【Cochiti】コチティ族の大巨匠【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナ(1915-1991)の作品で、1960年代~1970年代頃に作られたと思われるJoe H. Quintana氏を代表するシルバービーズネックレスです。
それらの中でもこちらは、ブラックコーラル(黒珊瑚)ビーズと、ファイルワーク/エングレイビングによって模様が施されたイーグルビーズ(長い菱形のビーズ)のシルバービーズによって構成された作品で、Joe H. Quintana以外にはない上質で素晴らしいクオリティーを持つビーズと独創的なデザインが特徴的なピースです。
独特の表情を見せるブラックコーラル等、個性的な印象を持っていますが、ビンテージインディアンジュエリー独特のシルバーワークと、Joe H. Quintanaの素晴らしいセンスにより、モダンで使いやすい印象のネックレスに仕上げられています。 そのため、性別を問わずお使いいただけ、非常に多くのスタイルにフィットする印象の作品。
【Joe H. Quintana】(Jose Higineo Quintana)の功績はこちらで語りつくせるものではありませんが、多くの賞を獲得しただけでなく、革新的な造形を生み出し、技術的にも頂点に達したインディアンジュエリーにおける最高のシルバー・スミスの一人です。 現在、トップアーティストとして活躍する作家【Cippy CrazyHorse】シピー・クレイジーホースの師であり、父親としても有名です。
1915年、Cochiti Puebloに生まれ、1932年頃からシルバースミスのキャリアをスタートさせたようです。1930年代後半頃には、【Julius Gan's Southwestern Arts and Crafts】(ユリウス・ガンズ サウスウエスト アーツアンドクラフト)に所属し、シルバースミスの一人としてジュエリーの制作に従事しました。Southwestern Arts and Craftsには、【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース、【David Taliman】デビッド・タリマン、【Mark Chee】マーク・チーも在籍していた記録が残っており、優秀でクリエイティブな作家を生み育てるバックアップや技術の継承があったと推測されます。
第二次世界大戦中は造船の仕事に従事し、ブラック・スミス(金属(鉄)鍛冶)の技術を身に付け、戦後の1950年代頭頃にニューメキシコに戻り、ロスアラモスの【Turquoise Post】やアルバカーキに在った【Seligman's】、その他にもFrank Pataniaの経営する【Thunderbird Shop】やManny Goodmanの【Covered Wagon】等、多くのインディアンクラフトショップに所属していたと言われています。 その間、1960年代中頃までになんと22本ものアートショーにおけるアワード受賞リボンを獲得しました。
1960年代後半には、【Irma Bailey】の経営する【Irma's Indian Arts & Pawn】等のために作品を制作、70年代にIrma's Indian Arts & Pawnが閉店するとコチティ族の家に戻ってシルバースミスとして活動を継続しました。
長いキャリアの中で、特に影響を感じさせるのが【Frank Patania Sr】フランク・パタニアです。1927年にサンタフェに【Thunderbird Shop】をオープンし、自身もアーティストとして評価の高いイタリア人作家のFrank Patania Srは【Joe H. Quintana】だけでなく、【Julian Lovato】ジュリアン・ロバト(1925-)や、【Louis Lomay】ルイス・ロメイ(1914-1996)にも技術やその美意識を教授した人物として知られています。
彼らは共通して高い独自性とインディアンジュエリーの伝統的で素朴な強さを持ちながら、新しい価値観や実験的な造形を生み出し、品位を感じさせる作品を多く残しました。 それぞれに強い個性を持っていますが、どこか共通する美意識を感じるのも特徴です。
【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナ氏の作品はシンプルで洗練されたクリーンなデザインが特徴で、こちらの作品のような唯一無二のクオリティーを誇るシルバービーズや伝統的なスタンプワークを駆使し、非常にエレガントな作品を生み出すことを得意としています。
石の選別にも素晴らしい物があります。 またそのシルバーワークは多岐にわたり、銀食器や花器など様々な作品を残していますが、やはりジュエリーのクオリティーや美しさは特別なものです。
70年代頭に制作したコンチョベルトはDOORSの【Jim Morrison】が愛用したことでも有名になりました。
ほとんど作品が市場に出ない作家の一人であり、その技術やデザインは【Cippy CrazyHorse】シッピー・クレイジーホース氏に継承されていますが、Joe H. Quintana氏のオリジナルピースは、現在ではほとんど見つかりません。
また、こちらの作品はJoe H. Quintana氏が得意としたシルバービーズとブラックコーラルで構成され、比較的珍しいネックレスですが、さらに、放射状の模様が刻まれたイーグルビーズも他に類を見ないディテールであり、とても珍しいデザインです。
圧倒的な技術によって制作されたシルバー ビーズについては、現在も息子の【Cippy CrazyHorse】シピー・クレイジーホース氏が、同じ技術と造形、ツールも受け継ぎ、類似したビーズネックレスを制作していますが、こちらのようなコーラルビーズとの構成や模様が刻まれたイーグルビーズは近年では作られていないと思われます。
重量感や均一なクオリティーは、すでにCippy CrazyHorse氏が父親の作品を上回っています。 しかしながら、当店ではアンティーク/ビンテージのインディアンジュエリーをメインにしており、その制作上のムラやハンドメイド独特の個性を重視しています。
このネックレスについても、現在Cippy CrazyHorse氏が制作するネックレスに比べると、仕上げの磨き工程等の差により、少しだけですがマットで荒さのあるシルバーの質感になります。その表情は、やはりビンテージインディアンジュエリーの持つ魅力の一つであり、【Ernie Lister】 アーニー・リスター等の古い技法を守る作家の作品や、男性のラフなスタイルにもフィットする要素を作っていると思います。
もちろん、大変な手間の掛るハンドメイドビーズのクオリティーは両氏、共通して素晴らしい質と美しさを持っています。
また、こちらの作品は、もともとホールマークの付かないピースです。同様のデザイン・クオリティーの作品はJoe H. Quintana氏とCippy CrazyHorse氏の作品しか存在していませんし、これらの作品は【Irma Bailey】のコレクションから放出された作品です。そのため、間違いなくJoe H. Quintana氏が制作したものと思われますが、1970年代頃からすでにCippy CrazyHorse氏が仕事を手伝っていたようですので、実際にはCippy CrazyHorse氏が制作していた可能性も僅かに残ります。
シルバーとソリッドなブラックの表情や天然のシェイプが味わい深いコーラルにより、モダンで無駄のないデザインに仕上げられています。さらに、力強く施されたシルバービーズの模様によりビンテージインディアンジュエリーらしい表情と奥行きが感じられる作品になっており、多くのスタイルにフィットすると思われます。
Joe H. Quintana氏らしいエレガントさを持ち、代表作と言える作品の一つですが、市場に出ることは少なく大変貴重なピースです。
着用画像はこちら↓
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コンディションも良好です。 デッドストックで発見されたピースですが、長い保管期間のため僅かなシルバーのクスミ等が見られ、ブラックコーラルには天然素材特有の色ムラやビーズに加工する際にできたと思われるクラックが見られます。ご使用にあたって不安のあるダメージはありません。
また、こちらの作品はワイヤーを含め、全てオリジナルのパーツになります。ワイヤーのコンディションもチェックし、現在は劣化やダメージは見られませんが、ご使用に当たってはご注意と定期的なチェックが必要になります。
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