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JBO006103

【NAVAJO GUILD】&【Fred Wilson's】Ingot Siver Cuff c.1945~

【NAVAJO GUILD】&【Fred Wilson's】Ingot Siver Cuff c.1945~
275,000 円(税込)
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【NAVAJO GUILD】&【Fred Wilson's】Ingot Siver Cuff  c.1945~
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着用サンプル画像
https://www.instagram.com/p/Ct-NJJnPwJe/
★こちらは、『10周年記念販売アイテム』の作品となります。
説明文最後尾に記載の【注意事項】をご確認頂き、ご了承の上でご購入をお願い致します。




【NAVAJO】ナバホの中でも傑作を残している組織【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)=通称『ナバホギルド』で作られ、【HOPI】ホピやナバホの非常に優秀な作家が在籍していたショップ【Fred Wilson's Indian Trading Post】フレッド・ウィルソンズ インディアントレーディングポストで販売された事が判る非常に貴重なアンティーク/ビンテージバングルです。

また、その2つのホールマーク(工房や作者のサイン)が入ることや、そのデザイン・造形から、制作した作者は【Sam Roanhorse】サム・ローアンホース(1915or1916-1983)ではないかと推測される作品。


インゴットシルバー(銀塊)から成形された厚いバンド(地金)をベースとし、同工房らしく丁寧で手の込んだシルバーワークにより、美しいバイアスラインが施され、非常にシンプルで単調なデザインですが、何故か深遠な奥行きと工芸品としての美しさを感じることが出来るハイエンドな作品となっています。


本作の内側には、ナバホギルドのホールマーク(作者やショップのサイン)である【Horned Moon】とFred Wilson's Indian Trading Postのショップマークであり、オーナーのイニシャルである『F』と『W』の文字をマークにした意匠が刻印されています。
また、それらのディテールから1940年代後半~1950年代頃の作品と推定されます。

インゴットシルバー(銀塊)からハンマーワークによって成形されたバンドは、フロントが厚く、ターミナル(両端)にかけて薄くなるという、インゴットシルバー製法特有の特徴を色濃く示しています。

またこれらのディテールは【NAVAJO GUILD】ナバホギルドらしい古典期から受け継がれるプリミティブな製法や、デザインを重視し制作されたピースであることを表しており、原始的な技術によって作り上げられていますが、特別な造形センスと技巧の証ともいえるシルバーワークの完成度により、ミッドセンチュリー期の価値観を反映したモダンな美しさを持っています。



【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG)※以下ナバホギルドはインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等、【The United Indian Trader’s Association】(UITA)とも近しい目的の為に、ナバホのシルバースミス達の手によって組織されました。

中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、大巨匠であるナバホのシルバースミスAmbrose Roanhorseが代表を務め、後進の育成や伝統的な技術の伝承、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。明確にはなっていませんが、U.S.NAVAJO/Indian Arts & Crafts Boardが1937年~1940年代の初め頃までしか見られないのも、第二次世界大戦の激化による影響だけではなく、どちらの組織においても重要な役割を担っていたAmbrose Roanhorseが、Navajo Guild/The Navajo Arts & Crafts Guildに注力したためではないかと考えられます。

ナバホギルドによる作品のスタイルは特徴的で、Ambrose Roanhorseの意図が強く働いた影響のためか、インゴットから作られたベースに、クリーンで構築的なスタンプワークをメインとしたデザインと、昔ながらのキャストワークによるピースが多く、どちらも回顧主義的なオールドスタイルでありながら、洗練された美しい作品が多く制作されました。

また、もう一つの特徴はその構成メンバーです。当時から有名で最高の技術を究めた作家が名を連ねています。
【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ、【Mark Chee】マーク・チー、【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン、【Allan Kee】アレン・キー、【Ivan Kee】アイバン・キー、【Jack Adakai】ジャック・アダカイ、【Billy Goodluck】ビリー・グッドラック等、さらに、Ambrose Roanhorseの教え子の一人であるホピ族の【Louis Lomay】ルイス・ロメイもナバホギルドのメンバーだったようです。

さらに特筆すべきは、これだけ有名作家が揃っていながら【NAVAJO GUILD】のジュエリーとして制作されるものは、個人のホールマーク(署名/サイン)が認められていませんでした。そのため、1941年の発足から1940年代の半ばごろまでは、まったくホールマークなどが記載されていないか1943年以前には『U.S.NAVAJO 70』が用いられています。
その後、1943年に【Horned Moon/ホーンドムーン】と呼ばれる空を司る精霊をモチーフとしたシンボルがナバホギルドの象徴として商標登録されており、諸説ありますが1940年代後半頃からホールマークとして作品に刻印されるようになったようです。1950年代以降になってからは本作の様に『NAVAJO』の文字や、銀含有率92.5%の地金であることを示す『STERLING』の刻印が追加されていきます。
また、1940年代後半以降でもホールマークの刻印が刻まれていない個体も多く発見されています。

ナバホギルドの代表を務めた【Ambrose Roanhorse】は後進の育成にも熱心な作家で、1930年代からサンタフェのインディアンスクールで彫金技術のクラスを受け持っており、多くの教え子を持っていました。 サードジェネレーションと呼ばれる第3世代の作家ですが、さらに古い年代の伝統を重んじた作品を多く残し、独特の造形美や完成された技術は次世代に絶大な影響を与えた人物です。

また、【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)ナバホギルドのピースは、アメリカ国内では非常に高い知名度を誇っていますが、それに比例せず、現存数がとても少ないことも特徴です。 コレクターのもとには一定数があると思われますが市場に出る個体は少なく、現在発見するのが大変困難になっています。



【Fred Wilson's Indian Trading Post】フレッド・ウィルソンズ インディアントレーディングポストは、1936年にフェニックスで創業したインディアンクラフトショップ/インディアントレーディングポストです。
その特徴でありショップの功績は、1950年代までにRalph TawangyaoumaやMorris Robinson等、後世に大きな影響力を持ったシルバースミスを雇い入れ、育てたことです。それぞれに在籍期間の長さは異なりますが、同時に仕事をしていた期間もあり、互いに影響を与えながら切磋琢磨したことが推測されます。また、そのような特別なクリエイティビティを備えた作家たちが、自由に新しい作品を生み出すことが出来る環境を提供したことが判ります。

オーナーであるFred Wilsonは、事業の拡大にも積極的でユタ州ソルトレイクシティからカリフォルニア州レイクアローヘッド、ニューメキシコ州クーリッジにかけて、またフェニックス周辺のホテル内など、多くの支店をオープンしていたようです。
また彼は、アメリカ政府がバックアップし『U.S.NAVAJO』のホールマークが表している【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)や、トレーダーの協業組合組織である【United Indian Trader's Association】(UITA)を支持していたようですが、その加盟などについては不明となっています。
1940年頃に、自身のイニシャルであるFとWを繋げた形のホールマーク/ショップマークを創作。残念ながら1962年にはインディアンクラフトの小売業からリタイアしています。



【Sam Roanhorse】サム・ローアンホースは、1915年か16年にアリゾナ州北西部のナバホリザベーションにあるコーンフィールズ・ウェルで生まれました。名前は、いつ頃か不明ですが「Roans」を「Roanhorse」へと改名しています。
1935年~1936年には、兄であり偉大な作家【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が受け持つサンタフェインディアンスクールの彫金クラスを受講し、シルバースミスとしての長いキャリアをスタートさせました。

そして、1940年には当時サンタフェで有名店となっていた【Julius Gan's Southwestern Arts and Crafts】ユリウス・ガンズサウスウエストアーツアンドクラフツ社(以下ガンズクラフト社)で働いています。同店には、同世代の【Mark Chee】マーク・チー(1914-1981)、そして【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナ(1915-1991)をはじめ、自身の兄や【David Taliman】デビッド・タリマン(1901or1902-1967)等の非常に優秀なシルバースミスが多く在籍していました。
その後、第二次世界大戦ではコードトーカー(暗号部隊)として従軍していました。※コードトーカーとは、アメリカインディアン部族による暗号部隊を指し、非常に難解なナバホ語を暗号として利用しました。結局、日本軍は最後まで解読することが出来ず、第二次世界大戦において大きな功績を残しました。

戦後の1949年にはアリゾナ州フェニックスにて、ホピの【Ralph Tawangyawma】ラルフ・タワンギャウマ(1894-1972)や【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)が在籍していた【Fred Wilson's Indian Trading Post】フレッド・ウィルソンズインディアントレーディングポストで働いており、その当時に生まれたのが本作となっています。しかし、翌年の1950年から数年間は同州ツーソンに住み、【Miller's Curios】ミラーズクリオや【Clay Lockett`s】クレイ・ロケッツ等を含むいくつかのショップで働きました。

その後は当時、アリゾナ州スコッツデールに存在し非常に有名店となっていたインディアンクラフトショップWhite Hoganに所属し、本来持っていたデザインセンスと同店の求めるモダンジュエリーの融合したクリーンでエレガントな作品を残しています。

長いキャリアの中でガンズクラフト、ナバホギルド、フレッド・ウィルソンズ、ズニハウス、ミラーズクリオ、そしてホワイトホーガンショップと、とても多くの工房に所属して経験を積んでおり、その間に色々なスタイルや価値観を持った沢山のシルバースミスと相互に影響を受けている事が想像されます。

また、本作の様にナバホギルドのホールマークとフレッド・ウィルソンズのショップマークの二つが同時に刻印された作品が極僅かな数のみ発見されていますが、それらの作品もサム・ローアンホースによるものと推測されています。

サム・ローアンホースの作品は最上級のクオリティを持ち、やはり兄であるアンブローズ・ローアンホースが提唱した「古典作品(技術)をベースにしながらモダンでシンプル、そして大胆なデザイン」を感じられる作品が多く残されています。
本作もそんな価値観・美意識が感じ取れるバングルであり、ホワイトホーガンで共に制作した同世代の天才的なジュエラーである【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ(1913?-1977)や【Allen Kee】アレン・キー(1916-1972)にも影響を与えていることが想像されます。



【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。

また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。



本作もインゴットシルバーからの成形を含む、全てディテールが原始的な技術で構成された素朴なアンティークジュエリーですが、手間を惜しまないとても丁寧で完成されたシルバーワークと、アンティーク作品と思えないデザインの洗練度、そして長い経年により、アートピース・ウェアラブルアートとしても高く評価される作品に昇華されています。


またこの様な非常にシンプルでミニマルなデザインは、特別な特徴を持っていないようにも感じられますが、当時、ナバホギルド又は同組織出身のシルバースミス以外には作られていない造形スタイルであり、簡単に再現できない技巧と作者の精神性が注ぎ込まれた作品です。
またそれは、時代を超越した魅力を放ち、ビンテージインディアンジュエリー独特の質感・迫力と共に現代においても色褪せない価値観と造形美が感じられます。


工芸品として練り上げられたクリーンで無駄のないデザインと、普遍的な造形美は多くのスタイルに良く馴染み、長くご愛用いただける印象です。また、立体的な造形とグラフィカルなスタンプワークの構成は奥行きのある表情を生み出し、ワイルドな雰囲気と少しフォーマルなスタイルにもフィットするエレガントな質感を併せ持った作品です。


前述のホールマーク【Horned Moon】と【Fred Wilson's Indian Trading Post】のショップマークが刻印され、Wネームといえる貴重なピース。【The Navajo Arts & Crafts Guild/ナバホギルド】の美意識や特徴を体現したバングルであり、歴史的な資料価値も高く大変コレクタブルで貴重な作品の一つとなっています。

◆着用サンプル画像はこちら◆


コンディションも良好です。細かなキズやシルバーのクスミ、ハンドメイド作品特有の制作上のムラ等は見られますが、使用感は少なくとても良い状態を保っています。




【注意事項】

※当店では通常、理由を問わず返品・交換が可能ですが、本作を含む10周年記念アイテム48点は、返品交換の対象外となります。
サイズやコンディションに十分にご注意くださいませ。また、出来る限り全容のわかる画像を採用しておりますが、画像に写っていない場合でも目立たない微細なダメージでの返品はご容赦願います。

※これらの作品につきましては『HOLD』も不可とさせて頂きますので、ご協力を宜しくお願い致します。

※お問い合わせにつきましては、頂いた順に返答を差し上げますが、多くのお問い合わせにより返答をお待たせしてしまう事が予想されます。ご了承くださいませ。

※バングルのサイズ調整につきましては、ご購入後も何度でも無料(送料のみご負担頂きます)で承ります。少しお時間を頂きますがお気軽にお申し付けください。
★こちらは、『10周年記念販売アイテム』の作品となります。
説明文最後尾に記載の【注意事項】をご確認頂き、ご了承の上でご購入をお願い致します。




【NAVAJO】ナバホの中でも傑作を残している組織【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)=通称『ナバホギルド』で作られ、【HOPI】ホピやナバホの非常に優秀な作家が在籍していたショップ【Fred Wilson's Indian Trading Post】フレッド・ウィルソンズ インディアントレーディングポストで販売された事が判る非常に貴重なアンティーク/ビンテージバングルです。

また、その2つのホールマーク(工房や作者のサイン)が入ることや、そのデザイン・造形から、制作した作者は【Sam Roanhorse】サム・ローアンホース(1915or1916-1983)ではないかと推測される作品。


インゴットシルバー(銀塊)から成形された厚いバンド(地金)をベースとし、同工房らしく丁寧で手の込んだシルバーワークにより、美しいバイアスラインが施され、非常にシンプルで単調なデザインですが、何故か深遠な奥行きと工芸品としての美しさを感じることが出来るハイエンドな作品となっています。


本作の内側には、ナバホギルドのホールマーク(作者やショップのサイン)である【Horned Moon】とFred Wilson's Indian Trading Postのショップマークであり、オーナーのイニシャルである『F』と『W』の文字をマークにした意匠が刻印されています。
また、それらのディテールから1940年代後半~1950年代頃の作品と推定されます。

インゴットシルバー(銀塊)からハンマーワークによって成形されたバンドは、フロントが厚く、ターミナル(両端)にかけて薄くなるという、インゴットシルバー製法特有の特徴を色濃く示しています。

またこれらのディテールは【NAVAJO GUILD】ナバホギルドらしい古典期から受け継がれるプリミティブな製法や、デザインを重視し制作されたピースであることを表しており、原始的な技術によって作り上げられていますが、特別な造形センスと技巧の証ともいえるシルバーワークの完成度により、ミッドセンチュリー期の価値観を反映したモダンな美しさを持っています。



【The Navajo Arts & Crafts Guild】(NACG)※以下ナバホギルドはインディアンアートの普及やクオリティーの保全、職人の地位向上等、【The United Indian Trader’s Association】(UITA)とも近しい目的の為に、ナバホのシルバースミス達の手によって組織されました。

中でもナバホギルドは、UITA等に比べナバホの職人主導で組織された団体で、大巨匠であるナバホのシルバースミスAmbrose Roanhorseが代表を務め、後進の育成や伝統的な技術の伝承、インディアンジュエリーのさらなる普及などを目的に1941年にギルドとして発足しました。明確にはなっていませんが、U.S.NAVAJO/Indian Arts & Crafts Boardが1937年~1940年代の初め頃までしか見られないのも、第二次世界大戦の激化による影響だけではなく、どちらの組織においても重要な役割を担っていたAmbrose Roanhorseが、Navajo Guild/The Navajo Arts & Crafts Guildに注力したためではないかと考えられます。

ナバホギルドによる作品のスタイルは特徴的で、Ambrose Roanhorseの意図が強く働いた影響のためか、インゴットから作られたベースに、クリーンで構築的なスタンプワークをメインとしたデザインと、昔ながらのキャストワークによるピースが多く、どちらも回顧主義的なオールドスタイルでありながら、洗練された美しい作品が多く制作されました。

また、もう一つの特徴はその構成メンバーです。当時から有名で最高の技術を究めた作家が名を連ねています。
【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ、【Mark Chee】マーク・チー、【Austin Wilson】オースティン・ウィルソン、【Allan Kee】アレン・キー、【Ivan Kee】アイバン・キー、【Jack Adakai】ジャック・アダカイ、【Billy Goodluck】ビリー・グッドラック等、さらに、Ambrose Roanhorseの教え子の一人であるホピ族の【Louis Lomay】ルイス・ロメイもナバホギルドのメンバーだったようです。

さらに特筆すべきは、これだけ有名作家が揃っていながら【NAVAJO GUILD】のジュエリーとして制作されるものは、個人のホールマーク(署名/サイン)が認められていませんでした。そのため、1941年の発足から1940年代の半ばごろまでは、まったくホールマークなどが記載されていないか1943年以前には『U.S.NAVAJO 70』が用いられています。
その後、1943年に【Horned Moon/ホーンドムーン】と呼ばれる空を司る精霊をモチーフとしたシンボルがナバホギルドの象徴として商標登録されており、諸説ありますが1940年代後半頃からホールマークとして作品に刻印されるようになったようです。1950年代以降になってからは本作の様に『NAVAJO』の文字や、銀含有率92.5%の地金であることを示す『STERLING』の刻印が追加されていきます。
また、1940年代後半以降でもホールマークの刻印が刻まれていない個体も多く発見されています。

ナバホギルドの代表を務めた【Ambrose Roanhorse】は後進の育成にも熱心な作家で、1930年代からサンタフェのインディアンスクールで彫金技術のクラスを受け持っており、多くの教え子を持っていました。 サードジェネレーションと呼ばれる第3世代の作家ですが、さらに古い年代の伝統を重んじた作品を多く残し、独特の造形美や完成された技術は次世代に絶大な影響を与えた人物です。

また、【The Navajo Arts & Crafts Guild】 (NACG)ナバホギルドのピースは、アメリカ国内では非常に高い知名度を誇っていますが、それに比例せず、現存数がとても少ないことも特徴です。 コレクターのもとには一定数があると思われますが市場に出る個体は少なく、現在発見するのが大変困難になっています。



【Fred Wilson's Indian Trading Post】フレッド・ウィルソンズ インディアントレーディングポストは、1936年にフェニックスで創業したインディアンクラフトショップ/インディアントレーディングポストです。
その特徴でありショップの功績は、1950年代までにRalph TawangyaoumaやMorris Robinson等、後世に大きな影響力を持ったシルバースミスを雇い入れ、育てたことです。それぞれに在籍期間の長さは異なりますが、同時に仕事をしていた期間もあり、互いに影響を与えながら切磋琢磨したことが推測されます。また、そのような特別なクリエイティビティを備えた作家たちが、自由に新しい作品を生み出すことが出来る環境を提供したことが判ります。

オーナーであるFred Wilsonは、事業の拡大にも積極的でユタ州ソルトレイクシティからカリフォルニア州レイクアローヘッド、ニューメキシコ州クーリッジにかけて、またフェニックス周辺のホテル内など、多くの支店をオープンしていたようです。
また彼は、アメリカ政府がバックアップし『U.S.NAVAJO』のホールマークが表している【Indian Arts & Crafts Board】(IACB)や、トレーダーの協業組合組織である【United Indian Trader's Association】(UITA)を支持していたようですが、その加盟などについては不明となっています。
1940年頃に、自身のイニシャルであるFとWを繋げた形のホールマーク/ショップマークを創作。残念ながら1962年にはインディアンクラフトの小売業からリタイアしています。



【Sam Roanhorse】サム・ローアンホースは、1915年か16年にアリゾナ州北西部のナバホリザベーションにあるコーンフィールズ・ウェルで生まれました。名前は、いつ頃か不明ですが「Roans」を「Roanhorse」へと改名しています。
1935年~1936年には、兄であり偉大な作家【Ambrose Roanhorse】アンブローズ・ローアンホース(1904-1982)が受け持つサンタフェインディアンスクールの彫金クラスを受講し、シルバースミスとしての長いキャリアをスタートさせました。

そして、1940年には当時サンタフェで有名店となっていた【Julius Gan's Southwestern Arts and Crafts】ユリウス・ガンズサウスウエストアーツアンドクラフツ社(以下ガンズクラフト社)で働いています。同店には、同世代の【Mark Chee】マーク・チー(1914-1981)、そして【Joe H. Quintana】ジョー・キンタナ(1915-1991)をはじめ、自身の兄や【David Taliman】デビッド・タリマン(1901or1902-1967)等の非常に優秀なシルバースミスが多く在籍していました。
その後、第二次世界大戦ではコードトーカー(暗号部隊)として従軍していました。※コードトーカーとは、アメリカインディアン部族による暗号部隊を指し、非常に難解なナバホ語を暗号として利用しました。結局、日本軍は最後まで解読することが出来ず、第二次世界大戦において大きな功績を残しました。

戦後の1949年にはアリゾナ州フェニックスにて、ホピの【Ralph Tawangyawma】ラルフ・タワンギャウマ(1894-1972)や【Morris Robinson】モリス・ロビンソン(1901-1984)が在籍していた【Fred Wilson's Indian Trading Post】フレッド・ウィルソンズインディアントレーディングポストで働いており、その当時に生まれたのが本作となっています。しかし、翌年の1950年から数年間は同州ツーソンに住み、【Miller's Curios】ミラーズクリオや【Clay Lockett`s】クレイ・ロケッツ等を含むいくつかのショップで働きました。

その後は当時、アリゾナ州スコッツデールに存在し非常に有名店となっていたインディアンクラフトショップWhite Hoganに所属し、本来持っていたデザインセンスと同店の求めるモダンジュエリーの融合したクリーンでエレガントな作品を残しています。

長いキャリアの中でガンズクラフト、ナバホギルド、フレッド・ウィルソンズ、ズニハウス、ミラーズクリオ、そしてホワイトホーガンショップと、とても多くの工房に所属して経験を積んでおり、その間に色々なスタイルや価値観を持った沢山のシルバースミスと相互に影響を受けている事が想像されます。

また、本作の様にナバホギルドのホールマークとフレッド・ウィルソンズのショップマークの二つが同時に刻印された作品が極僅かな数のみ発見されていますが、それらの作品もサム・ローアンホースによるものと推測されています。

サム・ローアンホースの作品は最上級のクオリティを持ち、やはり兄であるアンブローズ・ローアンホースが提唱した「古典作品(技術)をベースにしながらモダンでシンプル、そして大胆なデザイン」を感じられる作品が多く残されています。
本作もそんな価値観・美意識が感じ取れるバングルであり、ホワイトホーガンで共に制作した同世代の天才的なジュエラーである【Kenneth Begay】ケネス・ビゲイ(1913?-1977)や【Allen Kee】アレン・キー(1916-1972)にも影響を与えていることが想像されます。



【Ingot Silver】インゴットシルバー(銀塊)からの成形は、アンティークインディアンジュエリーにおいて非常に重要なファクターですが、銀含有率/品位などの素材とは関係なく、ジュエリーの製法技術を表します。
現在制作されている作品の多くは、材料として市販されているシルバープレート(銀板/ゲージ)を加工することでジュエリーとして成形されていますが、インゴットから成形する製法では一度溶かしたシルバーを、鍛冶仕事に近い方法であるハンマーやローラーで叩き伸ばすことでジュエリーとして成形していきます。最終的にはどちらもプレートやバーの形態になるため、大きな差は無いように思われますが、インゴットから成形されたシルバーの肌は、硬くなめらかで鈍い光を持っています。それにより生み出されるプリミティブで武骨な作品の表情は、やはりアンティークインディアンジュエリーの大きな魅力です。

また、1930年代にはシルバープレートが登場しますが、当時シルバープレートを用いて制作されたジュエリーは政府によりインディアンクラフトとして認定されず、グランドキャニオンなどの国立公園内で販売できなくなった記録も残っています。



本作もインゴットシルバーからの成形を含む、全てディテールが原始的な技術で構成された素朴なアンティークジュエリーですが、手間を惜しまないとても丁寧で完成されたシルバーワークと、アンティーク作品と思えないデザインの洗練度、そして長い経年により、アートピース・ウェアラブルアートとしても高く評価される作品に昇華されています。


またこの様な非常にシンプルでミニマルなデザインは、特別な特徴を持っていないようにも感じられますが、当時、ナバホギルド又は同組織出身のシルバースミス以外には作られていない造形スタイルであり、簡単に再現できない技巧と作者の精神性が注ぎ込まれた作品です。
またそれは、時代を超越した魅力を放ち、ビンテージインディアンジュエリー独特の質感・迫力と共に現代においても色褪せない価値観と造形美が感じられます。


工芸品として練り上げられたクリーンで無駄のないデザインと、普遍的な造形美は多くのスタイルに良く馴染み、長くご愛用いただける印象です。また、立体的な造形とグラフィカルなスタンプワークの構成は奥行きのある表情を生み出し、ワイルドな雰囲気と少しフォーマルなスタイルにもフィットするエレガントな質感を併せ持った作品です。


前述のホールマーク【Horned Moon】と【Fred Wilson's Indian Trading Post】のショップマークが刻印され、Wネームといえる貴重なピース。【The Navajo Arts & Crafts Guild/ナバホギルド】の美意識や特徴を体現したバングルであり、歴史的な資料価値も高く大変コレクタブルで貴重な作品の一つとなっています。

◆着用サンプル画像はこちら◆


コンディションも良好です。細かなキズやシルバーのクスミ、ハンドメイド作品特有の制作上のムラ等は見られますが、使用感は少なくとても良い状態を保っています。




【注意事項】

※当店では通常、理由を問わず返品・交換が可能ですが、本作を含む10周年記念アイテム48点は、返品交換の対象外となります。
サイズやコンディションに十分にご注意くださいませ。また、出来る限り全容のわかる画像を採用しておりますが、画像に写っていない場合でも目立たない微細なダメージでの返品はご容赦願います。

※これらの作品につきましては『HOLD』も不可とさせて頂きますので、ご協力を宜しくお願い致します。

※お問い合わせにつきましては、頂いた順に返答を差し上げますが、多くのお問い合わせにより返答をお待たせしてしまう事が予想されます。ご了承くださいませ。

※バングルのサイズ調整につきましては、ご購入後も何度でも無料(送料のみご負担頂きます)で承ります。少しお時間を頂きますがお気軽にお申し付けください。
Size

メンズサイズ L - XL 程度

内径最大幅 約61.8㎜    正面幅(高さ) 約12.8㎜
内周 約143㎜    開口部 約28.5㎜
Inside Measurement 5 5/8inch   opening 1 1/8inch 

※バングルはサイズ調整可能です。ML~XXLサイズ以下の男性であれば多くの方にフィットすると思われます。 ただし、サイズ調整の際は無理な力を加えますと破損の原因となることがありますのでご注意ください。

サイズ(手首寸法)をお伝えいただければ、当店で調整後のお渡しが可能です。お気軽にお申し付けくださいませ。

Material

Ingot Silver    約38.2g