【ZUNI】ズ二のビンテージジュエリーで、大変美しいバスケットウィーブパターンに構成されたインレイワークが印象的なダングルタイプ(吊り下げ)のビンテージピアス(イヤリング)です。

1960年代～1970年代頃に制作されたピースと思われ、作者のセンスを感じさせる秀逸なデザイン/造形によってエッジーで洗練された印象を持った作品に仕上げられています。ニードルパーツが付く上部から丸環で吊り下げられたダングルタイプの構造によって、動きに合わせて揺れるダングルデザインとなっています。
ベース/土台となっているシルバーもキャストではなく全てハンドメイドの繊細なシルバーワークによって作り上げられており、そこに美しいターコイズとマザーオブパール(シェル/貝殻)、それにジェット(黒琥珀)がインレイされています。それらはタイルの様に規則的な紋様に構成されており、バスケットウィーブ/籠目をモチーフにしたものと推測されます。

ターコイズは鉱山を特定することは出来ませんが、とても透明感のある青～水色にグラデーションや僅かなマトリックスが入り、美しい景色を形成する煌きを持った石がセットされています。ズニのジュエリーにおいてこのようなクオリティーのターコイズがセットされるのは、古い作品特有の品質であり、1970年代以降の作品ではほとんど見られなくなってしまいました。

裏側には『STERLING』の刻印が刻まれています。これは、銀含有率92.5%の地金であることを示す表記であり、1930年代中頃には登場していた刻印です。ただし、ショップやトレーディングポストにおいて多用されるようになったのは戦後である1940年代末以降のようです。1940年代以前に作られたツーリストジュエリーでも散見されますが、第二次世界大戦中の銀の不足が影響したと推測され、1940年代末以降の作品で非常に多くみられるようになりました。『925』の表記も同じ意味を持っていますが、925の刻印はインディアンジュエリーにおいては非常に新しく採用された刻印であり、そのほとんどが1990年代以降の作品に刻印されています。
Sterling Silver/スターリングシルバー=925シルバーは、熱処理によって時効硬化性をもち、細かな細工や加工に向いている為、現在においても食器や宝飾品等様々な物に利用されています。


【Inlay】インレイ/チャンネルインレイは、古くからズニ族が得意として発展させた技術であり、カットしたターコイズやシェルなどをシルバーにピッタリと嵌め込む螺鈿細工のような技術です。 ナバホのシルバー技術に次ぐ長い伝統のある技術で、1920年代以降にはナバホのシルバースミスがシルバーワークを担当し、そこにズニのシルバースミスがインレイワークを施した共作品なども作られてます。
また、現在ではインレイ技法で作られた多くのジュエリーがキャストによる量産品(石をはめ込むだけ)となってしまいましたが、こちらはすべてがハンドメイドで成形されています。


ズニの伝統的な技術によって制作されたシンプルなバスケットパターンのデザインですが、その洗練されたカラーリングとエッジーなセンスによって大胆でグラフィカルな作品に昇華されています。さらにそれらによって、現代的で洗練された印象が付加されており、ビンテージインディアンジュエリー独特のエスニシティな雰囲気と共にモダンでクリーンな表情を併せ持ったハイエンドなピースに仕上がっています。

さり気なくも煌めくターコイズとマルチインレイの深淵な魅力とを感じることが出来るピアス。このように色々な石をインレイすることで生まれるマルチカラーは世界的に高く評価されており、ズニジュエリー独特のグラフィカルな印象とハンドクラフト品の素朴な魅力を感じることが出来る作品です。

◆着用サンプル画像(6枚)はこちら◆


コンディションも良好です。少し使用感やシルバーのクスミ、ハンドメイド特有の制作上のムラが見られますが、特に目立ったダメージの無い状態を保っています。