【NAVAJO】ナバホのビンテージジュエリー、サンドキャストで成形されたバンドをベースに、素朴ながら質の高いスタンプワークが施されたピース。高い完成度を誇る造形美を持ち、美しいジェムクオリティターコイズがマウントされたハイエンドで貴重なアンティーク/ビンテージバングルです。
サンドキャスト(砂型鋳物)及びトゥーファキャストによるシルバーの成形は、ナバホジュエリーでも古典期と呼ばれる創成期からみられる技術の一つであり、長い歴史を持っています。そして、その当時から完成された技術/技法は現在に至るまで大きな変化なく受け継がれており、キャスト製法以外で作られた作品に比べて制作年代の判断を困難にしています。不確かな判断材料としては、量産化/パターン化されたデザインであるか、内側の処理・仕上げ、シルバー自体の厚みと重量や質、そしてサンドキャストかトゥーファキャストによる成形であるか、などが目安となります。
こちらの作品の場合は、部分的に効果的なスタンプワークが施されており、そのアンティーク特有のクオリティーを持つ鏨/スタンプの質や、ファイルワークと呼ばれるヤスリで削る技法が駆使されたディテール、そしてマウントされた石等によって1930年代後半～1950年代頃に制作された作品であることが推測できます。また、こちらの様にキャストで成形したシルバーに、スタンプワークを組み合わせるスタイルも1930年代頃までは多く見られ、1960年代以前の作品でも散見されるディテールですが、1970年代以降の作品では非常に少なくなってしまった造形スタイルの一つとなっています。
バンドのシェイプデザインも量産向けにパターン化され、多く制作された『型』によるキャスト成形ではなく、作者のオリジナリティーと高い技術を感じさせる作品です。さらに、大変丁寧に仕上げ工程が施されており、多くのサンドキャストに見られる独特の細かな凹凸のある質感が削り磨くことでなめらかなでスムースな肌に仕上げられており、現代作品に比べ多くの手間と時間が費やされています。そして、そのような上質な仕上げによってトゥーファキャストとサンドキャストのどちらで成形されたピースであるか正確な判断を困難にしています。
デザイン/造形は現代的な印象も受ける作品ですが、こちらの様なシェイプの元となったデザインは、すでに1920年代以前から存在したシェイプです。フロント部分が細く、サイドからターミナル(両端)にかけて有機的な曲線によるデザインが施されています。キャスト成形とヤスリで削るファイルワークを組み合わせて連続したデザインが形作られることで、立体造形物として美しい作品に仕上げられています。そして、バンドの一部などにさり気なくも効果的なアクセントとして存在感を放つスタンプワークが刻まれており、現代のキャスト作品とは違った表情と独特の完成度を持ったバングルに仕上げられているようです。
また、フロントには大変上質なターコイズがマウントされており、小さなサイズでありながら美しい煌めきと独特な存在感を示しています。
セットされているターコイズについては、古い年代の作品であり決定的な特徴を持たないためその鉱山を特定することはできませんが、とても良質なオールドターコイズです。強い透明感を持つ澄んだ水色に、ブラックウェブ等のマトリックスが入り、おそらく1930年代～1950年代に産出したネバダ産ターコイズと推測され、【Godber】【Burnham】カドバー/バーナムターコイズや【Lone Mountain】 ローンマウンテンターコイズに近い色味やマトリックスの特徴を持っていますが、その鉱山を明確にするのは困難です。
現在も美しい色と深淵な奥行きを持っており、ジェムクオリティを誇る無添加ナチュラルターコイズです。
【Tufa Cast】トゥーファキャストとは、トゥーファストーンという石を使用したナバホ族の伝統的な鋳造製法です。材料となるのはトゥーファ鉱山より採掘される軽石のようなとても柔らかい石(トゥーファストーン)で、これを削ることによって作品の型を制作します。それらのトゥーファの片方にデザインを彫刻し、2枚合わせたトゥーファの溝にシルバーを流し込んで行う鋳造製法です。
量産には向かず、多くが一点物の作品になり手間もかかるため、多くのアーティストが扱う技術ではありません。しかしながら、その仕上がりは石の質感を活かすことで、大地の自然な表情を切り取ったような独特の質感が表現でき、ホピの巨匠【Charles Loloma】チャールズ・ロロマも好んで用いた手法です。 そこに現れるシルバーの表情はとても荘厳で自然に溶け込むような雰囲気を持っています。
本作は、おそらくサンドキャスト成形によって形作られたものと思われますが、丁寧な仕上げ研磨により、トゥーファキャストによる成形の可能性も残ります。
質の高いシルバーワークによって作り上げられたアンティーク作品独特のクオリティと、現代的で洗練された印象を与える素晴らしい造形センスの双方を備えたハイエンドな作品。有機的な曲線で構成されたバンドの造形に美しいターコイズが映え、丁寧に仕上げられたシルバーの肌は独特な上質感を有しています。
控えめなボリューム感のブレスレットでありながら30g近い心地よい重量感を持ち、重ね付けにも向いた幅ですが、しっかりとした厚みの為、単独でも華奢過ぎず男性の手首に馴染むブレスレットとなっています。
奥行きのある重厚な造りと、シンプルでクリーンなデザイン/造形は汎用性が高く、性別やスタイルを問わず馴染みやすく、普遍的な造形美は長くご愛用いただける印象です。
洗練された立体造形は、プリミティブでエッジーな印象を生み出しており、上質なターコイズを含め非常にコレクタブルで貴重な作品の一つです。
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コンディションは、一部に多少の摩耗等が見られますが、ダメージは無く良好な状態を保っています。ターコイズも艶を保ち良いコンディションです。
