【ZUNI】ズニの偉大な作家【Horace Iule (Aiuli)】ホレス・イウレ(1899~1901?-1978)の作品で、同作者を代表するキャストで成形された独特な造形を持つバンドに、美しいスリーピングビューティーターコイズがセットされたアンティーク/ビンテージバングルです。
1950年代~1960年代頃の作品と思われ、ホレス・イウレらしいキャスト(鋳物)で成形されたバンドは、トライアングルワイヤーのフロントをフラットに造形し、スプリットしたような少し特殊なシェイプを持った作品。サイドからターミナル(両端)にかけて細くなるように成形され、力強く素朴なスタンプワークが施されています。そして、そのようなバンドをベースに、7つの美しいターコイズがセットされ、ナバホのトラディショナルなスタイルである石を連続して羅列した『ローワーク』と呼ばれるデザインで構成されており、ナバホジュエリーの伝統的な造形スタイルを踏襲しながらも、ナバホのアンティーク作品にはあまり見られない有機的な印象を持っています。さらに、石と石の間には12個ものシルバーボールが施されており、ターコイズを含めた全体の奥行きを強調しています。また、質の高いターコイズが丁寧なシルバーワークと共に上質感を生み、高い完成度を持ったバングルに仕上げられています。
裏面には、ホレス・イウレのパーソナルなホールマーク『H.IULE』のホールマーク(サイン)が刻印されています。
セットされたターコイズは、ホレス・イウレ自身によるカットと思われるジェムクオリティーの【Sleeping Beauty Turquoise】スリーピングビューティーターコイズです。
非常に澄んだ水色に僅かなマトリックスが入り、美しい透明感と艶を持った石です。複雑なウェブの入る石ではありませんが、スリーピングビューティーらしい澄んだ色味や現在もハイグロスを保つ宝石としての価値を持った素晴らしいクオリティーのターコイズです。
【Horace Iule (Aiuli)】ホレス・イウレは、ズニ族の中でも最も著名な作家の一人として認知されていますが、同氏の祖父【Sneezing Man】はインディアンシルバースミスの最初期の一人として歴史上の人物になっています。
そんな環境で育ったHorace Iuleは、アリゾナ州フェニックスのインディアンスクールで鍛冶技術を学び、1920年代終わりごろからジュエリーの制作を始めたようです。そして、1930年代後半にはスプーンや灰皿、インゴットから成形したブレスレット等を多数生み出し、ビレッジ(村)の中で最高の技術を持ったシルバースミスの一人として、当時から高い知名度を誇っていたようです。
さらに、氏は2つのクリエイションでとても有名です。一つは『カチナ』と言うズニの精霊をモチーフとしてジュエリーに初めて取り入れた事、もう一つがキャスト成形によるクロスモチーフのピースです。クロスモチーフはさらに古い年代(1880年代~)からみられるものですが、Horace Iuleはキャストとスタンプワークを駆使した多くの美しい作品を生み出し、クロスと言えばHorace Iuleと言う確固たる地位を築きました。
また、多くの子供を残し、現在ではひ孫までインディアンジュエリー作家として活動し、今もなおホレスの影響を色濃く残した作品が多く生み出されています。
同作者の残した作品は多岐にわたりますが、比較的バングルは少なく珍しいピースだと思われます。
ローワークをベースとしたオーセンティックな造形スタイルでありながら、柔らかなボリューム感と素朴でナチュラルな質感を持つ美しいデザイン/造形は、作者の特性が多分に含まれた作品です。
独特の存在感を持ち、ターコイズの美しさを引き立てるローワークスタイルは、トラディショナルでクラシックな印象を持っており、性別やシーンを問わず多くのスタイルにフィットし、特別なアクセントになると思われます。
ミュージアム収蔵品も多いホレス・イウレ作品の中でも秀逸な造形を持った貴重なオリジナルピースであり、史料価値も高い作品です。
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全体に多少のクスミや摩耗等が見られますが、ダメージはなくターコイズを含め良好なコンディションを保っています。