【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、重厚で質の高いシルバーワークをベースに、ボリューム感のあるスクエアカットされた【Jet】ジェット(木の化石)がマウントされたアンティーク/ビンテージリングです。
正確な制作年代の特定は困難ですが、1940年代頃に制作されたピースと思われ、重厚なシャンクはスプリットシャンクで3本にスプリットされており、ジェットのベゼル(覆輪)とシャンクとの間にはシルバーボールが施されています。また、ベゼルには単独のスクエアワイヤーを捻ることで制作したツイステッドワイヤーが施されており、古いナバホのディテールで構成された大変クラシックなピースです。細部まで全て伝統的な技法によるオーセンティックな造形ですが、こちらの作品は重厚なシルバー/地金を用いて丁寧なハンマーワークで成形されており、その完成度を含め上質なリングに仕上がっています。
【Jet】ジェットは、【Petrified Wood】ペトリファイドウッドと同じく<木>が化石化したものですが、地中で化石化したペトリファイドウッドと違い、海底に沈んだ樹木が圧縮され炭化し化石となった鉱物で、日本では『黒玉』や『黒琥珀』と呼ばれています。世界各地の海岸などで発見でき、有史以前から装飾品やお守りとして愛されてきた歴史を持ちます。
少しマットな質感で透明感のない黒を湛える石であり、樹木の名残である木目や僅かにブラウンの色味が残る石も見られます。独特の静かで深淵な表情はとても神秘的で、真黒でありながらも木の持つ柔らかな印象も感じさせる石です。
ジュエリーとしては、イギリスを中心としたヨーロッパでモーニングジュエリーとして広く知られていますが、インディアンジュエリーにおいても1940年代以前から用いられており、古くは【Fred Peshlakai】 フレッド・ぺシュラカイ(1896-1974)の作品やズニのインレイ、【Charles Loloma】チャールズ・ロロマ(1921-1991)も好んで用いた石の一つです。
ペトリファイドウッドと同様に第二次世界大戦中、ターコイズを採掘する鉱夫の人出が不足し、インディアンジュエリーにも用いられるようになったものと思われますが、ペトリファイドウッドに比べ1950年代以前作品ではあまり発見できず、こちらの様に1940年代頃にジェットがメインとしてセットされたピースは、比較的珍しい作品になります。
ターコイズとは異なる独特な存在感と他に類を見ない新鮮な印象を生み出すジェットやペトリファイドウッドを用いた作品は、古くから使われる素材でありながらビンテージインディアンジュエリーの新しい側面とも感じられ、当店では注力してご紹介しています。
こちらの作品は、ジェットという石の特性を引き出すスクエアカットとクラシックで男性的なデザイン/造形により、さらにジェットを際立たせ、シックで男性にも向いた渋く落ち着いた印象を作っています。
柔らかな質感と深淵な黒の持つ表情は、日本において多く紹介されているインディアンジュエリーとは違ったフィーリングを持ちますが、伝統的なナバホジュエリーの手仕事による武骨さとアンティークのナチュラルな印象は、季節や性別を問わず、モードなスタイルにもフィットする作品です。女性の手にはエレガントでエッジーな存在感を発揮し、男性の手には構築的で怪しげな魅力を与えてくれるリングです。
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コンディションはシルバーの僅かなクスミや摩耗等、多少の使用感はあり、シャンクにはサイズ直しの跡が確認できますがダメージはなく良好です。石も擦れや細かなキズが多数見られますが、クラックやガタツキ等はなく使用にあたって不安のないコンディションです。