【Hopi】ホピのビンテージジュエリー、左右非対称にデザインされた独特なシェイプをベースに、彫りの深いオーバーレイによって迫力のあるサンダーバードが描き出されたアンティーク/ビンテージリングです。
具体的なモチーフや下地へのテクスチャーの少し粗暴な仕上がり等、オーバーレイ技法黎明の特徴を持ちオールドホピジュエリーと思われますが、ナバホやプエブロのシルバースミスによる作品の可能性も少し残る作品となっています。
1960年代~1970年代頃の作品と思われ、リングとしての独特なシェイプは『スプーンリング』を起源としたデザインと思われます。
そこに、現代のオーバーレイ作品に比べ、厚いシルバープレートをカッティングし、逆に少し薄いシルバープレートをベースにとした、古いホピ族のオーバーレイ作品独特の特徴を持っています。
その土台となっているシルバーには細かなテクスチャも刻まれることで複雑な表情が与えられ、とても深く強い陰影が生み出されていますが、薄い地金の為にテクスチャーのスタンプを刻印した『跡』が内側に残っています。
大胆に構成されたサンダーバードモチーフは、リングのシェイプに合わせた構図となっており、サンダーバードモチーフのキャッチーでエスニシティな印象と流麗な意匠によるグラフィカルでクリーンな雰囲気を帯びたデザインとなっています。
現在制作されているホピジュエリーにおいて、抽象化/図案化されたオーバーレイの紋様スタイルが持つようなエッジーで硬い印象はなく、少し柔らかくアーシーなリングに仕上がっています。
また本作の様なシャンクのフォルム/シェイプは、17世紀のイギリスを発祥とする「スプーンリング」をデザインソースにしたと思われるイタリア系の作家【Frank Patania Sr.】フランク・パタニア(1899-1964)の作品にその原型を見ることが出来ます。
また、1960年代にはピッピーの間でスプーンリング、ターコイズのセットされたインディアンジュエリーの双方が流行しており、そのトレンドに合わせて生まれたものである可能性も推測されます。
【Overlay】オーバーレイと言う技法は、シルバーの板に描いたデザインを切り抜き、下地のシルバーの上に貼り付けることで立体的に絵柄を浮き出させる技法です。スタンプワークやカッティングと組み合わされた作品も見られ、完成度を高められたオーバーレイ技法を用いた美しいホピのジュエリーは、現代に至るまでに多くの傑作を残しています。
1930年代にホピの大家【Paul Saufkie】ポール・スフキー(1904-1998)によって生み出された技術ですが、その黎明期にはホピ以外のナバホ・プエブロのシルバースミスにも新しい表現方法として色々な作品が作られていました。
1940年代~1950年代にかけて本作と同じ工房で彫金を指導した【Harry Sakyesva】ハリー・サキイェスヴァ(1922-1969?)や、同い年の作家【Allen Pooyouma】アレン・プーユウマ(1922-2014)、そして【Victor Coochwytewa】ヴィクター・クーチュワイテワ(1922-2011)等により、ホピの代表的なスタイルの一つとして定着させられました。
オーバーレイ技術の定着以前にも、オーバーレイと近い造形を生み出すような大きく大胆で細かな刻みを持たないスタンプ(鏨)がホピの作家によって制作されていました。
しかし、スタンプ(刻印)というデザインやサイズが固定されてしまう技術から解放し、もっと自由な図案を具現化できる技術・技法として生み出されたのではないかと考えられます。
また、現在ではホピの伝統的な技術として認知されているオーバーレイ技法ですが、1960年代以前の黎明期においては、ホピ以外のナバホ・プエブロのシルバースミスにも新しい表現方法として多様な作品が作られていました。
本作もオーバーレイ技法の黎明期から発展期に制作された個体と思われ、ネイティブアメリカンジュエリーらしい素朴で武骨な味わいが素晴らしいリングであり、現代作品とは少し違ったディテールや仕上げによりビンテージらしい優しくも渋い質感を持っています。
また、ハンドメイドによる独特のリラックス感を持ち素朴な印象を与えながら、どこかアーティでモダンな魅力も放つピースであり、シルバーのみで構成されたソリッドな印象も含め、性別や季節を問わずコーディネイトして頂きやすいリングです。
オーセンティックなモチーフと技術を駆使しながらプエブロジュエリー黎明期の特異性も秘めたコレクタブルな作品の一つとなっています。
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コンディションは、経年・着用によるキズや制作時のムラ等が全体に見られますが、目立ったダメージの無い状態を保っています。