【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、高度なハンマーワークによりフラットに成形された重厚なツイステッドワイヤーが2連に構成されたバンドに、大変美しいスパイダーウェブキングマンターコイズがセットされたアンティーク/ビンテージバングルです。
石については元々セットされていたターコイズにクラックが見られたため、当店で新しい石に交換しております。

1930年代末～1950年代頃に制作された作品と思われ、おそらくインゴットシルバー(銀塊)から成形されたシルバーワイヤーが使用された希少なピース。それらのシルバーワイヤー2本を撚り合わせることで作り出した『ツイステッドワイヤー』をハンマーで叩くことでフラットなスクエアのシェイプに成形し、それらを上下2連にバンドとして造形した作品です。さらに、シンプルなアイシェイプのスタンプワークが連続して施されており、武骨な質感にさらなる奥行きが与えられています。またそのスタンプ(鏨)ツールは美しく細かなライン模様を含んでおり、それをライン模様の方向に合わせて連続して刻み込むことでシルバーの内側にライン模様を内包したような奥行きと立体感が生み出されています。現代でも【McKee Platero】マッキー・プラテロ氏等がこちらのようなスタンプの技術を受け継いでいますが、腕の良い作者に共通したディテールだと思います。

こちらのようなハンマーワークと組み合わされたツイステッドワイヤーの造形は、それだけでも高い熟練度が必要で、ハンドメイドのインディアンジュエリー独特の味わいと技術力を感じることのできる造形スタイルです。均一なクオリティーに仕上げるのが難しく、ほとんど見られなくなった技術の一つであり、現代では【Tahe】タヒファミリーやコチティのベテラン作家の【Cippy CrazyHorse】シピー・クレイジーホース、ナバホの【Perry Shorty】ペリー・ショーティー等、限られた作家しか用いることのない技術になってしまいました。

またこのような造形スタイルは、ナバホの偉大なシルバースミス【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が代表を務め、1941年に発足した【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)ナバホギルドにおいて制作されていたとされていますが、1930年代の作品にも見つかるスタイルであり、その正確な背景は不明となっています。


セットされたターコイズは、当店で新しく交換したターコイズで、書籍『Fred Harvey Jewelry』の著者であるDennis June氏が長期保管していた【Kingman Turquoise】キングマンターコイズです。タイトなブラックウェブの入るジェムクオリティーターコイズで、美しい水色にブラック・ネイビーのスパイダーウェブが入り、硬度を感じさせる艶のある石です。 それほど大きい石ではありませんが高さもあり、大変キングマンらしい無添加ナチュラルターコイズがセットされています。


高い技術を持った作者による物と推測できる手の込んだシルバーワークで構成されたピース。伝統的でプリミティブな製法とビンテージインディアンジュエリーらしい表情は素朴で武骨な雰囲気ですが、美しいターコイズによってジュエリーとしての存在感を生み出しており、ラフでありながらエレガント、粗暴でいて繊細な二面性を秘めています。

また、そのような二面性と共に馴染の良いボリューム感やハンドメイドの奥行きは、性別を問わず多くのスタイルに馴染みやすく、長年にわたってご愛用いただけるバングルだと思われます。

また、こちらのようなツイステッドワイヤーで構成された作品は、造形の彫が深いため、日常的な着用により凹凸のコントラストが強くなり、その奥行きと完成度を高めていきます。

◆着用サンプル画像(10枚)はこちら◆


コンディションは、シルバーのクスミやハンドメイドによる造形ですので、多少の捻りや制作上のムラが見られますが、目立ったダメージはなく良好です。
ターコイズは当店で交換しており、ルースとして保管されていた新しい石をセットしています。