【NAVAJO】ナバホのアンティークジュエリー、素朴なシルバーワークにより形作られたヒューマンか精霊をモチーフとした小さなアンティーク/ビンテージピンブローチです。
小ぶりなサイズながら丁寧なハンドメイドで形作られており、経年の奥行きも感じさせる質感とどこか愛らしくリラックス感のある意匠が大変魅力的な作品となっています。
また、【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーや【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルと呼ばれる、20世紀前半のサウスウエスト観光産業の隆盛に合わせて作られた作品の一つですが、全ての工程がハンドメイドによって仕上げられており、分業化や量産化されたものとは一線を画すクオリティーや味わいを持っています。
1920年代末~1940年代初頭に制作されたものと思われる作品です。
丸みを帯びたシェイプにカットされ、細部は左右非対称となった素朴な造形/デザインから、おそらくヒューマンのモチーフと思われますが、ナバホの精霊イェイやプエブロの精霊カチナをモチーフにしている可能性も考えられる作品です。
インゴットシルバー(銀塊)から成形された地金をベースに、重機によるプレスカットではなく丁寧なカッティングワークによって形作られ、顔などの細かな部分がスタンプワークによって描き出されています。
また、抽象的な文様を刻むスタンプを巧みに組み合わせる事で、愛らしい笑顔が表現されています。
造形スタイルや使用されているスタンプツール(鏨・刻印)やディテール等から、1932年創業の【BELL TRADING POST】ベルトレーディングポストや、1923年により創業され多くのナバホやプエブロの職人が所属した有名工房【Maisel's Indian Trading Post】マイセルズ インディアントレーディングポストで制作されたものと推測されますが、ショップマークやホールマークは入らず詳細は不明となっています。
分業化・量産化を始める以前に制作された個体であり、それによりコインシルバー製である事も推定可能となっています。
【Coin Silver】コインシルバーとは、インディアンジュエリーにおいては銀含有率90.0%の地金を表します。
また、アメリカの古い硬貨における銀含有率は900ですが、日本では800~900や古い100円硬貨では600、メキシカンコインは950であり、900シルバーが最も多く使われていますが世界中で共通した純度ではありません。
同様に【Sterling Silver】スターリングシルバー=【925シルバー】は、銀含有率92.5%の地金であり、こちらは世界中で共通の基準となっています。
また『割金』と呼ばれる残りシルバー以外の7.5%には、銅や鉄、アルミニウム等が含まれています。(現在では、スターリングシルバーの割金は7.5%全てが銅と決められています)
主にイギリスの影響を受けた国において『STERLING』、それ以外の国において『925』の表記・刻印が使用されています。
925シルバーは熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いていたため食器や宝飾品等様々な物に利用されていますが、インディアンジュエリーにおいては、その初期に身近にあった銀製品、特にシルバー製のコインを溶かすことで、材料(地金)を得ていた背景があるため、現代でも限られた作家によりコインシルバーを用いる伝統が残されています。
インディアンジュエリーの歴史では、1900年代初頭にH.H.タンメン社が『800-Fine Silver』(シルバー含有率80.0%)を採用し、1910年代~1940年代初頭までに作られたツーリストジュエリーにおいては、Coin Silver 900が多く採用されました。
シルバーの色味や質感は、『割金』や製法にも左右され、コインシルバー900とスターリングシルバー925の差異は純度2.5%の違いしかない為、見た目で判断するのは困難ですが、やはりコインシルバーは少し硬く、着用によってシルバー本来の肌が現れた時に、スターリングシルバーよりも深く沈んだ色味が感じられると思います。
さらに古い1800年代後半頃の作品では、メキシカンコインが多く含まれていたためか、そのシルバーの純度は95.0%に近くなっているようですが、身近な銀製品を混ぜて溶かしていた歴史を考えると純度に対してそれほど強い拘りはなかったことが推測されます。
本作もナバホジュエリーの伝統的な素材や技術を守り、ハンドメイドらしい粗暴な部分は見られますが、原始的な技術による重厚感と手作業特有の『ムラ』が、キャッチーなデザインに味わいと風格のある印象を与えているようです。
また、ナバホ族のシルバースミスによる作品ながら、スカル/髑髏の様なモチーフの表情はメキシコの『死者の日/デイ・オブ・ザ・デッド』を想起させ、程よいサイズ感等を含め、パティナ(古色)も特徴的なシルバーの質感は、多くのスタイルにフィットさせることが出来る高い汎用性を示します。
ハット等のワンポイントやアウターのアクセントとして、色々なアイテムにフィットし、良いアクセントになってくれると思います。
さらに、女性にはもちろんですが男性向けのアクセサリーにとって重要な要素である『ギャップ』と『遊び心』を与えてくれるアイテムであり、さり気なくスタイルに奥行きをもたらすことができ、男性にもお使いいただきたい作品です。
ツーリストジュエリーとして作られたとても小さな作品ながら、細部には作者や工房のオリジナリティを宿し、とてもコレクタブルなキラーピースとなっています。
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コンディションも経年によりシルバーのクスミや僅かなキズ、ハンドメイド特有の制作上のムラが見られますが、特にダメージの無い良好な状態を保っています。
内側のニードルパーツのみ、交換されている可能性がございます。