【HOPI】ホピか【NAVAJO】ナバホの作品で、オーバーレイによってモチーフのエルク(鹿)が描かれたアンティーク/ビンテージリング。印台型の様なクラシックなシェイプをベースにしており、重厚で武骨なシルバーワークとビンテージインディアンジュエリー特有の表情や質感も魅力的な作品です。
1950年代前後の作品と思われ、具体的なモチーフがあしらわれたインディアンジュエリーにおけるオーバーレイ技術初期のピースのため、ホピによるものかナバホのシルバースミスが制作した作品か断言できませんが、おそらくホピのシルバースミスによって制作された作品です。
ある程度キャストで成形されたと推測されるシャンク/地金は、『シールリング』と呼ばれる印台型をベースに、フェイスのみオーバーレイによって構成されており、サイドには削る技術であるファイルワークやスタンプワークによって、彫りが深く立体的なシルバーワークが施されています。オーバーレイによって描き出されたエルクのデザインは、キャッチーで独特のリラックス感がありますが、重厚なシルバーワークやクラシックなリングのシェイプなどはチープな印象を持たず、アンティークインディアンジュエリー独特の雰囲気と存在感を生み出しているようです。さらに、現在制作されているホピジュエリーにおいて、抽象化/図案化されたオーバーレイの紋様スタイルが持つようなエッジーで硬い印象はなく、ポップでアーシーなリングに仕上がっています。
また、ツーリストジュエリーと呼ばれる1910年代~1950年代当時にアメリカ中西部の観光産業の隆盛に伴って、観光客向けに制作されたスーベニアアイテムに属すると思われますが、ナバホのオールドスタイルを踏襲したサンダーバードモチーフ等に比べると珍しい作品です。
【Overlay】オーバーレイと言う技法は、シルバーの板に描いたデザインを切り抜き、下地のシルバーの上に貼り付けることで立体的に絵柄を浮き出させる技法です。スタンプワークやカッティングと組み合わされた作品も見られ、完成度を高められたオーバーレイ技法を用いた美しいホピのジュエリーは、現代に至るまでに多くの傑作を残しています。
1930年代にホピの作家【Paul Saufkie】ポール・スフキー(1904-1998)によって生み出された技術で、40年代~50年代【Harry Sakyesva】ハリー・サキイェスヴァ(1922-1969)や同い年の作家【Allen Pooyouma】アレン・プーユウマ(1922-2014)、【Victor Coochwytewa】ヴィクター・クーチュワイテワ(1922-2011)等により、ホピの代表的なスタイルの一つとして定着させられました。
また、比較的希少なメンズサイズのピースで、オーセンティックなシールリングのシェイプはクラシックなイメージを持っていますが、描かれているポップなイメージのエルクは、男性向けのアクセサリーに重要な要素である『ギャップ』と『遊び心』を与えてくれるアイテムであり、さり気なくスタイルに奥行きをもたらすことが出来るリング。ビンテージ感のある渋い質感やシルバーのみで構成された素朴な表情もナチュラルで使いやすい作品です。
また、ハンドメイドによる独特のリラックス感を持ったリングであり、遊び心を感じるプエブロの動物等の自然モチーフの図案化は、日本人の価値観にも通じる美意識が感じられます。
◆着用サンプル画像(6枚)はこちら◆
コンディションも良好です。シルバーには多少のクスミや細かなキズなどが見られますが、ダメージは無く良い状態を保っています。