【Hopi】ホピ族の大巨匠【Lewis Lomay】ルイス・ロメイ(1913-1996)の作品で、1960年代後半~1970年代頃に作られたと思われる、エングレイビング/ファイルワークという削るだけの技法で仕上げられたクリーンで大変美しいビンテージシルバーリングです。
【Lewis Lomay】(Lewis Irvin Lomayesva)は、現代においても非常に高い評価を受ける作家の一人で、ホピの作家としては【Ralph Tawangyawma】ラルフ・タワンギャウマ(1894-1972)や【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)の様にナバホのオールドスタイルを踏襲し、独自性の強い作品を生み出したまぎれもない天才の一人です。
1913年(又は1914年)、アリゾナ州オライビというとても小さな村に生まれ、幼少期には絵画等を学びました。 1929年にはアルバカーキのインディアンスクールに入学、その3年後にはサンタフェインディアンスクールにて、ナバホの巨匠【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)の彫金クラスを取り、シルバーワークを学んだようです。 そのクラスでは、先生であるAmbrose Roanhorseのスタイルや現存するLewis Lomayの作品からトラディッショナルでプリミティブな技術を守る質実剛健なシルバーワークが教えられていたことが推測できます。
その後、1930年代前半頃にペインター/絵描きとして【Frank Patania Sr】フランク・パタニアの経営する【Thunderbird Shop】サンダーバードショップで働きました。 そのころは、1日1ドル程度の給与だったようですが、毎日の食事やアパートの家賃はFrank Pataniaが負担していたようです。
1年後には、Lewis Lomayのシルバーワークの才能にFrank Pataniaが気付き、ペインターとしてではなく、シルバースミスとしての仕事や道具が与えられました。
そして、Frank Pataniaによりそのモダンなスタイルや新しい技術を享受されたようです。 当時、【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナ(1915-1991)や【Julian Lovato】ジュリアン・ロバト(1925-)等と共に制作していたと言われています。
彼らは共通して高い独自性とインディアンジュエリーの伝統的で素朴な強さを持ちながら、新しい価値観や実験的な造形を生み出し、品位を感じさせる作品を多く残しました。 それぞれに強い個性を持っていますが、どこか共通する美意識を感じるのも特徴です。
戦中の1942年には、Thunderbird Shopを辞め、飛行機工場で働きました。戦後は、サンタフェに戻り1946年に【Hopi Indian Jewelry Shop】をオープンしますが、当時はインディアンジュエリーの需要が落ち込んでいたため閉店を余儀なくされました。 その後は、ハウスペインター等の仕事をしながらシルバージュエリーの制作を並行して進めていたようです。
1947年には、アートショーにも積極的に出展し多くのアワード受賞リボンと共にシルバースミスとしての名声を獲得しました。その当時はサンタフェの【Rainbow Man】レインボーマンに作品を供給していたようです。
長いキャリアにおける作品の多くは、伝統的で力強く原始的なシルバーワークをベースに、独特の曲線的で流麗な造形を持ったピースが多く見られます。しかしながら、ホピジュエリー独特のモチーフを落とし込んだオーバーレイの作品やポップな印象のあるボロタイやピン、Frank Pataniaの影響を強く感じさせる植物をモチーフにした作品等、多岐にわたる美しいシルバーワークを残しています。
こちらの作品も流麗で360度どこから見ても完成された造形美を持ったリングです。 現在ではあまり多くみられることのないファイルワーク/エングレイビングという地金を削るだけで造形する技法のみで構成されています。 また、地金はインゴット(銀塊)からハンマーによって成形された重厚なシャンクで、この辺りはAmbrose Roanhorseによる教えが忠実に守られている用です。
とても重厚なシルバーワークですが、優れた造形技術により深く削り込まれたデザインは、軽やかな印象も持っています。 シンプルでクリーンなデザインは普遍的な造形美がありますので、長年にわたってご愛用いただけると思います。
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コンディションも良好です。少しシルバーのクスミ等が見られますが、使用感もなく良い状態を保っています。
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