【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、センターに大きくアローが構成されることで生み出された左右非対称なデザインが特徴的で、ツーリストジュエリーながら殆どの工程がハンドメイドで制作されたアンティーク/ビンテージバングルです。
また本作は、故Dennis June氏の著書『Fred Harvey Jewelry』の153ページで紹介されているピースそのもの(ON BOOK)です。※画像もご参照下さい。
当店ではDennis June氏との長きにわたるリレーションシップを持ち、大変懇意にして頂きました。
多くの事を学ぶ機会を頂き、今後も沢山のご協力を仰ぎたいと考えておりましたが、大変残念ながら2020年に永眠されております。
その後、同氏が1965年から経営したギャラリーを受け継いだご家族より、前述の著書に掲載されている作品の一部を譲り受けました。こちらもそれらの中の一つとなっております。
1930年代~1940年代前後に作られた作品で、【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれる、20世紀前半のサウスウエスト観光産業の隆盛に合わせて作られた作品の一つと思われますが、そんなスーベニアアイテムの中でも殆どの工程がハンドメイドで仕上げられた作品です。
コインシルバーから成形されたバンドは、中央からターミナル(両端)にかけて僅かに細くなるオーセンティックなシェイプとなっています。
その中央に大きくアローのアップリケが配される事で立体的なアクセントとなり、ビンテージピース特有の奥行きや質感をもたらしています。
またそのアローの細部はスタンプワークによって描き出され、バンドのサイドからターミナル部分にも具体的なモチーフではなく抽象的な文様を刻むスタンプワークが力強く刻まれています。そのプリミティブなスタンプツール(鏨・刻印)も初期のツーリストジュエリーらしくも重厚な表情を生み出しているようです。
さらに、アローのアップリケ中央に小さなラウンドカットのターコイズがマウントされています。そのターコイズを留めるベゼル(覆輪)には『ベゼルカップ』と呼ばれる既製のパーツが用いられており、殆どの工程がハンドメイドとなっていますが、一部の工程に機械による量産パーツが採用されたハンドメイド&マシンのハイブリッドなピースとなっています。
コインシルバーの渋い質感や力強いスタンプワーク等、武骨で野性味のあるシルバーワークによってツーリストジュエリーながら、奥行きのある味わい深い表情を作り出しているようです。
【Arrow/Arrowhead】アロー/アローヘッドは、『お守り』の意味合いを持ちインディアンジュエリー創成期からみられる最古のモチーフの一つです。
内側に『COIN SILVER』という刻印が刻まれており、過去に発見されている有名工房/トレーディングポストの使用した刻印のタイプとは異なる為、制作元や販売したトレーディングポストを特定することは出来ませんが、それが逆に本作のスペシャリティ・希少性ともなっています。
【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。 また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。
同様に【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、こちらは世界中で共通の基準となっています。
また『割金』と呼ばれる残りシルバー以外の7.5%には、銅やアルミニウム等が含まれています。(現在では、スターリングシルバーの割金は7.5%全てが銅と決められています) 925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバーコインを溶かすことで、材料を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。
シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異は純度2.5%の違いしかない為、見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。
さらに古い1800年代後半頃の作品では、メキシカンコインが多く含まれていたためか、そのシルバーの純度は95.0%に近くなっているようですが、身近な銀製品を混ぜて溶かしていた歴史を考えると純度に対してそれほど強い拘りはなかったことが推測されます。
本作も少し暗く渋いシルバーの質感が特徴的で、小さなターコイズがとても良いアクセントとなっています。
さらにバランスの良いデザイン構成とワイルドなスタンプワークにより深淵な奥行きを感じさせ、とても落ち着いた雰囲気のブレスレットとなっています。
また、そのような素朴なデザイン/造形とビンテージピースらしい質感は、ビンテージスタイルと素晴らしい相性ですが、性別を問わず多くのコーディネイトに馴染みやすく、高い汎用性も有するブレスレットです。
ツーリストジュエリー特有のキャッチーな印象と共に、アンティーク独特の表情を持ち、ナバホジュエリーの歴史を体感できるハンドクラフト/工芸品です。
前オーナーであるDennis June氏の研究対象であった来歴も含め、大変コレクタブルでトレジャーハントプライスな作品の一つとなっています。
◆着用サンプル画像はこちら◆
コンディションも良好です。
シルバーのクスミや、ハンドメイド特有の制作時のムラなどは確認できますが、目立ったダメージの無い良好な状態を保っています。