【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、インゴットシルバー(銀塊)から成形された、通称『FlatTop/フラットトップ』と呼ばれる独特なシェイプのバンドをベースに、レクタングラーカットのターコイズがマウントされたアンティーク/ビンテージバングルです。

1920年代前後に作られた作品と思われ、その希少性やアメリカ国内のコレクターによる非常に高い需要、そして素晴らしいコンディションを含め、ミュージアムクオリティを誇るピースです。
ただし、マウントされたターコイズにつきましては、後年にスワップ(交換)されている可能性のある作品となっています。


インゴットシルバー(銀塊)から成形されたバンドは、圧倒的な技術のハンマーワーク/パウンティング(鍛造)とファイルワーク(エングレイビング/削り加工)によって造形され、360度どこから見ても美しい独特なシェイプに仕上げられています。

サイド～ターミナル(両端)にかけては、トライアングルシェイプの断面とフラットな断面が交互に連続する造形となっており、フロント部分はフラットなシェイプに造形されています。そして、そのフロントにレクタングラーカットされたグリーンターコイズがマウントされ、比較的ナローな幅のブレスレットながら、複雑な立体感と独特のボリューム感を誇るブレスレットとなっています。

他にもサイド～ターミナルがハーフラウンドワイヤーとなった作品や、フロント部分に長方形の長いパネルが作られた造形スタイルを総称し『フラットトップ』と呼ばれています。
これらのような立体物として美しく、とても手の込んだ造形は、特にアンティークインディアンジュエリーディーラーの間で人気が高く、殆ど市場に出る事の無いアイテムとなっています。


さらに本作では、石の両脇やバンドの両サイド、ターミナル(両端)部分に、力強く質の高いスタンプワークが刻まれており、独特で複雑なシェイプを強調しています。
また、トライアングルとフロントのフラットな境目にはしっかりとエッジが与えられており、それもまた特別な造形を際立たせているようです。


マウントされたターコイズは美しいグリーンターコイズですが、産出された鉱山の特定は大変困難です。また前述の通り、石の質やコンディション、石を留めるベゼル(覆輪)の状態等から、バンドとは異なる時代に交換されたターコイズのようにも見えます。
ただし、確証はなくオリジナルの石が偶然に交換されたように見える状態を保っている、という事もあり得ます。

【Royston Turquoise】ロイストンターコイズや【King's Manassa】キングスマナッサターコイズが想起される、ワイルドでとても美しいグリーンターコイズです。透明感と深く美しいグラデーションを持ち、ブラウンやゴールドのマトリックスによって複雑で静かな景色を形成しています。



【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。

本作において内側の一部に見られるようなシルバーの重なったような部分は、ハンマーワークによるインゴット成形作品の特徴です。
この様な特徴は、インゴットシルバーの『マーク』と呼ばれ、制作上のムラではありますが、コレクターに好まれる特徴の一つであり、逆に価値を高めるディテールとなっています。

また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。



すべてのディテールが原始的な技術・技法によって作り上げられた作品ですが、現代においてもデザインの独創性や新鮮な印象を失っておらず、ナローな幅ながら約30gの重量を有し、武骨でありながら洗練された完成度を感じさせる多面性を持ったバングルとなっています。

また、大きな作品ではありませんが、アンティークピースの威厳と普遍的な造形美を持ったブレスレットです。多くのスタイルによく馴染むと思われ、他のブレスレットとの重ね付けにも向いた作品ですが、単独でもしっかりとした存在感を示します。
オーセンティックで美しいデザインは非常に洗練されており、長年にわたってご愛用いただける作品です。


ブレスレットとしてだけでなく立体造形作品として美しく作り上げられた作品であり、アートピース・ウェアラブルアーツとしても高く評価されるアンティークジュエリー。石が交換されている可能性がある為に、非常にトレジャーハントプライスなピースとなっています。


◆着用サンプル画像はこちら◆



コンディションも良好です。全体に僅かなキズや摩耗がみられ、ハンドメイド作品特有の制作上のムラ等はありますが、使用によるダメージは無くとても良い状態を保っています。

ただし、石についてはシルバーに比べて経年を感じさせないコンディションであり、ベゼル(覆輪)に多少の変形が見られること等により、交換されている可能性が考えられます。
石の動き等、ご着用にあたっては不安の無いコンディションとなっています。