【Fred Harvey Style】フレッド・ハービースタイルや【Tourist Jewelry】ツーリストジュエリーと呼ばれる、20世紀前半頃にアメリカ中西部の観光客向けに制作されたスーベニアアイテム(土産物)の一つ。クロストアローズのアップリケ/パッチワークがあしらわれた、少し華奢で小さいサイズのアンティーク/ビンテージバングルです。

1940年代～1960年代製と思われ、バンド/地金はフロント部分が2本に割り開かれた伝統的でオーセンティックなスプリットバンドの造形。上下のエッジは『スキャロップドエッジ』(ホタテ貝)とも呼ばれる細かな動きのあるシェイプに造形されており、それに合わせて細かな紋様が刻まれています。そして、そのセンターには、小さなターコイズがマウントされたクロストアローズがアップリケされ、その左右にも立体的な丸みが美しいラウンド型のコンチョがアップリケされています。さらに、サイドからターミナル(両端)にかけてもクロストアローズやアローヘッド等をモチーフとした文様が刻まれており、複雑な表情と奥行きが与えられているようです。制作の工程には機械が用いられているため、マシン&ハンドメイドのハイブリッドなピースですが現在では現存数の少ない貴重な物となっています。

また、ターミナルの内側部分には『STERLING』の刻印が刻まれています。これは、銀含有率92.5%の地金であることを示す表記であり、1930年代中頃には登場していた刻印です。ただし、ショップやトレーディングポストにおいて多用されるようになったのは戦後である1940年代末以降のようです。1940年代以前に作られたツーリストジュエリーでも散見されますが、第二次世界大戦中の銀の不足が影響したと推測され、1940年代末以降の作品で非常に多くみられるようになりました。『925』の表記も同じ意味を持っていますが、925の刻印はインディアンジュエリーにおいては非常に新しく採用された刻印であり、そのほとんどが1990年代以降の作品に刻印されています。
Sterling Silver/スターリングシルバー=925シルバーは、熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いている為、現在においても食器や宝飾品等様々な物に利用されています。


【Crossed Arrows】クロストアローズ/クロスアローのモチーフは、 『フレンドシップ』『友情』を象徴しています。

【Arrow/Arrowhead】アロー/アローヘッドは、『お守り』の意味合いを持ちインディアンジュエリー創成期からみられる最古のモチーフの一つです。


アイコニックなクロストアローズが、インディアンジュエリーらしい表情とキャッチー印象を作っているようです。比較的小さなサイズや華奢なボリューム感は、女性に向いたブレスレットですが、クラシックでありながらラフな印象は、性別を問わずお使いいただけ、ビンテージピース独特の雰囲気も魅力的なピースです。

また、ツーリストジュエリーらしいポップでキャッチーな印象と武骨なビンテージ作品特有の質感を併せ持ち、ナローで控えめなボリューム感は、さり気なくスタイリングしやすい作品です。

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コンディションシは、シルバーのクスミや一部に摩耗が見られますが、特にダメージのない状態を保っています。また、ターコイズには、マトリックス部分に凹凸やクラックの様な部分が見られますが、それらは天然石由来の特徴であり、ガタツキ(動き)やダメージはなく良好なコンディションとなっています。