【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリーで、秀逸なハンマーワークで成形されたバーストデザインのエッジーな造形が印象的な作品。武骨で力強いシルバーワークで構成されていますが、美しいジェムクオリティーターコイズなどにより独特な上質感のあるアンティーク/ビンテージピンブローチです。

1920年代後半～1940年代に作られた作品と思われ、バングルなどで多くみられるシェルコンチョデザインなどのリポウズ/バンプアウトの様にオスとメスの鏨(タガネ)や金型を用いて形作られた作品ではなく、一つ一つの谷折りと山折りを鏨を用いたハンマーワークのみで成形していると思われます。バースト(放射状)のデザインはナバホの伝統的なスタイルの一つですが、こちらの様なサイズで立体的なバーストの造形をハンマーワークだけで作り上げた作品は他に類を見ないと思いますし、こちらの作者にはかなりの熟練度と高い創造性が備わっていたことがわかります。
さらにセンターには美しいターコイズがセットされ、素朴でプリミティブなスタイルのピースながら、根源的な美しさや力強さを持つ作品に仕上がっています。スタンプワークも効果的に刻まれており、上下左右のスタンプは【蜂/Bee】がモチーフになったデザインで、同年代の作品では極希に見かけるディテールとなっています。

現代においても、こちらと同様のバーストデザインを用いた作品は【Ernie Lister】アーニー・リスターや【Pat Bedonie】パット(パトリシア)・ベドニー、さらに【McKee Platero】マッキー・プラテロなどが制作しており、インディアンジュエリー創成期からみられるスタイルの一つですが、ビンテージ作品で現存するものは少なく、貴重なピースになります。

センターにセットされたスクエアカットのターコイズは、古い作品でありながら高い硬度を感じさせるハイクオリティーな石で、明確な鉱山は不明ながらジェムクオリティーと言えるターコイズです。
とても澄んだ発色の強い水色に、ネイビーやブラウンのマトリックスが入り、小さな石ながら現在も艶を保ち、古い作品でありながら宝石としての煌きを失っていません。
ビンテージジュエリーにおいてこちらのような美しいターコイズが用いられていることは非常に稀で、こちらの様なクオリティーのターコイズは石だけでもコレクタブルです。

またこちらの作品も【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルとも呼ばれる、当時アメリカ中西部の観光客向けに作られたピースに属するものと推測されますが、全てハンドメイドで仕上げられており非常にクオリティーの高いスタンプ(鏨)やしっかりと厚みのあるおそらくインゴットシルバー(銀塊)から成形された地金など、スーベニアアイテム特有のチープな印象はなく、素朴でシンプルなピースながら上質感のあるピンブローチです。


シンプルでクリーンな表情と立体的な程よいボリューム感、さらに使いやすいサイズによって多くのアイテムにナチュラルに馴染むと思われます。武骨な印象もありますがジャケットやラペル、ハット・キャップのワンポイントなど、色々なスタイリングで違和感なくフィットすると思われ、効果的なアクセントになってくれます。

エスニシティで素朴な魅力を宿し、アンティーク独特の重厚感や迫力も感じさせるピースですが、上質なターコイズの存在感やクラシックなバーストシェイプと奥行きのある重厚な造り、それにクリーンなシルバーの表情はエレガントでエッジーな印象も生み出しています。

また、ナバホジュエリーを代表するでディテールデザインを用いた作品でありながら、唯一無二の独創性を持っており、突出した造形センスを感じさせる作品です。その為、類似したデザイン/造形のピースを発見するのが非常に困難なとてもコレクタブルなアンティークピンブローチです。

◆着用サンプル画像(6枚)はこちら◆


コンディションも良い個体で、シルバーには多少のクスミが見られますが、使用感なく大変良好なコンディションです。ハンドメイドによる造形ですので、少し制作上のムラは見られます。