【NAVAJO】ナバホの偉大な作家【Jack Adakai】ジャック・アダカイの作品で、大変重厚なトライアングル ワイヤー(竜骨型)をベースに素朴なスタンプワークで構成されたピース。とてもクラシックでオーセンティックな技術・技法によって造形されていますが、細部には作者の高い技術力も感じさせる貴重なアンティーク/ビンテージバングルです。
1950年代後半~1970年代初頭頃までに作られたピースで、ホールマークなどのディテールからJack Adakaiのキャリアの中では中期以前の作品と推測されます。大変重厚なトライアングルワイヤーをバンドに構成した作品で、上下対称に秀逸なクオリティのスタンプワークが刻まれています。伝統的な技術で構成されたトラディショナルなバングルですが、間近で見ると細部までこだわりを感じる細かい細工が施された美しいスタンプツール/鏨のクオリティと、それらの構成によって不思議にジャック・アダカイの作品であることを感じさせまます。また、内側にはホールマーク『J.A.』の刻印が見られます。
【Jack Adakai】ジャック・アダカイは、ナバホのシルバースミスの中でも高い技術を持つ名工として有名で、伝統的なスタイルからモダンで独創的な作品まで幅広く素晴らしい作品を残しています。
書籍などでは1953年生まれと紹介されていることがありますが、同名の別人と間違われているようです。実際は息子である現代作家【Ray Adakai】レイ・アダカイ氏が1965年生まれであることから、1930年代~40年代生まれと推測されます。また、白人作家【John Hornbeck】ジョン・ホーンベックの義父でもあり、甥には【McKee Platero】マッキー・プラテロがいます。
1950年代には【NAVAJO GUILD】ナバホギルドのメンバーとして後進の育成やインディアンジュエリーの普及にも尽力し、やはり残されている作品群は、ナバホのトラディショナルな技術やスタイルを守りながら独自性を追求したピースが多く見られ、ナバホギルドから受け継いだ考え方や志が感じ取れます。また、それらの価値観や技術は、Ray Adakaiと現代ナバホのトップアーティストである【McKee Platero】マッキー・プラテロ氏に受け継がれているようです。
【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG)※以下ナバホギルドは【The United Indian Trader’s Association】(UITA)等と共にインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等のために現地トレーディングポストや作家たちの手によって組織されました。
中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、大巨匠であるナバホのシルバースミス【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が代表を務め、後進の育成や伝統的な技術の伝承、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。
ナバホギルドによる作品のスタイルは特徴的で、Ambrose Roanhorseの意図が強く働いた影響のためか、インゴットから作られたベース(地金)に、クリーンで構築的なスタンプワークをメインとしたデザインと、昔ながらのキャストワークによるピースが多く、どちらも回顧主義的なオールドスタイルでありながら、洗練された美しい作品が多く制作されました。
また、もう一つのナバホギルドが持つ特徴はその構成メンバーです。当時から有名で最高の技術を究めた作家が名を連ねています。 【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ、【Mark Chee】マーク・チー、【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン、【Allan Kee】アレン・キー、【Ivan Kee】アイバン・キー、こちらの作者である【Jack Adakai】ジャック・アダカイ、【Billy Goodluck】ビリー・グッドラック等、さらに、ホピ族の【Louis Lomay】ルイス・ロメイもナバホギルドのメンバーだったようです。
こちらの作品は、幅広いバリエーションを持つナバホの巨匠【Jack Adakai】ジャック・アダカイの作品の中でも、ナバホのクラシックな技術・デザインを重視したオーセンティックでシンプルなピース。重厚なシルバーをベースにシンプルでビンテージインディアンジュエリー特有の武骨な印象を持ったバングルであり、普遍的な造形美やエッジ―でミニマルなデザインにより、あらゆるスタイルによく馴染み長年にわたってご愛用いただけるピースです。
素朴な雰囲気と、どこかアートピースのような強さを持つハイエンドな作品です。歴史的な資料価値も高く普遍的な造形美は長くご愛用いただけるバングルです。
また、伝統的なスタイルを守りながらも作者を認識させるアイデンティティーを持った作品であり、Jack Adakaiのアーティストとしての胆力を感じさせます。
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コンディションも良好です。多少の使用感とシルバーの細かなキズ等が見られますが、特にダメージはありません。