【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれる、20世紀前半のサウスウエスト観光産業の隆盛に合わせて作られたピースの一つ。ナローなバンドをベースに細かなシルバードロップと綺麗なターコイズが交互に羅列されたどこかモダンな印象のアンティーク/ビンテージバングルです。

1930年代～1940年代製と思われ、細いバンドをベースにして小さなドロップ(ドット)が羅列され、その間にはドットと同じサイズにカットされた美しいターコイズが配されています。そして、サイド～ターミナルにもシルバードロップが施され、スネーク/ガラガラ蛇等ツーリストらしいモチーフのスタンプワークを刻むことで仕上げられています。こちらの様な小さなラウンドカットターコイズを用いたディテールは、そのターコイズが蛇の目に似ている為『スネークアイ』とも呼ばれています。細く作られたバングルですが、エッジにはシルバーワイヤーが施されており、それによってある程度厚みも感じさせられます。制作工程の一部には機械が用いられているため、マシン&ハンドメイドのハイブリッドなピースですが、現在では希少な物となっています。独創性のあるデザイン/造形はとても洗練された印象を作っており、長い年月を経た今見ても新鮮なピースです。

またこちらのようなアイテムは、ニューメキシコ州アルバカーキにて1923年創業の【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズインディアントレーディングポストが、カンザスシティーで運営した【SILVER PRODUCTS Co.】シルバープロダクツ社で製造されており、こちらのバングルも同工房で作られたピースと思われますが、こちらにはショップマークやホールマークは入らず詳細は不明となっています。


『SILVER PRODUCTS MFG. 社』は、【IH = Indian Handcraft】【SILVER PRODUCTS】【Silver Arrow】の3つのホールマーク(名前)で、オーセンティックなピースから、こちらのような独創的でオリジナリティーのあるジュエリーまでバラエティー豊かな創作が特徴です。 1940年代中頃には前述の【Silver Arrow】ブランドに統一され、それに伴って地金のシルバーはコインシルバー900からスターリングシルバー925に統一されたようです。


ビンテージインディアンジュエリーらしいエスニシティーな表情に、スタッズのようなドットの羅列がエッジーで洗練された造形美を与えています。また、シンプルなデザイン/造形と細い幅に仕上げられた控えめなボリューム感は重ね着けにも向いており、汎用性の高いピース。多くのスタイルにフィットし使いやすいバングルです。

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コンディションは、多少のクスミなど僅かな使用感と制作上のムラ等が見られますが、目立ったダメージのない良好な状態です。