【Kewa】キワ/【Santo Domingo】サントドミンゴの作家でありデザイナーとされる【Carl & Max Luthey】カール・ルーシーとマックス・ルーシー兄弟が経営した【Carl Luthey Shop】カール・ルーシーショップで制作された作品。
ゴールド(推定14金)で作られたリーフモチーフのアップリケやゴールドボールが全体に構成されたゴージャスなデザインが質の高いパージャンターコイズの美しさをさらに引き立てるハイエンドなアンティーク/ビンテージリングです。
1960年代末頃~1980年代に作られた作品と思われ、裏面には前述のCarl Luthy Shopのショップマーク/ホールマークが刻印されていますが、経営者でありデザイナーであるルーシー兄弟によって制作された作品か、同店に所属したナバホやプエブロのシルバースミスによる作品かを判断することは出来ません。
シャンクは厚みのあるハーフラウンドワイヤーが、『スプリットシャンク』と呼ばれる伝統的な造形で2本に割り開かれており、フェイスに向かって幅とボリューム感を持たせ、ボリューム感のあるフェイスとの自然なつながりを作っています。フェイスはハイドームにカットされた美しいパージャンターコイズがマウントされています。そして、そのターコイズを包み込むようにゴールドによって作られた、立体的で有機的な曲面を持つリーフ(たばこの葉)のアップリケ/パッチワークが配されています。これらのパーツは金メッキされたものではなくソリッドゴールドで作られており、独特な上質感を与えています。シャンクやフェイスの土台部分、石のベゼル(覆輪)はシルバー製となっていますが、アップリケされたパーツは全てゴールドで構成されており、とても贅沢にゴールドが使用された作品であり、当時からハイジュエリーとして制作されたことが伺えます。さらに、ゴールドの存在感に劣らない上質なターコイズによって特別な存在感が生み出されており、流麗な植物モチーフと融合されることで、高級感と素朴でナチュラルな印象という相反する表情を併せ持つ作品となっています。
また、こちらにセットされたターコイズは、とても素晴らしいクオリティーを持ったパージャンターコイズで、美しい色相とワイルドなマトリックス、そして強い透明感を持つターコイズです。
澄んだ深い水色を湛え、パージャンらしいダークブラウン~ブラックのとてもワイルドなマトリックスが片側に偏って入ります。ハイドームにカットされ、複雑な景色を形成する表情は、ハイグレードにグレーディングできる石だと思います。
【Persian Turquoise】パージャンターコイズ/ペルシャンターコイズは、現在のイラン産にあたり、カスピ海近くの鉱山で古くからたくさんのターコイズを算出しています。その歴史は紀元前にさかのぼることができ、中世にはトルコを経由してヨーロッパに輸出されたことから、ターコイズ/トルコ石と呼ばれるようになりました。(トルコではターコイズは産出していません。)
北米とは違った価値基準を持ち、マトリックスの入らないフラットなブルーが上質とされ、すでに1930年代以前からアメリカにも輸出されていたようです。また、1950年代にはネバダ、アリゾナの多くのターコイズ鉱山の石が細かくグレーディングされ、パージャンターコイズも上質なものは流通量が少なくなっていたようです。
北米産ターコイズの多くが薄い脈状で形成されているのに対し、パージャンターコイズは塊で採掘できるのが特徴で、それにより高さのあるハイドームカットが可能になっています。北米産では、【Number Eight Turquoise】ナンバーエイトや【Lone Mountain Turquoise】 ローンマウンテンターコイズ等が塊状で採掘されます。 色はターコイズらしい水色~ブルーの石を産出し、大変幅広いバリエーションを持っています。
幅広いバリエーションを持つ為、グレーディングの困難なターコイズであり、前述の様に世界基準と北米の基準は全く異なっていますが、比較的ペールトーンの石が多く、透明感と澄んだ色味を持ちワイルドなマトリックスの入るこちらの様な石が北米における基準では高く評価されています。
【Carl Luthey Shop】カール・ルーシーショップは、上記の通りカール・ルーシーとマックス・ルーシー兄弟がニューメキシコ州アルバカーキで運営していたインディアンジュエリーショップです。1960年代に創業し、1980年代にはなくなってしまったようです。
オーナーであるルーシー兄弟はキワ/サントドミンゴプエブロの出身ですがナバホの職人を多く所属させ、兄弟がツールや材料にターコイズ、さらにはデザインも提供することで、多くのシルバースミスを育てたようです。
フラワーモチーフやリーフをモチーフにした細かなシルバーワークや、本作のようにホピのデザインワークにも通じるオーバーレイによる作品などが多く見られるのが特徴です。
本作も大変手の込んだシルバーワーク・ゴールドワークによって構成されており、Carl Luthey Shopの作品を代表し、当時の流行にもなった有機的でゴージャスなボリューム感を持った作品に仕上げられています。さらに本作のように質の高いターコイズやゴールドを用いたディテールも同店の特徴の一つです。
リーフパーツや大きさに微妙なグラデーションを付けたゴールドドロップ等、細部まで行き届いた丁寧な仕事には作者の拘りや高い技術力が垣間見えます。また、前述のように高級感とゴージャスな印象だけでなく、有機的でナチュラルな表情も持っている為、性別を問わず幅広い年齢層や色々なスタイルに馴染みの良いリングとなっています。
Carl Luthey Shop/カール・ルーシーショップで制作されたという歴史的な背景が明確なコレクタブルなアイテムの一つ。そして、ゴールドが贅沢に使用されたピースであり、トレジャーハントプライスな作品となっています。
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コンディションも良好です。シルバー僅かなクスミや細かなキズはありますが、ターコイズも今なお高い艶を保ち、母石/マトリックス部分に凹凸が見られ、一部にクラックがありますが、それらはカットされた時からの天然石が持つ凹凸とクラックだと思われます。現在も美しい艶と透明感を保っています。