバリエーションが存在しますが、こちらのようにマルチカラーによる複雑な景色を形成した石は希少です。 またこれらの石は、その表情が異星の景色のように見えることから、【Agate】アゲート等を含め、総称として『ピクチャーストーン』『シニックストーン』と呼ばれることもあります。
インディアンジュエリーの歴史においては、コーラルやスパイニーオイスター、ラピスラズリなどと共にターコイズに次いで用いられることの多い石であり、特に第二次世界大戦中にはターコイズを採掘する鉱夫の人出が不足したため、ターコイズに代わって多く用いられました。
こちらの作品にセットされたペトリファイドウッドもインディアン居留地に近い場所で産出したものと思われ、アリゾナ産らしいオレンジをベースに、イエローやサーモンピンク、強く深いブラックが入り、クウォーツ(水晶)が入ることで強い透明感も感じられます。完成度の高いシルバーワークと素晴らしい調和を見せる落ち着いた印象と、抽象画の様にも見える美しく豊かな表情を持ったペトリファイドウッドです。
※掲載画像では背景の色・明るさによって違った色味になっておりますが、実物の色は画像に比べ少しダークトーンで落ち着いた色調の石となっています。
ターコイズとは異なる独特な存在感と他に類を見ない新鮮な印象を生み出すペトリファイドウッドを用いた作品は、古くから使われる素材でありながらビンテージインディアンジュエリーの新しい側面とも感じられ、当店では注力してご紹介しています。
【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。
【Thunderbird】サンダーバード はインディアンジュエリーの伝統的なモチーフの一つで、伝説の怪鳥であり、雷や雲、ひいては雨とつながりが深く幸福を運んでくるラッキーシンボルでもあります。
ジュエリーでは、『限界の無い幸福』を表すシンボルであり、ネイティブアメリカンの守り神的存在です。
【Arrow】アローは、インディアンジュエリーにおける最古のモチーフの一つで、『お守り』の意味合いを持っています。
ナバホの伝統的なスタイルや製法で構成されたオーセンティックなシルバーワークの作品ですが、細部には作者の個性が光り、ペトリファイドウッドの持つシックで幻惑的な印象により独自性のあるバングルに仕上がっています。また、ターコイズとは違った表情ですが、ペトリファイドウッドも有機物(木)を起源としておりナチュラルでアーシーな雰囲気も持ち、独特な存在感は性別や季節を問わずモードなスタイルにもフィットするバングルです。
現在、日本において多く紹介されているインディアンジュエリーとは違ったフィーリングを与えてくれるアイテムです。
特にこちらの作品は、ビンテージインディアンジュエリーとしてシルバーワークや石の質等を含めて突出したクオリティーを持つとてもハイエンドな作品です。
◆着用サンプル画像(10枚)はこちら◆
コンディションも良好で、僅かなシルバークスミ等は見られますが、使用感は少なく石を含め良いコンディションを保っています。