【PUEBLO】プエブロ・【NAVAJO】ナバホの多くの作家が在籍したインディアンクラフトショップ【GARDEN OF THE GODS TRADING POST】ガーデンオブザゴッズトレーディングポストで作られた貴重な作品。中でも非常に例外的な素材とデザイン・造形を持つアンティーク/ビンテージリングです。
Pre-Columbian/先コロンブス期と呼ばれる南北アメリカ大陸において、ヨーロッパからの入植を受けて強い影響下となる以前の文明や文化において作られていた装飾品をモチーフとした、ネイティブアメリカンジュエリーでは他に類を見ないピースとなっています。
また本作は、同店/工房を創業した【Charles E. Strausenback】チャールズ・E・ストローセンバックの親族が保管していた同氏のコレクション(遺品)の一つであり、その来歴も含め貴重な作品。
ホールマーク(作者やショップのサイン)がなければネイティブアメリカンメイドである事も判断の難しい個体であり、同トレーディングポストで作られた作品の中でも突出したスペシャリティを誇るピースです。唯一無二のオリジナル作品であり高い史料価値を誇る作品の一つとなっています。
内側に刻印されている『HAND MADE BY INDIANS』と『STERLING』の表記により1930年代末頃~1940年代に同トレーディングポストで作られた作品と判断可能なピースです。
しかしながら、その素材については、表記のSTERLINGの表すスターリングシルバー製であるか不明となっています。
一見した色味や質感としてはブラス/真鍮製のように見えますが、エッジ部分等をよく観察すると、シルバーをベースとしてゴールドやブラス、又は塗料が表面を覆っている様にも見えます。
独特なシェイプもネイティブアメリカンジュエリーでは見られない造形スタイルとなっており、独特なワイドフェイスが形作られています。
その中央にはタガネ/鏨(鉄製の金型ツール)の凸と凹を用いてシルバーを叩きだすことで立体的な凹凸を作る『リポウズ/バンプアウト』によってティアドロップ型のアップリケが配され、それを中心に左右対称の装飾が施されています。
流麗で細かなワイヤーワークと小さなボールを駆使した造形により、立体感と陰影が生み出されており、やはりネイティブアメリカンジュエリーとは異なったイメージと雰囲気を帯びた作品となっています。
それらの装飾・デザイン様式は、中南米の古代文明において作られていた作品が想起され、原始的な彫金技術のみを用いて作り上げられた独特な表情と、詳細不明な素地による経年変化にも強い特殊性が感じられます。
稀にGARDEN OF THE GODSに所属した作者が遺した作品において、例外的なオリジナリティと質を持った個体が残されており、本作も作者個人は特定できませんが、おそらく強いオリジナリティを求めた作家が制作した貴重な作品であり、他に類を見ないミュージアムクオリティを有するピースとなっています。
【GARDEN OF THE GODS TRADING POST】ガーデンオブザゴッズトレーディングポストは、もともとFred Harvey Companyで働いていた【Charles E. Strausenback】チャールズ・E・ストローセンバックが、1920年にコロラド州Pike's Peakの国立公園『ガーデンオブザゴッズ』で始めた観光客向けのインディアンアートショップです。
多くの優秀なプエブロインディアン作家を擁し、ナバホのオールドスタイルをベースにしながらも、プエブロスタイルを積極的に取り入れたミックススタイルが特徴的な工房です。
所属していたのは、インディアンジュエリー創成期の最もクリエイティブな作家の一人として知られるサン・イルデフォンソの【Awa Tsireh】アワ・シーディー(1898-1955)をはじめ、ナバホの【David Taliman】デビッド・タリマン(1902or1901-1967)、他にも【Epifanio Tafoya】【William Goodluck】【John Etsitty】等、プエブロ・ナバホの中でも、後に偉大なアーティストとして知られる多くの作家達であり、それぞれが独創的なスタイルを生み出し、沢山の傑作を送り出したインディアンアートショップです。
GARDEN OF THE GODSも1900年代以降のサウスウエスト観光産業の隆盛により創業された「スーベニア(記念品)ビジネス」と言う意味では、【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれるジャンルにカテゴライズされている【BELL TRADING POST】や【Maisel's Indian Trading Post】、【Arrow Novelty】等の分業化や機械化を進めインディアンクラフトの量産化を図ったメーカー/Manufacturersと同じスタートを切っていますが、インディアンアートショップとして古い伝統技術や製法を守り、独自性を持ちながら工芸品/アートピースとしての制作が行われており、上記の様なフレッド・ハービースタイルのマスプロダクト製品とは一線を画す存在です。
しかしながら、当時とても新しいかったポップなスタイルを持つAwa Tsirehの作品が、【BELL TRADING POST】をはじめとする量産メーカーに模倣されたことや、【Fred Peshlakai】の作品、【C. G. Wallace】で作られたデザイン/造形が上記のようなメーカーのデザインソースとなったことによりGARDEN OF THE GODS TRADING POSTやFred Wilson's Indian Trading Post、Southwestern Arts and Crafts等の分業や量産化を図っていない工房の作品も量産メーカーによるフレッド・ハービースタイルと混同されることになってしまいました。
1940年代には、コロラド州ガーデンオブゴッドとコロラドスプリングス、そしてアリゾナ州フェニックスにも店舗を展開しますが、1956年頃にCharles E. Strausenbackが亡くなっており、その後は妻がビジネスを引き継いでいたようですが、1979年にはビジネス自体が買収されました。そのため、ジュエリー等の制作は1950年代頃までだったと思われます。
また、同店はコロラド州にある神々の庭/Garden of the Godsにて、現在もヒストリックなトレーディングポストとして当時の姿を残して土産物店・カフェとして運営されています。
本作も同トレーディングポストで作られた作品においてのみ、極稀に発見される全く例外的な造形スタイルであり、特殊なクオリティとデザイン・造形を持つピースです。
しかしながら、ネイティブアメリカンジュエリーの伝統的な技術・ディテールを応用して構成された作品であり、ネイティブアメリカンシルバースミスによって作られたものと推定されます。
随所に作者の技術力や美意識が感じられ、現在では考えられない程に手間を要する彫金作業が、伝統工芸品として作られたジュエリーをウェアラブルアートとしても評価できる作品へと昇華しているようです。
また、ゴールドカラーによる独特な質感や、そのボリューム感により特別な存在感を示しますが、石のセットされていないソリッドな質感は派手な存在感を与えず、荒々しくも細かなワイヤーワークは、プリミティブで武骨な印象を作り、多くのコーディネイトに馴染む高い汎用性を持っています。
あまりにも特別なデザインの個体ながらホールマークによりある程度正確な制作時期等の背景が特定可能であり、工房や作者の価値観や技術を考察する上でのでの重要な史料ともなるリングです。
GARDEN OF THE GODS TRADING POST/ガーデンオブザゴッズトレーディングポストの個体は、ツーリストジュエリーとして作られた作品ながらアンティーク工芸品としても評価されていますが、中でも本作の様なスペシャリティを持った個体はヒストリックであり、ミュージアムクオリティを誇る作品の一つとなっています。
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コンディションは、エッジの摩耗やクスミ、ハンドメイド作品独特の制作上のムラ等が見られますが、目立ったダメージは無く着用に不安のない状態です。