【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、インゴットシルバー(銀塊)から成形されたベースのセンターに、3つのシェルモチーフのリポウズが施されたアップリケ/パッチワークが配されたアンティーク/ビンテージバングルです。

1930年代頃の作品と思われ、とても美しいスタンプ(鏨)のクオリティーやインゴットから成形された地金の質感、それにエッジに細かくファイルワークと呼ばれるヤスリによる刻みが施されたディテール等、それほど重厚なピースではありませんが、大変ハイエンドな作品です。
フロント部分には、3か所にリポウズという鏨(鉄製の金型ツール)の凸と凹を用いてシルバーを叩きだす細工によって、シェルモチーフが立体的に施されています。それらを囲むように細かなスタンプワークが見られ、サイド～ターミナルにかけてもクオリティーの高いスタンプがセンス良く紋様を刻んでいます。その上下のエッジにはファイルワークによる刻みが作られており、それによってバングルに奥行きをもたらし、作者の細かなこだわりが感じられます。
また、インゴット(銀塊)から成形されたシルバーの肌は硬くなめらかで、吸い付くような質感を実現しており、ただ磨くだけでは得られない硬くスムースな印象に仕上げられています。　

また、こちらの作品は元々アリゾナ州フラッグスタッフで活動する作家【Jonathan Day】ジョナサン・デイが、サンプルとして所蔵していたビンテージピースです。
シンプルながら秀逸なデザインと高度な技術を感じさせ、現代では【Edison Sandy Smith】エディソン・サンディ・スミス等の古典インディアンジュエリーの伝統をしっかりと受け継ぐ作家がこちらの様な作品を制作しています。こちらの作品はそれらの源流であり、史料価値も高いピースです。


【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。
また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。


大変古い作品ですが、非常に美しいスタンプはアンティークらしい手が込んだ高いクオリティーを持ち、それほどボリュームのあるバングルではありませんが、特筆すべきディテールが詰まったピースです。

クラシックな雰囲気とミニマムで無駄の無いクリーンな印象を併せ持つハイエンドな作品。 ラフなスタイルだけでなく多くのスタイルにフィットし、普遍的な造形美は、性別を問わず長くご愛用いただける作品だと思われます。

着用画像はこちら↓
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コンディションは、多少のキズや摩耗は見られますが、目立ったダメージは無く良好なコンディションです。
拡大画像で確認できる通り小さな亀裂がありますが、これはおそらくインゴットシルバー(銀塊)からの成形時にできた元々のもので、破損に繋がるダメージではありません。