【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルや【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーと呼ばれる、20世紀前半頃に観光客向けに生産されたピースで、それらのツーリストアイテム製造を代表する工房の一つであり、【NAVAJO】ナバホ/【PUEBLO】プエブロの職人が多く所属した、【BELL TRADING POST】ベルトレーディングポスト社製のアイテム。
大変美しいスクエアカット【Petrified Wood】ペトリファイドウッド(木の化石)がセットされた小さいサイズのアンティーク/ビンテージリングです。
BELL社のピースはある程度量産化されたものが多く、同じデザインが複数見つかりますが、こちらの様にペトリファイドウッドがセットされた個体はとても珍しいです。
1940年代末頃~1960年代に制作されたピースと思われ、キャストによって成形されたシャンク/地金は、シールリング/印台型とシガーバンドリングの中間的なクラシックな造形/デザインとなっています。
また、そのサイド部分にはライトニングアローが立体的にデザインされ、ナバホジュエリーらしい印象とツーリストジュエリーらしくキャッチーなイメージが与えられています。
フェイスは、とても質の高いペトリファイドウッドによって構成されています。その石を留めるベゼル(覆輪)には『ベゼルカップ』と呼ばれる既製のパーツが用いられ、シルバーワークにも機械による工程が含まれており、マシン&ハンドメイドのハイブリッドなピースです。
また前述の通り、ツーリストジュエリーとしてある程度量産されたはずですが、現在では現存数が非常に少なく、類似した個体を探すのは大変困難となっています。
内側にはBELL TRADING POSTのショップマーク/ホールマークと、スターリングシルバー(925シルバー)製であることを表す『STERLING』の刻印が施されています。
そのショップホールマークは、ベル/鐘のシンボルが看板に描かれているカンパニーロゴで、これはベル/鐘だけをモチーフにしたロゴよりも新しく採用されたものです。ただしその採用時期には、1940年代末頃や1950年代後半、1961年頃など諸説あり明確にはなっていません。
1972年に買収されて以降は、また新しいロゴのホールマークへと変更されています。
【BELL TRADING POST】ベルトレーディングポストは、ニューメキシコ州アルバカーキーで【Jack T Michelson】ジャック・ミケルソンとその妻により1932年頃に設立されました。また『BELL』の名前は妻である【Jack Mildred】ジャック・ミドルトンの旧姓から名づけられました。
ツーリストジュエリーをメインに非常に多くのアイテムを供給し、【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズ インディアントレーディングポストと並ぶ有名メーカーとして知られていますが、創業からしばらくは、【Ganscraft/Julius Gans Southwestern Arts and Crafts】ガンズクラフト社と同じ姿勢を持ち、小規模で完全なハンドメイドによってジュエリーの制作を行っていました。
しかし、代表であるJack T Michelsonは機械化することを望み、1940年にニューヨークポストに広告を掲載、そこで求めに応じた人物がツーリストアイテムの歴史上、大変重要な人物である【M.J."Jerry"Chakerian】M.J.ジェリー・チャケリアンでした。チャケリアンはニューヨーク出身の敏腕ビジネスパーソンであり、ツーリストジュエリーの生産・流通に大きな影響を与えた人物です
。そして、彼のコンサルティングにより、すでに機械化に成功していた【Maisel's】マイセルズの生産工程/ビジネスモデルをベースにした機械化とその飛躍に成功しました。
しかしながら、チャケリアンは1956年までBELL社で働いたあと、その後はデンバーの【Harry Heye Tammen】H.H.タンメン社に短期間所属し、そこでは機械生産を止めさせて、伝統的なナバホジュエリー制作への回帰という、BELL社での施策とはまったく逆のことをしており「伝統的な方法で作られたジュエリーはマシーンメイドのジュエリーとの競争に苦しむべきではない」との自論を持っていたそうです。当時のタンメン社は業績が酷く悪化していましたが機械化等を行わず、新たにナバホのシルバースミスを雇い入れました。
さらに、一部の機械工程にもナバホの職人を雇うことで、「インディアンメイド」の標記を守らせたようです。
チャケリアンの手腕により機械化・量産化に成功したBELL社では、ホールマークが入らないOEM生産も多く行っていたようで、フレッド・ハービーのお店等、サウスウエスト観光各地で取り扱われていました。
また、ナバホスタイルのデザインを多く生産していますが、ズニやプエブロのインディアン達も多く所属し、同じように制作していたようです。
残念ながら1972年には買収され、現存していないカンパニーですが現在でも知名度が高く、ベルトレーディングポストのインディアンジュエリーはアメリカ国内でも大変人気があります。
【Petrified Wood】ペトリファイドウッドは、日本語では『珪化木』と言う<木>が化石化したものです。これらの化石はインディアン居留地であるアリゾナ北部~ニューメキシコ西部の砂漠地帯から多く産出され、古くからジュエリーに用いられています。
おおよそ2億5000万年前の木々が地中に埋もれ、地下水のケイ素成分が浸透し樹木の組織が残ったまま化石化したものです。
木が持っていた組織の違いによって多くのバリエーションが存在しますが、中でもマルチカラーで構成されたものはレインボーカラーと呼ばれ、質の高い石とされています。
またこれらの石は、その表情が異星の景色のように見えることから、【Agate】アゲート等を含め、総称として『ピクチャーストーン』『シニックストーン』と呼ばれることもあります。
インディアンジュエリーの歴史においては、コーラルやスパイニーオイスター、ラピスラズリなどと共にターコイズに次いで用いられることの多い石であり、特に第二次世界大戦中にはターコイズを採掘する鉱夫の人出が不足したため、ターコイズに代わって多く用いられました。
こちらのリングにセットされたペトリファイドウッドもインディアン居留地に近い場所で産出したものと思われ、アリゾナ産らしいオレンジ×イエローオーカーをベースに、強く深いブラックが入り、一部には木であった名残りと感じられる表情が見られます。
また、その様な色彩が複雑に入り混じった石が作り出す情景は、まるで夕焼けを背景にしたジョシュアツリーを見るようにも感じられます。
丁寧で完成度の高いシルバーワークと素晴らしい調和を見せる落ち着いた印象と、抽象画の様にも見える美しく豊かな表情を持ったペトリファイドウッドです。
※掲載画像では背景の色・明るさによって違った色味になっておりますが、実物の色は画像に比べ少し落ち着いた色調の石となっています。
ターコイズとは異なる独特な存在感と他に類を見ない新鮮な印象を生み出すペトリファイドウッドを用いた作品は、古くから使われる素材でありながら現代の作品では殆ど見られなくなっており、ビンテージインディアンジュエリーの新しい側面とも感じられ、当店では注力してご紹介しています。
こちらのリングは、そんな美しいペトリファイドウッドと両サイドのライトニングアローをメインとしたシンプルでクリーンな表情となっており、小さいサイズながら男性のピンキーリングにも向いた印象を持ったピースです。
とてもシックで神秘的な美しさを持つペトリファイドウッドとビンテージインディアンジュエリーらしいシルバーワークによって存在感のあるピースに仕上げられていますが、有機物を起源とするナチュラルな石の表情やシンプルで素朴な質感は、季節やスタイルを問わず馴染みの良いリングです。
インディアンジュエリーの魅力を感じさせるクラシックな造形/デザインながら、日本において多く紹介されているインディアンジュエリーとは違ったフィーリングを与えてくれるアイテムであり、BELL社製としてはとても貴重なリング。トレジャーハントプライスなピースの一つとなっています。
◆着用サンプル画像はこちら◆
コンディションは、シルバーの僅かなクスミやキズ等は見られますが目立ったダメージはなく良好な状態です。
ペトリファイドウッドも多少のキズは見られますが、クラック等の無い良いコンディションを保っています。